第45回日米大学野球選手権大会が8日、エスコンフィールド北海道で開幕し、3連覇を狙う侍ジャパン大学日本代表が米国代表に6-1で快勝した。開幕投手を務めた今秋ドラフト候補の早稲田大・伊藤樹投手(4年)が、6回を4安打1失点に抑える好投で勝利投手となり、2026年MLBドラフト全体1位候補と目される相手の2番、チョロウスキー遊撃手には3打数無安打2三振と完璧に封じ込め、ネット裏に集結した日米21球団のスカウトにその実力を見せつけた。
開幕投手の大役果たすエース
先発した伊藤樹投手はこの日、最速148キロのストレートと、切れ味鋭いスプリットを軸に、米国の強打者たちに的を絞らせなかった。特に来年のMLBドラフト全体1位候補と呼び声高い2番遊撃手のチョロウスキー選手との対決では、「注意していた打者だったので、かなり力を入れて投げた。緩急をうまく使って抑えられた」と、初回は見逃し三振、3回は空振り三振、6回は遊ゴロと、3度の対戦で一度も仕事をさせなかった。チョロウスキー選手も「いろんな角度から、いろんなところに散らばってきた」と、伊藤投手の投球に脱帽した。
異国での初戦ということで大学代表打線も探り探りという状態だっただろうが、伊藤投手のバッターを考えさせてしまう投球がそれに拍車をかけた。一巡目よりも二巡目、三巡目のほうが打ちにくくなる、伊藤樹投手の特徴が現れた投球となった。一巡目はヒットも許し、いいあたりを内外野手がファインプレーで救った。伊藤投手は「初戦に勝ててホッとしている。守備に助けられながらゲームをつくれた」と話し、野手のリズムも良くする形でスタートさせた。
昨年の世界大会での経験も生きた。「米国の打者はパワーがあるので、メンタルで負けることなく、ゾーンで勝負できたのが良かった」。6回を投げ4安打4奪三振1失点。82球の快投で、チームに貴重な初戦の白星をもたらした。
日本ハム・大渕スカウト部長「数字に表れない部分を持っている」
この日のバックネット裏には、日米21球団のスカウトが集結。伊藤投手のクレバーな投球に、各球団のスカウトも熱い視線を送った。北海道日本ハムの大渕隆GM補佐兼スカウト部長は、そのゲームメイク能力を高く評価した。
北海道日本ハム・大渕隆GM補佐兼スカウト部長:「相手を見て投げられる。数字に表れない部分を持っている。まとめる力がすごい。結局、トータルで点を与えない。意図して併殺が取れるし、どういう場面でもそれができる投手。自分の操れる武器を携えて、ゲームをやっている」
チームを率いる堀井哲也監督も「安心して見ていられた」とエースの投球に全幅の信頼を寄せた。しかし伊藤投手の本当の勝負は次の登板で、分析し対応してくるアメリカ打線に、次はどんな投球をするのかが非常に注目される。
伊藤樹投手 プロフィール
- 氏名:伊藤 樹(いとう たつき)
- 生年月日:2003年8月24日
- 出身地:秋田県美郷町
- 経歴:楽天ジュニア(小6) – 秀光中等教育学校 – 仙台育英高校 – 早稲田大学(4年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:176cm・78kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:2025年日米大学野球選手権第1戦で先発し、6回1失点で勝利投手。MLBドラフト1位候補を3打数無安打2三振に抑える。日本ハムの大渕スカウト部長から「まとめる力がすごい」と高評価を受ける。今秋ドラフト候補の最速152キロ右腕。2025年春季東京六大学リーグ戦でノーヒットノーランを達成。リーグ通算19勝3敗。








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