全国高校野球選手権大阪大会では、大阪桐蔭が高石に8-0で7回コールド勝ちし、8大会連続の準々決勝進出を決めた。この試合で、背番号11の左腕・佐井川湧牙投手(3年)が今夏初先発。7回を3安打無失点、11奪三振と圧巻の投球を見せた。
「全部、三振を取る」有言実行の11奪三振ショー
「とにかくゼロで抑えることだけを考えた」。マウンド上の佐井川湧牙投手は、5回2死まで無安打に抑えると、そのまま7回までを3安打11奪三振無失点に抑えてコールド勝利した。登板前日、バッテリーを組む本田翔輝捕手(3年)に「全部、三振を取る」と豪語していた通りの奪三振ショーだった。
チームには森陽樹投手、中野大虎投手(ともに3年)、吉岡貫介投手(2年)という150キロ超の右腕が揃う。最速145キロの佐井川投手は、「150キロ投げるピッチャーなので、自分は変化球を磨こうとやってきました」と、スライダーとチェンジアップを駆使し、高石打線を手玉に取った。
「お前が必要や」仲間の言葉を胸に…左肩脱臼からの復活
この快投の裏には、苦難の日々があった。佐井川投手は小学6年で127キロ、中学で140キロに到達し、注目された選手だった。しかし、1年前の夏の練習中に転倒して左肩を脱臼、利き腕は机の高さまで上げるだけで激痛が走り、日常生活にも支障をきたした。「もう自分はチームに関係ないのかな」、弱気になりかけた時、声をかけてくれたのがエースで主将の中野大虎投手だった。「はよ帰ってこい、お前が必要や」。その言葉に、「必要とされていると感じられた。余計に頑張れた」と、辛いリハビリを乗り越えた。
投球解析機器「ラプソード」で計測したストレートの回転数は、プロでも良い数値とされる2500回転を記録。そのポテンシャルの高さは、誰もが認める。西谷浩一監督も「だんだん調子が上がってきているから先発に。もっとできる子。十分先発できる。しっかり準備してくれた」と、その復活と成長に目を細める。
佐井川投手は「いい投手が揃っている中、打たせて取る持ち味を出して、日本一に貢献したい」と話す。佐井川投手も「良い投手陣」の中で輝きを見せている。
佐井川湧牙投手 プロフィール
- 氏名:佐井川 湧牙(さいがわ ゆうが)
- 生年月日:2007年9月10日
- 出身地:和歌山県田辺市
- 経歴:田辺第一クラブわかしお(田辺小) – 和歌山日高ボーイズ(高雄中) – 大阪桐蔭高校(3年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:173cm・80kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速145キロを誇る左腕。2025年夏の大阪大会5回戦で今夏初先発し、7回3安打11奪三振の快投。直球の回転数はプロ級の2500回転を記録。昨夏に左肩を脱臼するも、リハビリを経て復活。大阪桐蔭では3年春からベンチ入り。




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