全国高校野球選手権の甲子園大会は4日目が行われ、今春センバツ準優勝の智弁和歌山が登場したものの、花巻東(岩手)に1-4で敗れ、夏は3大会連続の初戦敗退となった。先発したエースの渡邊颯人投手(3年)が5回3失点と試合を作れず、リリーフした152キロ右腕・宮口龍斗投手(3年)も流れを止められなかった。試合後、プロ注目のWエースは、涙ながらに悔しさを語り、進路についても話した。
エース渡辺、5回3失点「恩返しできなくて悔しい」
「本当にいろんな人に支えられた。日本一で恩返しできなかった。自分のしょうもないミスでチームに迷惑をかけて本当に申し訳ない」。試合後、渡邊颯人投手は涙で頬を濡らした。1点の援護をもらった直後の初回、連打と野選で逆転を許すと、5回には自らの牽制悪送球も絡んで3失点目。課題としてきた守備の乱れから、流れを引き寄せることができなかった。
センバツ決勝で横浜に打ち込まれた悔しさを晴らすため、春以降はボールを一切握らず、ウエートルームに籠城し、週6日のハードなトレーニングで、筋肉量を1ヶ月で2キロ増やすという鍛錬を積んだ。和歌山大会では最速146キロと、力強くなった球で相手を圧倒する投球を見せ、変化球と制球で抑えたセンバツとは見違えるような投球を見せていた。
しかし、聖地では結果を残せなかった。「3年間の思いが浮かんだ。最後は気持ちよく終わりたかった」と話し、悔しさを隠さなかった。
宮口龍斗も流れ止められず「2人で勝ちきりたかった」
6回からマウンドに上がった背番号11の宮口龍斗投手も、相手の勢いを止められなかった。1死二塁からタイムリーを浴びて痛恨の4点目を献上。「流れを変えるためにマウンドに上がりましたが、変えることができませんでした」と、悔しさを滲ませた。
宮口投手も最速152キロ右腕として注目されたセンバツから変わった。この日もそうだったが、ストレートを若干抑えながらも制球力と変化球の精度が向上し、1試合を完全に任せられる投手となった。和歌山大会では渡邊投手と宮口投手で5試合で4完封を記録しており、盤石の投手力を誇ってきた。宮口投手は「2人で勝ちきりたかった。どれだけ評価していただいても勝ちきれなかったら、意味はないと思います。」と話した。
Wエースもそれぞれの進路へ
悔しい結果となった夏だったが、この試合を持ってWエースは解消となり、それぞれの進路へと旅立つ。渡邊投手は「日本一、次こそ必ず日本一になる」と話し、進路は明言しなかったが、幼稚園の頃から抱いているプロ野球選手になる目標に向かって進む。
そして宮口投手は「自分に足りないものは見直し、大学につなげたいと思います」と話し、大学に進学することを明らかにした。今年は、智弁和歌山出身で青山学院大のエースとなった中西聖輝投手が、春のリーグ戦で6勝し、侍ジャパン大学代表でもエース格として素晴らしい投球を見せ、ドラフト1位指名が有力となっている。まずはその進路に注目したい。
渡辺颯人投手 プロフィール
- 氏名:渡辺 颯人(わたなべ はやと)
- 生年月日:2007年6月23日
- 出身地:横浜市
- 経歴:永田台少年野球部(六つ川小1年) – 世田谷西リトルシニア(南中) – 智弁和歌山高校(3年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:180cm・90kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速147キロを誇るU18日本代表候補右腕。2025年夏の甲子園1回戦で先発し5回3失点。中学3年時にはジャイアンツカップで大会史上初の完全試合を達成。U-15W杯日本代表。智弁和歌山では1年春からベンチ入りし、2年春からエースナンバー。
宮口龍斗投手 プロフィール
- 氏名:宮口 龍斗(みやぐち りゅうと)
- 生年月日:2007年4月5日
- 出身地:兵庫県川西市
- 経歴:多田エンゼルス(多田小3年) – 伊丹ボーイズ(多田中) – 智弁和歌山高校(3年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:183cm・85kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速152キロ右腕。2025年夏の和歌山大会決勝で公式戦初完封勝利。甲子園1回戦ではリリーフ登板するも、追加点を許した。U-15日本代表経験あり。










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