全国高校野球選手権の甲子園大会は6日目が行われ、創部8年目で春夏通じて初出場の未来富山(富山)が高川学園(山口)に5-8で敗れ、聖地初勝利はならなかった。侍ジャパンU18代表候補でプロ注目のエース左腕・江藤蓮投手(3年)が先発するも、5回1/3を11安打8失点と打ち込まれ、試合後には、「プロ一本」としていた進路について、再考する考えを明かした。
「全国では、ぼくの力がまだ通用しない」
初回、女房役の中込大捕手(2年)が右翼ポール際に先制2ランを放ち、幸先の良いスタートを切った。しかし、エースの江藤蓮投手は2回に相手4番の遠矢文太選手(3年)にソロ本塁打を浴びると、3回には4安打を集中され3失点。4回にも3点を失い、6回途中でマウンドを降りた。
打撃でも4番を打つ注目のスラッガーだが、この日はチャンスでことごとく結果を出せなかった。7回には連打で1アウト1,2塁の場面で一塁への併殺に倒れ、がっくりと肩を落とした。それでもチームは5−8と粘ったものの初戦で敗退となった。
試合後に江藤投手は、「体全体が思うように動かなかった。万全でなくても抑えるのがエース。全国では、ぼくの力がまだ通用しないというのを痛感した」と話した。富山大会後にコンディションを崩していたというが、「逆球が多かったし、調整不足もあった。簡単に打たれたのは情けない」と言い訳はしなかった。9回には4番打者として意地の中前タイムリーを放ったが、チームを勝利に導くことはできなかった。
阪神スカウト「伸びしろがある」も…進路は熟考へ
そのポテンシャルに、この日も視察をしていたNPB12球団のスカウトからは、阪神の筒井和也スカウトが「コントロールは元々いいし、伸びしろがある左腕」と評価をしている。
しかし、聖地でのほろ苦い経験は、18歳の決意を揺るがした。「甲子園まではプロ1本で来たんですけど、もう1回考え直したい。このままでは上で通用しないと思ったので」と涙ながらに話し、大学進学も含めて進路を熟考する事を示した。
今年は、大学や社会人の進路を表明する高校生、特にドラフトでも上位指名候補として注目される選手が多い。その中でも左腕投手では151キロ左腕の高蔵寺・芹澤大地投手を筆頭に、昨夏甲子園覇者の京都国際・西村一毅投手や、今大会に出場している津田学園・桑山晄太朗投手もそれぞれ大学や社会人に進むことを決めている。
その中で横浜高校の奥村頼人投手、東海大甲府の鈴木蓮吾投手、そしてこの江藤選手は、ドラフト候補として残っている将来性豊かなサウスポーとして貴重な存在となっているが、江藤投手もプロ志望届を出さないとなると、プロ側にとってはかなり厳しいものになってくる。
その実力は間違いなく評価されるもので、この夏も富山大会準決勝までの投球で、その評価は十分高まっている。スカウトもそこまでに視察をしており、評価は定まっているものと見られる。富山大会決勝の高岡商戦では、準決勝の疲労が残った中で9回を一人で投げぬき、155球を投げて12安打7失点だった。そしてその影響はこの日にも残っていたのは間違いなく、この日も良くなかったが、スカウトもそれは重々承知で、これで評価が下がることはない。
まずは一時期の迷いであることを願い、プロ志望の決断を待ちたい。
江藤蓮投手 プロフィール
- 氏名:江藤 蓮(えとう れん)
- 生年月日:2007年5月19日
- 出身地:長野県須坂市
- 経歴:須坂マイナー(小2) – 豊野アップルズ(小4) – 千曲ボーイズ(中学) – 未来富山高校(3年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:180cm・87kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速145キロを誇るプロ注目左腕。2025年夏の富山大会を制し、創部8年目のチームを初の甲子園出場に導く。U-18日本代表候補。甲子園初戦で敗退後、進路を再考する意向を示す。










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