全国高校野球選手権大会は13日、2回戦が行われ、優勝候補の一角に挙げられていた神村学園(鹿児島)が創成館(長崎)に0-1で惜敗し、まさかの初戦敗退を喫した。プロ注目の最速151キロ右腕・早瀬朔投手(3年)と、U-18日本代表候補の主将・今岡拓夢内野手(3年)は、試合後に揃って「プロ一本」を明言。涙に暮れながらも、次のステージでの活躍を誓った。
“神村の朗希”早瀬朔、7回1失点も「あの1球が心残り」
「自分が投げてチームを勝たせる気持ちで投げたので、負けてしまって本当に悔しいです」。試合後、早瀬朔投手は唇を噛んだ。185cmの長身からドジャース・佐々木朗希投手を彷彿とさせるフォームから投げ込むストレートは威力十分で、最速148キロを記録するなど序盤から飛ばした。徐々に球速帯は遅くなったものの、角度ある球と変化球を使い、6回まで無失点の投球を続けたが、味方打線が創成館のサイドハンド・奥田晴也投手にノーヒットに抑え込まれた。
7回、2死二、三塁のピンチで、高めに浮いた145キロの直球が暴投となった。その後、創成館はエースで1回戦でも好投を見せた149キロ右腕の森下翔太投手が登板すると、反撃の芽を摘まれ、結局この1失点が決勝点となり敗れた。「あの1球で負けてしまったのが心残りではあります」と、悔やんでも悔やみきれない一球に涙した。
それでも、7回を10安打されながら1失点と粘りの投球を見せた。そのポテンシャルに、横浜DeNAの河原スカウトは「雰囲気は佐々木朗希っぽい。鍛えていったら伸びしろがあるんじゃないか」と、その将来性を高く評価した。
主将・今岡拓夢「実戦の感覚が鈍っていた」涙
主将の今岡拓夢選手も、涙に暮れた。「終わってしまったことがまだ信じられない」と話す。神村学園は春の九州大会で優勝しており、九州チャンピオンとして同じ九州の創成館には負けられなかったが、強力打線を牽引するU18日本代表候補の今岡選手も、この日は4打数無安打と沈黙。チーム全体でもわずか2安打に封じ込まれ、2年連続ベスト4の強豪が、まさかの零封負けを喫した。
大会49番目という最後の大トリでの登場。小田大介監督が「49番目の難しさをまざまざと感じた。力を爆発できずに力んだままだった」と語るように、試合勘の鈍りが影響したのかもしれない。今岡主将も「実戦の感覚が鈍くなっていた」と、その難しさを口にした。
2人ともプロ志望、「今岡とプロで対戦するのが夢」
悔しい敗戦となったが、試合後に早瀬投手と今岡選手は、揃ってプロ志望届を提出する意向を明言した。神戸中央リトルシニア時代から共にプレーしてきた二人は、互いを高め合う存在。早瀬投手は「今岡とプロで対戦するのが夢」と語り、今岡選手も「きょうでまだ通用しないと思ったので、しっかりと練習します」と、次のステージでの再会を誓った。
早瀬投手は長身から投げ下ろす151キロの速球が評価されており、ドラフト会議では3位前後での指名となりそう。今岡投手も大型の遊撃手として、守備と打撃の両面で課題があるが、1年時から活躍を見せていた実績と高いポテンシャルを評価されている。ドラフト会議では下位、または育成ドラフトでの指名と予想するが、今年は遊撃手の高校生の候補が少なく、3位、4位あたりで指名する球団も出てくるかもしれない。
早瀬朔投手 プロフィール
- 氏名:早瀬 朔(はやせ さく)
- 所属:神村学園高等部(3年)
- ポジション:投手
- 投打:右投
- 身長:185cm
- 主な特徴や実績:最速151キロを誇るプロ注目右腕。“神村の朗希”の異名を持つ。2025年夏の甲子園1回戦で7回1失点と好投するも、暴投で決勝点を献上。卒業後はプロ志望届を提出する意向。DeNAの河原スカウトから高い評価を受ける。
今岡拓夢選手 プロフィール
- 氏名:今岡 拓夢(いまおか たくむ)
- 所属:神村学園高等部(3年)
- ポジション:内野手(遊撃手)
- 投打:調査中
- 身長:180cm
- 主な特徴や実績:U-18日本代表候補の大型遊撃手。神村学園で主将を務める。2025年夏の甲子園1回戦で敗退後、プロ志望を明言。兄・歩夢さんも前主将。







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