全国高校野球選手権大会では、高川学園(山口)の4番・遠矢文太捕手(3年)が甲子園に強烈なインパクトを残して姿を消した。2回戦の未来富山戦では本塁打を含む3安打5打点と大爆発しチームを4年ぶりの聖地白星に導くと、続く3回戦の日大三戦でも3安打2打点と躍動。チームは8強入りを逃したが、2試合で打率.750、1本塁打、7打点と、その勝負強い打撃で甲子園を沸かせ、プロのスカウトも注目選手として名前を挙げた。
応援団が到着した瞬間に決勝打「あいつらのためにも」
持っている選手だ。遠矢文太選手は2回戦の未来富山戦で、3-3で迎えた4回2死満塁のチャンス。その打席の直前、豪雨と交通渋滞で遅れていた応援団がアルプススタンドに到着した。「あいつらのためにも絶対打たないと」。応援歌が鳴り響く中、プロ注目の左腕・江藤蓮投手のフォークを捉えた打球は、センターオーバーの走者一掃3点タイムリー二塁打に。応援団の到着が、最高の形でチームに流れを呼び込んだ。
この試合、遠矢選手は2回に左翼席へ大会2本目となるソロ本塁打を放つなど、投打の柱としてチームを牽引した。視察をしていた中日の松永スカウティングディレクターも「「パワーも対応力もある」と評価して今大会注目した選手に名前を挙げていた。
OB高木豊氏の期待、憧れは立石正広選手
その勝負強さには、偉大なOBも期待を寄せる。大洋(DeNA)などで活躍した高木豊氏は、練習指導の際に「お前が打てないとこのチームは勝てない」とハッパをかけられていた。県大会優勝後には、高木氏から贈られた打撃用手袋を愛用し、聖地で結果を出した。「パワーをもらえました」と、大先輩に感謝した。
憧れの存在は、もう一人いる。今秋ドラフトの目玉で、大学日本代表でも活躍するOBの立石正広内野手(創価大)だ。「自分も立石さんのような選手になれたら」。偉大な先輩たちの背中を追い、自らも勝負強い打者を目指してきた。
この日の3回戦・日大三戦では、3安打2打点と気を吐いたが、初回の守備でのミスが大量失点に繋がり、チームは敗退。「一つのミスで負けにつながってしまうのが、分かった」と、甲子園の厳しさも痛感した。
力強いスイングで聖地を沸かせた主将は、試合後、「非日常的で夢のようだった」と、初の甲子園を振り返った。そして卒業後は大学へ進学し野球を続ける。「練習してプロ野球選手というもう一つの夢をかなえたい」。この経験を糧に、遠矢文太は次の夢へと走り出す。
遠矢文太選手 プロフィール
- 氏名:遠矢 文太(とおや ぶんた)
- 所属:高川学園高校(3年)
- ポジション:捕手
- 主な特徴や実績:高川学園の4番で主将。2025年夏の甲子園では2試合で打率.750、1本塁打、7打点と大活躍。OBの高木豊氏、立石正広選手を尊敬している。名前の由来は俳優の菅原文太。卒業後は大学へ進学し、野球を続ける。






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