全国高校野球選手権大会は準決勝が行われ、県岐阜商業(岐阜)が日大三(西東京)に延長10回タイブレークの末に2-4で惜敗し、69年ぶりの決勝進出はならなかった。準々決勝の横浜戦で劇的なサヨナラ打を放った4番・坂口路歩内野手(3年)は、この日も一時勝ち越しとなるタイムリーを放つなど2安打1打点と活躍。試合後、高校野球で競技生活に区切りをつけ、卒業後は米国の大学へ進学する意向を明かした。
「すがすがしく終われます」聖地で全うした4番の役割
「正直、めちゃめちゃ悔しいけど、ここまで来られてうれしかった。胸を張って、すがすがしく終われます」。試合後、坂口路歩選手は涙を見せることなく、晴れやかな表情で語った。1-1で迎えた5回2死一、二塁のチャンスで、日大三のエース・近藤優樹投手(3年)からライト前に勝ち越しのタイムリーヒット。準々決勝で横浜を沈めたサヨナラ打に続き、大舞台での勝負強さを見せつけた。
今大会5試合で6安打6打点。横浜戦では延長11回に劇的なサヨナラ打を放ち、チームを16年ぶりのベスト4に導いた。「人生の中でも大きな経験だった。横浜、日大三と誰もが相手の方が強いと思う中でやりきれた」。その言葉には、4番としての責任を果たしきった充実感がにじんでいた。
野球に別れ、父の会社を継ぐため米国へ
そのバットで聖地を沸かせた好打者は、この夏で野球に区切りをつける。卒業後は、米国の大学へ進学し、経営や海外の文化を学ぶ予定だ。岐阜市内で衣料プリント会社「坂口捺染」を経営する父・輝光さん(43)の後を継ぐという夢を叶えるためだ。
2年生の半ばに決断したという留学の道。「もったいない、大学でも野球をやれば」という周囲の声もあったが、「人生で絶対、海外での経験の方がプラスになる」という父の言葉に背中を押された。「大学に行ってプロを目指すよりも、俺は早く親父と仕事がしたい」。その思いは、最後まで揺らぐことはなかった。
親子3代の夢、父の全面サポート
聖地のアルプススタンドには、同校OBである祖父・清貴さん(74)と父・輝光さんの姿があった。親子3代で同じユニフォームを着て甲子園を目指してきたが、夏の大舞台に立ったのは路歩選手が初めてだった。父・輝光さんは、5月に息子が左腕に死球を受け骨折した際、自宅に酸素カプセルを設置するなど、最後の夏へ向けて全面的なサポートを惜しまなかった。「父が練習環境を整えてくれたおかげでここまでこられた」と、感謝の言葉を口にした。
甲子園で大きな輝きと実績を残した4番打者、次は野球とは別の道でも大きな輝きを見せてくれるだろう。
坂口路歩選手 プロフィール
- 氏名:坂口 路歩(さかぐち ろあ)
- 生年月日:2007年5月11日
- 出身地:岐阜県
- 経歴:岐阜リトルシニア(6歳~) – 県岐阜商業高校(3年)
- 投打:右投左打
- 身長・体重:182cm・88kg
- ポジション:内野手
- 主な特徴や実績:県岐阜商業の4番打者。2025年夏の甲子園準々決勝・横浜戦で延長11回にサヨナラ打を放ち、チームを16年ぶりのベスト4に導く。今大会5試合で6安打6打点。高校卒業後は野球を引退し、米国の大学へ進学予定。







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