青山学院大学(東都大学野球連盟)が史上6校目の大会連覇を果たした明治神宮大会、横浜DeNAからドラフト1位指名を受けた主砲・小田康一郎選手(4年・中京)は、怪我の影響もあり今大会無安打に終わったが、決勝の勝負所で貴重な送りバントを決めるなど「自己犠牲」でチームに貢献。試合後には、スタンドで見守った盟友・立石正広選手(創価大・阪神ドラフト1位)の前で涙の有終の美を飾った。
10打数無安打も「成長」の送りバント
大会前に左太もも裏の炎症を抱え、万全の状態ではなかった小田康一郎選手。全3試合に出場したものの、結果は10打数無安打に終わった。それでも主砲は言い訳をしなかった。「打てなかったことはそれが原因ではない。技術的な部分が全然足りない」と、自らの課題を冷静に受け止めた。
快音は響かずとも、勝利への執念はプレーに表れた。0-0で迎えた6回無死一、二塁の好機。小田選手はきっちりと送りバントを決め、チャンスを拡大。これが続く4番・渡部海選手の先制3ランホームランを呼び込んだ。
「プロ野球でも勝たないといけない試合はある。そういった場面で自己犠牲をできたのは成長」。派手な活躍はなくとも、チームのために黒子に徹した経験を、次なるステージへの糧とした。
盟友・立石正広が見守る中での涙
試合終了の瞬間、小田選手の目には涙が溢れていた。「目標としてきた日本一になってうれしい。もうこのチームでできないんだと思うと寂しさもあって、涙が出ました」。重圧から解き放たれた安堵と、仲間との別れを惜しむ涙だった。
その姿をスタンドから見守っていたのが、大学日本代表でチームメートとなり親交を深めた阪神ドラフト1位・立石正広選手だ。立石選手もこの秋に故障によりリーグ戦前半の出場ができなかった。しかしケガからの復帰戦に小田選手が駆けつけるなど、互いにリスペクトし合う間柄。休日には小田選手が立石選手を実家に招き、食事をしながら野球談義をする間柄という。「今日は少しでも恩返しの気持ちを持って、康一郎の試合を見てきます」と応援に訪れていた。
立石選手は「プロでも対戦がある。切磋琢磨していきたい」と刺激を受けた様子。来春からは同じセ・リーグのライバルとして、DeNAと阪神のユニホームを着て再び相まみえる。
小田康一郎 プロフィール
- 氏名: 小田 康一郎(おだ・こういちろう)
- 所属: 青山学院大学(4年)
- 出身: 中京高等学校
- ポジション: 内野手(三塁手)
- 投打: 右投左打
- 主な特徴や実績: 広角に長打を放つ打撃技術と勝負強さが持ち味のスラッガー。高校通算28本塁打。青学大では主軸としてリーグ連覇や全国制覇に貢献。2025年ドラフト会議で横浜DeNAベイスターズから1位指名を受ける。







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