明治神宮野球大会の高校の部決勝が11月19日に行われ、九州王者の九州国際大付(福岡)が近畿王者の神戸国際大付(兵庫)との「国際大付対決」を11-1の大差で制し、初優勝を飾った。この大一番で外野手登録の1年生左腕・岩見輝晟投手(1年)。強力打線を相手に9回途中まで11奪三振1失点という圧巻の投球を見せ、九州地区に「神宮大会枠」をもたらすとともに、全国にその名を轟かせた。
187cmの未完の大器、決勝で覚醒「一番いいピッチング」
187センチの長身から投げ下ろす角度のある直球と、低めに決まるスライダーが冴え渡った。岩見輝晟投手は、今大会2試合で5本塁打を放っていた神戸国際大付の強力打線を翻弄。初回こそ緊張から制球を乱して1点を失ったものの、2回以降は完全に立ち直り、スコアボードに「0」を並べ続けた。
「今まで投げてきた中で、一番いいピッチングができた」。8回2/3を投げて被安打3、11奪三振、1失点。中2日で136球を投げ抜く熱投だった。「低めに投げれば空振りが取れた。楽になると分かった」と、大舞台で大きな手応えを掴んだ。
40校の誘いを蹴った地元愛、「自分たちで決めた」最後
福岡出身の岩見投手は、中学時代から全国に知られた存在で、県外の強豪校など40校以上から勧誘を受けたスーパー中学生だった。しかし、「地元の人に応援されたい」という強い思いで地元の名門・九国大付へ進学。今夏の福岡大会決勝では救援失敗で甲子園を逃す悔しさを味わったが、その経験を糧に大きく成長した。
大量リードで迎えた9回2死一塁。あとアウト一つという場面で、マウンドにはエースナンバーを背負う渡邉流投手が向かった。楠城祐介監督から「どうするか自分たちで決めていい」と伝令があり、岩見投手ら選手たちで話し合った結果だった。
「自分たちは来年も優勝できるので、ここはエースに任せようと思った」。1年生とは思えない頼もしい言葉と共にマウンドを譲り、最後はエースが締めて歓喜の輪が広がった。
九州に「神宮枠」、目指すは春夏連覇
この優勝により、来春センバツの九州地区出場枠は「1」増えて「5」となった。神宮大会枠を勝ち取った立役者に対し、楠城監督も「素晴らしかった。ひと冬越えたら、もっとよくなる」と絶賛する。
頂点に立っても、怪物の視線はすでに先を見据えている。「1回優勝しただけでは満足できない。春も夏も全部優勝したい」。無限のポテンシャルを秘めた16歳が、高校野球界の新たな主役に名乗りを上げた。
2024年には石垣元気投手と佐藤龍月投手(健大高崎)が、2025年には織田翔希投手(横浜高)が、ともに2年生エースとしてセンバツ大会を制している。伝説がスタートする明治神宮大会で輝きを見せ始めた岩見投手や牟禮翔選手が、甲子園でも頂点を目指す。
岩見輝晟 プロフィール
- 氏名: 岩見 輝晟(いわみ・らいせ)
- 所属: 九州国際大付属高校(1年)
- 出身: 福岡県福岡市
- ポジション: 投手・外野手
- 投打: 左投左打
- 身長・体重: 187cm、78kg
- 主な特徴や実績: 187cmの長身から投げ下ろす最速144キロの直球とキレのある変化球が武器。中学時代から全国区で、40校以上の誘いを受けた逸材。外野手登録ながら投手としても非凡な才能を見せ、神宮大会決勝で11奪三振の快投を演じた。























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