第56回明治神宮野球大会で18年ぶりのベスト4進出を果たした八戸学院大学(東北三連盟)。その躍進を支えた主将の十鳥真乙選手(4年・東京実)が、今秋のドラフト会議で名前が呼ばれず、高校時代に続き2度目の指名漏れを経験。神宮の初戦で全国初アーチを放ち、その実力をみせつけた。
「努力は裏切らない」夕闇の神宮に描いた放物線
神宮球場の右翼スタンドへ、十鳥真乙選手の打球が吸い込まれた。「努力は裏切らないというのを自分の中で思っていて、それを体現できたホームランでした」。それは、東京から本州最北端の地へ覚悟を持って進学し、誘惑のない環境で野球に打ち込んできた4年間の証明だった。
「誰よりも練習してきた自負があったので、1本を出せてよかったです」。すがすがしい表情で振り返った一発は、チームを勢いづけ、18年ぶりの4強入りへと導く号砲となった。
ドラフト後の絶望、監督との食事で再起
10月23日のドラフト会議では、プロ志望届を提出していたが、名前は呼ばれなかった。東京実業高校時代の4年前もプロ志望届を提出していたが指名は無く、4年越しの夢は叶わずに2度目の指名漏れを経験した。
「辛かった」心が折れかけ、直後に控えていた東北代表決定戦に向けて気持ちを切り替えられずにいたが、新沼舘貴志監督がチームの主将に声をかけ、同じく指名漏れしたエース・小林直生投手などと食事に行き、指揮官は熱く語りかけた。「この悔しさをぶつけるのは野球でしかできない。何かが足りないと気づかせてくれたのがドラフトだぞ」。この言葉にハッとした十鳥選手は「神宮でやり返す」と奮起。代表決定戦で今春日本一の東北福祉大を破り、12年ぶりの神宮切符を掴み取った。
社会人で「3度目の正直」へ、夢は終わらない
神宮で見せた輝きは、次のステージへのプロローグだ。卒業後は社会人野球チームへ進み、2年後のプロ入りを目指す。「持ち味の長打力を伸ばして、率を残せるバッターになっていきたい」。
「3度目の正直」に向け、運やめぐり合わせも重要な要素であるドラフト会議での指名だが、この秋の神宮球場でのホームランは、それを繋いでくれるものになる。あとは足りないものを掴み取るために必死にバットを振り、2年後を迎えるだけだ。
十鳥真乙 プロフィール
- 氏名: 十鳥 真乙(じゅっとり・まお)
- 所属: 八戸学院大学(4年)
- 出身: 東京都(東京実業高校卒)
- ポジション: 内野手(主将)
- 投打: 右投右打
- 主な特徴や実績: パンチ力のある打撃が魅力の強打者。高校時代に指名漏れを経験し、八戸学院大へ進学。主将としてチームを牽引し、4年秋の神宮大会でベスト4進出に貢献。社会人で2年後のプロ入りを目指す。








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