ドラフト総決算2012 ~第1章~ 混乱の2008年ドラフト

選手コラム

 ドラフトの目玉がドラフトを回避

 今から4年前、2008年のドラフト会議、前年まで高校生ドラフトと大学生社会人ドラフトが分離していたものが、久しぶりに統一されたドラフト会議だったが、プロ球団は1位指名選手を誰にするか苦慮していた。
 中心選手のいないドラフト不作の年と言われ、社会人外野手の野本圭(日通)、大学生外野手の松本啓二朗(早大)が指名重複、また東海大に進学すると思われた大田泰示(東海大相模)が突如プロ志望を表明して報知新聞が巨人志望と1面報道した。これに対し福岡ソフトバンクが指名して重複したものの抽選に外れた。北海道日本ハムは大野奨太捕手(東洋大)を単独指名し、高校生投手は赤川克紀(東京ヤクルト1位)、甲斐拓哉(オリックス1位)、中崎雄太(西武1位)などに指名がバラけた。

 この大きな要因として挙げられたのは、ドラフトの目玉と言われたセンバツ優勝投手が大学志望を打ち出した事が挙げられた。その投手の名前は、沖縄尚学・東浜巨投手。

  2008年センバツ大会、沖縄尚学・東浜巨投手は、2回戦・聖光学院を完封、3回戦・明徳義塾戦で1失点完投、準決勝の東洋大姫路を2失点完投、決勝の聖望学園を完封、140km台のストレートに制球された変化球で完成度が高く、2008年のドラフトの目玉となった。

 しかし、秋のプロ志望届け提出者名簿に東浜巨投手の名前は無かった。夏の甲子園に出場を逃すと、亜大・生田監督の熱烈な誘いを受け、元々、東京の大学進学を希望していた東浜投手は早い段階で進学を表明した。

大学1年生、偉大な記録の第一歩

 翌年の2009年4月21日、東都大学リーグの亜大vs中大の1回戦、中大は3年生で150kmを超える速球を投げエースとなっていた沢村拓一投手が先発、そして、亜大の先発は1年生、東浜巨投手、これが大学初登板だった。
 試合は9回まで沢村、東浜が無失点を続ける息を呑む投手戦、延長10回に沢村がランナーを出して降板し、後続投手が1失点を失うと、亜大は10回も東浜がマウンドに登り無失点、大学初勝利は延長10回の完封勝利、後の大記録の第一歩となった。

 その後、國學院大戦では2勝2完封、立正大戦でも完投勝利と、4勝1敗4完投3完封、防御率0.82で堂々の1位を記録した。そして秋季リーグ戦では絶対的エースとなっていた東洋大・藤岡貴裕投手と投げ合って勝利を奪うと、中大戦では再び沢村拓一投手と投げ合って完封するなど、実力派の上級生を打ち破る活躍を見せて5勝2完封を記録した。

 ドラフト目玉投手は1年目の春から結果を出し、視察したプロのスカウトは悔しがるとともに、4年後となる2012年のドラフト会議を思い描いた・・・。

 続く

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