2016年ドラフト総決算~その3:怪物たちが去りそして~

田中正義投手、柳裕也投手、藤平尚真投手、寺島成輝投手などが自分を磨き、そして輝きを見せてプロへと進むそのストーリー。今日はその3です。

高3

3年という短い時間の戦いは、長くて短い。3年生となった彼らは、高校での最終決戦に挑む。

3月のセンバツ大会、3年生となった選手たちは主力となり、1年生、2年生の時とは比べ物にならないほど多くの同学年の名前が出場校のレギュラーに名を連ねた。そしてセンバツの組み合わせ抽選で大きな歓声が挙がる。1日目第3試合、花巻東vs大阪桐蔭、大谷翔平と藤浪晋太郎、二人の投手の戦いの舞台が組まれた。世間はこの世代のトップに立つ二人と沸き立ったが、同じ舞台に立つ彼らはそれを認めるわけにはいかなかった。

1日目第3試合の前の一つ前の試合に立った浦和学院・佐藤拓也は敦賀気比を2失点に抑え、3番バッターとして2打点を挙げた。次の日の第1試合では九州学院で1年生で4番を打った萩原英之が再び甲子園に姿を見せ、3番として3安打1打点で勝利を手にする。その他、作新学院の石井一成も3番としてパワーアップした打撃を見せた。横浜の背番号1が板についた柳裕也は高知を完封し堂々の投球を見せた。

しかし勝ち残った怪物の一人・藤浪晋太郎のいる大阪桐蔭は、九州学院を倒し、浦和学院を倒していく。浦和学院戦では、ほかのチームならエースと評価された大阪桐蔭の控え・沢田圭佑が先発し、5回を1失点に抑えて藤浪につないだ。天才・佐藤拓也は1-0とリードした6回から登板したものの、3点を失い逆転で敗れた。結局、最後まで勝ち残ったのは大阪桐蔭だった。

最後の舞台

そして夏、最後の舞台をかけた戦いが始まった。青森には最後の夏に向けて強い思いを持つ選手がいた。青森山田・京田陽太である。1年生の時から大型遊撃手としてプロのスカウトも注目していた選手だ。しかし同じ青森には、北條史也、田村龍弘などがそろった光星学院が史上最高の戦力を整え、昨年夏、そしてこの年のセンバツで全国準優勝をしている。青森山田も昨年夏は準々決勝で、秋も準決勝で光星学院に敗れ、甲子園出場を阻まれていた。

青森大会、2回戦を11-0で快勝した青森山田は3回戦で早くも光星学院との対戦を迎える。1番ショートで出場した京田は2安打を打ちチャンスを作った。チームの14安打を浴びせ、7安打の光星打線を大きく上回った。しかし優勝にあと一歩を続けた悔しさを持っている光星学院は延長10回に2点を奪い試合を決めた。大型ショートの京田陽太は、甲子園に出場できなかったふがいなさと、この後、甲子園で4本塁打を放った同じ遊撃手の北條の姿をみて、大学に進学することを決めた。

西東京大会、田中正義が外野手に転向して2年、チームには池田隆英が成長を見せていた。140キロ中盤の速球を投げプロも注目する投手へと成長した。そして田中もまた外野手2年間で通算15本を放つスラッガーとして注目選手となっていた。最後の夏、エース・池田の調子が上がらない。序盤は戦力差のあるチームに池田は登板せず調子が上がるのを待った。そして点差が開くと、外野から田中正義がマウンドに上った。

するとどうだろう。田中の投じる伸びのある球は140キロ中盤を記録した。「あれ、けっこう行ける」と田中は2試合にリリーフで登板した。その姿を数人のスカウトが見ており、秘かに田中の調査を始めたが、田中はその後、打者に専念をした。チームは松田進の国学院久我山も下し準決勝に進出する。その準決勝では日大三にコールド負け、結局エースの池田は調子が上がらないまま3年間が終わった。共に創価大に進学することを決めた二人だったが、田中は秘かに投手としての復活の手ごたえを感じていた。

その西東京大会で快進撃を見せたチームがあった。都立の日野高校は3回戦で早稲田実、4回戦で日大鶴ヶ丘とプロ注目投手のいるチームを撃破して準々決勝に勝ち進んだ。そのチームのエースで5番を打っていたのが佐々木千隼だった。佐々木は日大鶴ヶ丘戦では投げては9回9安打4失点で完投し、打ってもホームランなど5打数3安打3打点の活躍を見せた。佐々木は準々決勝で日大三を9回3失点に抑えたものの0-3で敗れ姿を消すが、投打に光ったか輝きは大学でも無名だったチームをリーグ制覇に導く。そしてこの年ともに戦った田中正義とドラフト1位トップ2になっていく。

宇都宮工では星知弥が140キロ後半を記録し注目された。無名の折尾愛真高校では小野泰己投手が145キロを投げてプロから注目された。つくば秀英は大山悠輔が4番ショートで1回戦に臨み、3本のヒットを放つ。そして6回からはマウンドに立った。しかし7回に2点を勝ち越され、早々と姿を消した。控え投手だった中塚駿太の登板の機会はなかった。

夏の甲子園

夏の甲子園、花巻東の怪物・大谷翔平は岩手大会で160キロを記録し大きな話題となったものの、甲子園には届かなかった。1年生で甲子園ベスト4入りの活躍を見せた報徳学園・田村伊知郎も、再び甲子園の土を踏むことはできなかった。

神奈川大会、エースとして3季連続の甲子園出場の期待がかかった横浜・柳裕也であったが、その夢は準々決勝で消えた。立ちはだかったのは桐光学園2年の松井裕樹だった。その松井は甲子園でも1試合22奪三振の記録を作りベスト4へと勝ち進む。その姿を見て柳は、プロ入りも悩んだ末、明治大学でさらに成長する道を選択した。

夏の甲子園では作新学院・石井一成、浦和学院・佐藤拓也、日大三・金子凌也、福井工大福井・菅原秀、龍谷大平安・久保田昌也などが出場をし、最後の夏を必死に戦った。大阪桐蔭は3回戦で沢田圭佑が2失点完投しエース・藤浪晋太郎を助ける。光星学院も快進撃を見せた桐光学園・松井裕樹を仕留め勝ち上がる。そして春と同じ決勝の舞台で戦った両者は、大阪桐蔭が春夏連覇を達成するのだった。この試合をもってこの学年の高校3年間はすべて幕を閉じた。

それぞれの選択

怪物と称された大谷翔平と藤浪晋太郎はプロ志望を表明し、光星学院の北條史也、田村龍弘、二松学舎大付の鈴木誠也、BIG3と称された愛工大名電の濱田達郎などもプロを選択する。

神奈川で146キロを投げ屈指の投手と注目された橘学苑の黒木優太もプロ志望をした。しかしドラフト会議では指名されず、立正大へと進んでいく。同じく神奈川で注目された三浦学苑の秋元秀明は創価大に進み、田中、池田と顔を合わせる事になる。

宇都宮工の星知弥もプロは時期尚早と判断し明治大に進む。折尾愛真・小野泰己は富士大に、つくば秀英の大山悠輔と中塚駿太は白鴎大へと進む。そして今度は大学を舞台に戦いを繰り広げるのだった。

つづく


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