2017ドラフトストーリー(4)2017年ドラフト会議へ~最後に

2017年のドラフトは、清宮幸太郎選手、斉藤大将投手、田嶋大樹投手、藤岡裕大選手などが成長しアピールして夢を掴むストーリーを見せてくれました。高校生、大学生、社会人の選手ストーリーを振り返ってみます。今日は2017編。

清宮の100号本塁打

いよいよ2017の戦いが始まる。春先から注目されていたのはやはり高校生の清宮幸太郎安田尚憲だった。センバツ出場の吉報を受けると、早くも二人が甲子園で何本ホームランを打つのかが話題となる。またほかにもセンバツでは注目選手がいた。熊本工業の山口翔投手は140キロ後半の速球を投げる投手で九州NO.1の速球派投手と注目されていた。東海大市原望洋の金久保優斗投手は中学時代から全国大会で活躍し、高校2年時にはチームのエースとなっていた。ほかにも2年生夏にホームランを打っている智弁学園の太田英毅、盛岡大付の植田拓、そして3年生になった作新学院の鈴木萌斗も注目された。

しかし清宮の調子が挙がってこなかった。3月8日の練習試合解禁日に早稲田大と対戦した早稲田実、清宮選手はここでいきなり通算79号となるホームランを放ち、周囲を沸かせた。しかしそれ以降、センバツまでの練習試合でホームランは出ず、大会でも2試合でホームランを打つことはできなかった。1年生夏の甲子園で2本塁打を放った自分、そしてそのチームを越えらなかった事に、清宮は悔しさをにじませていた。それでもスタンドがざわつくような高い飛球を打ち上げ、評価が落ちるという事は無かった。

智弁学園の太田、盛岡大付の植田が2大会連続となるホームランを放つ。履正社の安田も準々決勝までホームランが出なかったが準決勝で待望の一発が出る。決勝では大阪桐蔭vs履正社の大阪対決となり、大阪桐蔭が優勝を納めた。安田は夏の予選大会で大阪桐蔭へのリベンジを誓った。

期待されていた山口、金久保の投手陣は初戦敗退。球の良さなどを見せていたものの、共に初戦で敗退をしてしまう。その中で評価を挙げたのが、秀岳館の川端健斗だった。しなやかなフォームからキレの良いスライダーやカーブ、そして140キロ中盤のストレートを投げ、今大会NO.1、そして高校NO.1左腕の称号を手にすることになる。他にも報徳学園の篠原翔太捕手や西垣雅矢投手のバッテリー、前橋育英の皆川喬涼根岸崇裕丸山和郁の継投も注目され、春の戦いが終わった。

甲子園で結果を出せなかった清宮は、春季東京大会が始まるととたんにホームランを打ち始めた。4月15日の駒大高戦で2本、22日の国士舘戦で1本のホームランを打つと、ナイターで2万人の観衆が集まった決勝の日大三戦では2ラン、3ランのホームランを放ちスタンドを沸かせた。その後も練習試合でホームランを重ねると、九州遠征、愛知遠征でもホームランを量産する。そして6月4日、ついに高校通算100号を達成する。

誰がNO.1に

東京六大学も春のリーグ戦が開幕する。ドラフト候補の状態を確認したいスカウト達だったが、やや結果を裏切られた形になる。まず明治大の斉藤大将は満を持して先発に回る。しかし開幕の東大戦には勝利したもののその後は先発しても結果が付いてこない。結局終盤は元々のリリーフで投げ、2勝2敗に終わる悔しいシーズンとなった。また東大の宮台康平は昨年秋に肩を痛め、故障明けであると同時に肩の負担を減らすフォームへと変えていた。そのフォームが披露されたのだが、狙った所へ投球できない状態が続く。3度の先発で5回まで持たず四球を連発し、その後リリーフで登板しても制球が治らず、結局シーズン途中で登板が無くなった。2,3年生が好成績を残し、期待された投手の今年のドラフト候補たちは総崩れとなった。

しれでも野手は結果を出した選手がいる。立教大の笠松悠哉は4番を打ち、2本塁打16打点とチャンスに強い打撃を見せる。打率もリーグ2位の.348を残す。また内野手の熊谷敬宥選手の堅実な守備とつなぐ打撃でチームの勝利に貢献し、立教大が見事に35季ぶりの優勝を成し遂げた。また慶応大の岩見雅紀は5本塁打を記録。1シーズン5本を記録するとプロに行けるくらいの成績と評価されるのだが、打率は.224でリーグの中でも下位の方だった。

東都リーグでは4年生投手が活躍を見せる。東洋大の飯田晴海が4勝1敗、中央大の鍬原拓也が4勝2敗、亜細亜大の嘉陽宗一郎が2勝0敗で、それぞれ防御率でもリーグ2位、4位、5位につける。特に鍬原は150キロの速球を投げ、下級生から徐々に成長カーブを描き、ようやくエースとして任せられる投手になり、ドラフト上位の声が高まっていった。また2部リーグでも専修大の高橋礼が復調の気配を見せ、国士舘大の椎野新も好投を見せていた。

毎年、地方のリーグで活躍するドラフト候補が大ブレークをし、ドラフト上位候補になっていくのが大学野球選手権、今年も注目投手が登場する。岡山商大の近藤弘樹は150キロの速球が注目されていたが、大会では球持ちの良さや試合を作れるコントロール、そして高めだが威力十分のストレートが見られ、評価はうなぎのぼりとなった。チームメイトの蔵本治孝投手も荒削りだが150キロ前後の速球を見せた。

それでも特に注目されたのはこの二人くらい、立命館の東克樹や奈良学園大の宮本丈、仙台大の馬場皐輔などは出場を逃しており、九州産業大の草場亮太などもその力を見せることはできなかった。

この時点で12球団の見かたとしては、ドラフト1位候補は清宮と安田、そして九州学院の村上宗隆も評価が高く、投手では川端健斗の1位があるかというところ、また大学生ではドラフト1位候補として挙げられる選手はいるものの、確実に1位指名という選手はまだいない。この時点で今年のドラフトは厳しい状況になると12球団とも判断をし、こういう時こそ隠れた逸材を発掘するべく、スカウトは各地に足を運んでいた。

まずは社会人野球の華、都市対抗が開幕する。各地の予選大会から厳しい戦いが繰り広げられる。その中で、JR東日本は昨年とは打って変わって田嶋大樹の登板が多い。東京大会では5試合中4試合で田嶋投手が先発すると、出場した本選でも1回戦、2回戦と田嶋が先発する。田嶋も期待に応え2試合連続完封と結果を残した。準々決勝の東芝戦でも9回途中まで3失点と好投したものの、延長となった試合でチーム敗れた。実に8試合中7試合に先発をした。

都市対抗では三菱自動車岡崎の山本大貴、三菱重工広島の大下佑馬、三菱日立パワーシステムズ横浜の補強されていた齋藤俊介などが好投を見せる。また、昨年秋に153キロを投げたという大型左腕のHonda・永野将司も全国の舞台を経験し、制球はまだまだも威力ある球を見せ、日立製作所の150キロ右腕・鈴木康平も初回に4点を失った後に6回まで無失点に抑えるという波がありながらも魅力ある投球を見せた。その中で、昨年秋の左足骨折から復活をしていたヤマハの鈴木博志が登板し、155キロの迫力のある真っすぐを投げていた。

野手でもトヨタ自動車の藤岡裕大がタイブレークで満塁弾を放つ活躍を見せた。そして優勝をしたのはNTT東日本、渡邉啓太投手を軸に継投で勝ち上がった。優勝の立役者となったのは福田周平選手、昨年もドラフト候補として注目された遊撃手だったが指名漏れとなり、今年にかける想いを20打数11安打という成績に見せた。しかし西村天裕は1回戦で1/3回を投げて3失点し、その後の登板は無く、状態の悪さが心配された。

高校生の最後の大会、夏の選手権も開幕する。ここでも清宮は4試合でホームランを放ち4本塁打、高校通算107本塁打を記録し、これまでの高校通算最多本塁打に並んだ。準決勝では昨年敗れた八王子に勝利し決勝までコマを進める。しかし決勝ではホームランを打つことはできず、また自らの2つのエラーが失点につながった。最後に悔しさを味わい、清宮の高校野球は終わる。残すは選出が濃厚となっていたU18W杯のみとなり、高校通算本塁打の新記録も持ち越しとなった。

この夏、大きな主役が登場する。広陵の中村奨成は強肩と俊足で注目され、夏の大会前でもドラフトの上位候補に名前が挙がっていた選手だった。しかし夏の甲子園では右バッターから鋭い打球を打ち、ついに清原和博選手の1大会5本塁打の記録を抜く事になる。またセカンドまでのたびたびの送球でスタンドやスカウト陣を唸らせ、清宮、安田と並ぶドラフト1位候補に躍り出た。

秋、最後の活躍

夏、大学生の日本代表はユニバーシアードで優勝を飾る。斉藤大将はリリーフで登板して好投を見せたが、投手の主戦は東克樹だった。予選ラウンドで不気味なメキシコ戦で先発し8回3安打11奪三振2失点、そして大事な準決勝の韓国戦で先発し、8回5安打11奪三振無失点の好投を見せた。1番・島田海吏熊谷敬宥宮本丈の内野手、そして4番の楠本泰史が、目立った活躍はないもののそれぞれの役割を果たした。岩見雅紀は代打などで出場していたもののバットに当たらず、終盤は起用されなかった。

その悔しさからか秋は岩見が大ブレークする。打率こそ.279だったものの、法政大のカードから明治大のカードにかけて5試合連続ホームラン、実に7本のホームランを放ち、リーグ通算21本塁打まで記録を伸ばした。高橋由伸の23本、田淵幸一の22本に続く歴代3位の記録だった。また明治大の斉藤も最後に見せた。先発として3勝0敗、防御率1.95の成績を残したのである。フォームを改造してタメを作る形にし、バッターとのタイミングをずらせるようになった。この秋の結果により、プロ球団も1位候補として意識できる選手になった。

高校の日本代表はU18W杯のためカナダに向かった。清宮は日本で行われた代表と大学生との練習試合で2本のホームランを放ち、高校通算ホームランの記録を既に更新していた。そして迎えたW杯、清宮は南アフリカ戦とカナダ戦でホームランを放ち、高校通算を111本にした。大会はアメリカや韓国の強力な投手陣に歯が立たず、また期待された中村奨成増田珠など主軸を期待した選手が木製バットの対応に苦しんだ。櫻井周斗が5番を打つなどし、3位決定戦で勝利して何とか3位となったものの、世界の壁にまたしても跳ね返された。

木製バットへの対応に不安を見せた代表選手達だったが、ドラフト候補として評価が下がることはなかった。また投手では秀岳館の田浦文丸が得意のチェンジアップで13回2/3を投げて29奪三振という驚異的な投球を見せた。

ドラフト

ドラフト会議を迎える秋、候補も大体出そろい、今年のドラフトの状況もはっきり見えてくる。全体的に不作という事は否めなかった。そこへきてさらにプロ志望届が追い打ちをかける。地方でスカウトがマークしていた八戸工大一の古屋敷匠真や仙台の佐藤隼輔、木更津総合で関東NO.1左腕と評価された山下輝、日大三の金成麗生、前橋育英の皆川喬涼丸山和郁、関東第一の高橋晴、センバツ優勝エースの大阪桐蔭・徳山壮磨、センバツで注目された報徳学園の西垣雅矢、板野高校の150キロ右腕・森井絃斗、そして秀岳館の川端健斗や福岡大大濠の三浦銀二古賀悠斗のバッテリーが大学・社会人に進むことを決めプロ志望届を出さなかった。

さらに盛岡大付の植田拓、作新学院の鈴木 萌斗智弁学園の太田英毅などもプロ志望届を出さなず、大学生でも法政大の熊谷拓也や富士大の小林遼、立正大の小畑尋規、桜美林大の大平達樹のプロ注目3捕手も、そして上武大の鳥巣誉議もプロ志望届を出さなかった。

ドラフト会議当日、候補が少ない影響はドラフト1位から早くも見えた。清宮幸太郎選手の7球団重複、中村選手と田嶋投手に2球団、東投手に1球団が指名する。これは例年でもあり得るが、外れ1位で安田選手に3球団、村上選手に2球団が指名重複、そしてさらに馬場皐輔投手にも重複し、その割を食ったのは福岡ソフトバンクだった。一つの球団が3度の抽選を外すのは2013年の日本ハム以来、つまりこの年の大学生が高校3年生の時のドラフト以来となった。

ドラフト会議でドラフト1位は高校生が5人、大学生5人、社会人2人だったが、2位まででは高校生8人、大学生8人、社会人8人と並ぶ。不作と言われた大学生世代だが、比較的持ち直した数字といえるが、それでも例年から比べると少ない人数で、全体では114人中、高校生49人、大学生33人、社会人23人、独立リーグ9人という結果となった。

最後に

2017年は不作という言葉を何度も使い、申し訳ない気持ちです。ですが、やはり表現としてはそなってしまいます。

不作の要因としても、前後の年がより豊作だったりすると、その学年の選手にポジションを奪われ、間の世代は不作となってしまう。全体的に本当に選手がいなかったのか、それとも選手は例年通りだったけど前後の年の選手が良すぎたのか、それはわかりません。でもそういう世代からもプロ野球で名選手が登場してくるし、世代を代表する松井裕樹投手や森友哉選手が活躍を見せ、山岡泰輔投手も力を見せ始めています。斉藤大将投手や鍬原拓也投手、東克樹投手など、この世代の選手には、今後も注目して行きたいと思います。

 

今年も昨年と全く同じ114人がプロ入りをします。プロ野球へのあこがれを叶えるて喜ぶ姿は、高校生も大学生も社会人も独立リーグも一緒だと感じました。能力だけでなく、いろいろなガマンをして、他にも使えた時間を野球のために使い、努力を重ねて掴んだ夢の大きさは計り知れないものがあると思います。ただ、それ以上に多くの選手が、同じくらいの時間を使い努力をしたにも関わらず、プロ野球の夢を諦めなければならないという事にもなります。夢を掴めるのは毎年114人前後しかいないのですから。

その努力が結果がもっと話題になってプロのスカウトから注目されれば、もしかするとドラフト会議で指名されたような選手は、全国にたくさんいるようにされるように感じています。これからも少しでも多くの選手の話題を取り上げ、注目されるようにすることで応援していきたいと思います。それだけプロ入りをした選手とできなかった選手の差は大きく離れていないと思うのです。

プロ入りの夢が叶った選手は、本当におめでとうございます。しかしプロには、今までの精一杯の努力で夢をかなえた選手たちが集まっている舞台です。私たちはアマチュア時代に期待した以上の姿を、プロ野球の舞台で見せてくれるのを待っています。

そしてドラフト会議で指名されなかった選手へ、いろいろな決断をすでにしていると思います。1年後、2年後、3年後、4年後のプロ入りに向けて動き出した選手には心から応援をしたいと思います。そしてまたこのページで名前を取り上げたいと思っています。

 

1996年のドラフト会議からスタートしたドラフト会議ホームページですが、その年に広島カープの2位で指名された黒田博樹投手が昨年引退し、福岡ダイエーに1位指名された井口選手が引退をし、そして監督に就任しました。また、その年に新日鉄君津からドラフト2位で西武に指名され、リリーフとして活躍し、コーチとしても活躍をし始めた森慎二投手が今年亡くなりました。豪快なフォームからの大きなフォークを、長身でイケメンだった顔を、当時大きく取り上げたことを思い出します。

森投手のアマ・プロでの活躍に感謝し、ご冥福をお祈りいたします。

2018年は平成最後の年となります。そしてセンバツは第90回、夏の甲子園大会は100回を迎えます。2000年生まれの選手達が高校3年生となりドラフト会議を迎えます。

ドラフト会議ホームページは22年目のシーズンに入り、また多くの選手を紹介して行きたいと思います。

(おわり)


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