巨人がスカウト会議を開き、10月20日に行われるドラフト会議で、高松商の浅野翔吾選手を1位指名することを公表した。
名前は明かさずも
スカウト会議後に大塚副代表が取材を受け、「1位は間違いなく将来性でいきますよ。くじ引きになるんでしょうけど、そこにいきますよ」と切り出す。そして、U18W杯のメンバーかと聞かれると「そのメンバーですよ。別に隠してもしょうがないから。体は小さいですけど、3拍子そろってパンチ力もあるしね右にも打てるしね、足も速い。スター性ですよ、一番はね。将来スーパースターになるような素材だなと思ってますよ」と話し、名前は明かさずも浅野翔吾選手とわかる表現で1位指名を公表した。

昨年は公表はせずに隅田知一郎投手を1位指名、一昨年はドラフト会議の前日に佐藤輝明選手の1位指名を公表、2019年も公表しないことを明言し、ドラフト会議では奥川恭伸投手を1位指名した。今年は突出したドラフト1位候補選手がいない中で、まずは12球団最初となる公表、そして他球団も1位候補に挙げている浅野選手の指名を公表することで、優位に進めようとする狙いも含まれそうだ。
外れ1位候補は6人
また、大塚副代表は「外したときに外野手にいくのか内野手いくのか、他のチームは何位で指名にいくのか、そういう話し合いですね」と話し、ドラフト1位指名のシミュレーションを行ったと話す。「6名ぐらいやりましたよ。外した場合はどこかで即戦力の投手もほしいなというのもあるから、どうしようかというのは今後」と話し、外れ1位候補は6人で、それらの選手を他球団がどのように指名してくるかを話し合った。
ハズレ1位候補6人を予想すると、中央大の森下翔太選手、中京大の沢井廉選手、早稲田大の蛭間拓哉選手、日体大の矢澤宏太選手、東芝の吉村貢司郎投手、大阪経済大の才木海翔投手、大阪桐蔭の松尾汐恩捕手が挙げられるのではないかと考える。
森下選手は主砲・岡本和真選手と同じ右だが、今年の大学・社会人の中でスラッガータイプの選手としてトップクラス。沢井選手は左打者のスラッガーではNO.1と評価する。蛭間選手と矢澤選手は俊足の外野手として、将来、外野の一角を任されて足と長打を併せ持つ選手になりそう。また、高校生野手という流れでは外野手の浅野選手と比べ、捕手という貴重なポジションで注目される松尾選手も候補に入ってくるかもしれない。
また、即戦力投手もほしいということで、今年の候補の中でNO.1の即戦力といえる東芝の吉村投手が挙げられる。他にも東京ガスの益田武尚投手、富士大の金村尚真投手、専修大の菊地吏玖投手などもその次の候補となりそうだが、巨人は昨年のドラフト会議で他球団のマークの少なかった大勢投手を指名しており、ここまでの5人は他球団が単独1位指名をする可能性もある事から、スカウトの視察も比較的多いものの、球団によって評価が分かれていると見られる大阪経済大の才木海翔投手が入ってくるのではないかと予想する。
抽選
ドラフト1位で指名重複した場合には、原監督が抽選を行うことになった。原監督はドラフトでのくじ運が悪く、ここまで1勝11敗となっている。しかし、大塚副代表は「これだけ外れれば当たる。もう、監督以外駄目だ!」と話し、原監督に抽選の大役を頼み込んだという。
巨人は1位指名で3球団以上が競合した1位指名の抽選は、1995年の福留孝介選手以降、昨年の隅田投手まで15連敗中で、そのくじ運を今年変えることができるかも注目される。


異例の“スピード公表”で熱意を示し、駆け引きも仕掛けた。今年は突出した候補選手が少ないともいわれ、夏の甲子園を沸かせた浅野に人気が集まることが想定される。大塚副代表が「(くじを)外したときに外野手にいくのか内野手いくのか、他のチームは何位で(誰に)指名にいくのか、そういう話し合いですね」と話すように、外れ1位でも競合する可能性がある。巨人は外れ1位候補6人でのシミュレーションも実施するなど、競合覚悟で浅野を熱望するが、競合回避で有望選手の一本釣りにかじを切る球団が出てきてもおかしくない。真っ先に“公表”することで、他球団のドラフト戦略をけん制する狙いも見える。

《他球団も上位候補に》浅野については各球団が上位候補としてリストアップしている。日本ハムは8月26日に行ったスカウト会議で、日体大の二刀流・矢沢ら1位候補の12選手に浅野も残している。また、楽天・石井監督兼GMも「パンチがある。小柄だけどスイングも大きくて良い打者」と高く評価し上位候補としてリストアップしていることを認めた。広島も8月のスカウト会議で、近江・山田とともに高評価していることを明かした。


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