夏の甲子園大会では49校全てが登場し、甲子園のネット裏でチェックを続けていた福岡ソフトバンクの永井スカウト部長が、大会で目立った選手などを評価した。
永井部長が評価した選手
投手では、
今朝丸裕喜(報徳学園):「大型投手って、コントロールに難があるとよく言われる中で、今朝丸君は身長188センチの大柄の割にストライクがちゃんと入るんですよ。まだまだ伸びしろを感じますし、ドラフト上位候補だと思います」
有馬恵叶(聖カタリナ):「有馬君は、去年の秋はベンチに入っていなくて、本格的にピッチャーをやり出したのも最近らしいと聞いています。そういう見方をすると、特に、伸びしろがすごいんだろうなと思いますね」
など長身投手について評価し、今大会では今朝丸投手と藤田琉生(東海大相模)を、また甲子園に出場できなかった柴田獅子(福岡大大濠)、清水大暉(前橋商)選手を挙げ、「このあたりが、大きいピッチャーで、素材感のある高校生というところですかね」と話し、柴田投手について「甲子園に出た今朝丸君や藤田君らと、いい比較になるくらいの選手じゃないかなと思っています」と同格と評価した。
他には
高尾響(広陵):「高尾君は、今まで名前を挙げたピッチャーとは正反対で、小さい(身長172㌢)けどピッチングはできていますね。なんかもう、2軍の試合でも抑えられそうな気もしますね、今でも」
関浩一郎(青森山田):「彼も大きいですよね」
田崎颯士(興南):「、去年からずっと、2年生の時から担当スカウトも目を付けていたんです、地元九州・沖縄でもありますしね。大阪桐蔭に負けましたけど、田崎君はめちゃくちゃいい素材ですよ。今後の成長がホントに楽しみです」
と評価した。また、報徳学園に勝利した大社の馬庭優太投手について、「いい左投手ですよ。試合に出てきた瞬間に、おっ、この子いいって思いました。」と評価した一方で、甲子園のチェックリストに名前が無く、担当スカウトが「いいピッチャーなんですけど、進学の方向らしいので、名前を載せていませんでした」と慌ててフォローをしたというエピソードを明かした。
野手では、
箱山遥人(健大高崎):「今年の高校生のキャッチャーでいうと、彼はトップランクじゃないですか。守備もできる、打撃も良くてバランスがいいですね」
宇野真仁朗(早稲田実):「右肘の状態が良くない、と事前には聞いていたんですが、結構ちゃんとスローイングだってできていましたね。バッティングはもともといいんで、あとはショートというポジションですから、ちゃんと見極めないといけないのは、プロに入った時に、ショートになるのか、セカンドかサードになるのかというところで、大きく評価は違ってくるんです。打撃型であるのは、間違いないですね」
石塚裕惺(花咲徳栄):「石塚君は、僕の中では宇野君と同等の評価です。2人ともショートが守れるというのであれば、もうトップクラスです」
中村奈一輝(宮崎商):「中村君は石塚君、宇野君とは逆で守れると思うんですよ。ただ、打撃がどこまでいけるか。ホントの守備型の選手になって、後から守りに行く、例えば今で言うなら、ウチの川瀬みたいなタイプの選手ですね。足と守備、スローイングもしっかりしていますし、ショートは守れるんだろうな、と思います。その選手ごとに特徴があるので、プロに入ってみてそれぞれの性格もあるし、チーム状況も当然ありますし、打撃がいい選手は、もしかするとショートじゃなくなったとしても出てくるかもしれない」
と評価し、宇野選手、石塚選手をオリックスの紅林選手タイプ、中村選手を川崎宗則選手タイプと評価した。
外野手では
正林輝大(神村学園):「高校生の外野手って、意外に評価が高く付きづらいんです。その中でも正林君は、ワンランク上じゃないかなと思っています。打つ方が、ホントにそれこそ、ウチの中村晃みたいな打撃センスもある、足と肩も意外にある。これはちょっと、高校生の外野手だからな、とは言えない選手ですね」
と高く評価した。
また2年生では
石垣元気(健大高崎): 「彼は、今年のドラフトでも獲りたいくらいです。今年の夏前に箱山君を視察するために、健大高崎高へ行ったんですよ。その時に投げてたんですけど『彼は?』ってなって、聞いたら2年生ですって。でも、もう彼を連れて帰りたい、って思いましたよ。石垣君、僕の好きなタイプのピッチャーです。ホントによかった。」
また、福田拓翔(東海大相模2年)についても「福田君という2年生の右ピッチャーが投げたんですけど、彼もよかったですね」と評価した。
全体評価としては、 「高校生は意外に楽しみな選手がいたかな」と評価した。特に素材型の投手が多く、
「高校生の大型の素材系って評価するところとしないところって、全然違ってきたりするんですよ。これって、結構〝ドラフトあるある〟だったりして、ウチの球団でも、最後のスカウト会議で担当スカウトに、この選手、育成じゃダメなのか確認してほしい、と言っていた選手が、他の球団の1位で呼ばれたりとか、えっ、それで1位行くんやっていうのがあったり、逆にこの選手は上位でいなくなるやろうな、ポジションからもちょっとご縁がないだろうな、とか思っていた選手が、下位の方でもまだ残っていたりとか場合とかありますからね。今年のドラフトでは、そんな感じの、色が出そうな気がします。結構、素材型のピッチャーが高校生には多いので、誰が1位で呼ばれて、誰が意外に他球団の評価がなかったのかな、ということになったりするかもしれませんね」
と、ドラフト会議で各球団の特色が出るのではないかと話した。
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