4度出場した甲子園の申し子・広陵の高尾響投手が甲子園から去る。進路については「社会人かプロ」と話した。
不安を抱いて臨んだ最後の甲子園
高尾響投手は4度の甲子園に出場した。しかし4度の中で一番状態は良くなかったのではないかと思う。
初戦で熊本工を9回6安打9奪三振1失点に抑えた高尾投手、9回のピンチの場面でその試合の最速146キロを記録したものの、全体的には球速はあまり出ておらず、センバツのほうが良い投球だったのではないかと感じた。
そしてこの日は山口大樹投手が先発し、5回1アウト2塁の場面で甲子園9度の登板で初となるリリーフ登板をしたものの、3連打を浴びて3失点をしてしまう。そして6回も3者連続の2ベースヒットなど4連打で3失点し甲子園のマウンドから降りた。1回1/3を投げて7安打0奪三振1四球5失点という内容で、この日の最速は139キロだった。
「途中からで、自分が抑えてやるって気持ちで入ったんですけど、それが試合の中で実行できなかった。」と話した。
高尾投手は広陵に入学し1年の春に背番号1を背負ってから、一度もこの番号を譲ること無く守り通した。中井監督も1年から背番号1を着け続けた投手を「記憶にない」と話し。しかしこの夏は、広島大会で4試合を投げて19回で1失点と好成績だったが、「フォームがバラバラ」で不安を抱いて臨んだ甲子園だった。中井監督もエースの不調を考慮し、「山口のほうが良かった」と先発させたものの、「誰にも1番を譲ることなく先発マウンドを踏み続けてきた彼を先発させなかった。監督としてすごく悩んだ。僕の責任」と話した。
4度出場し、9度登板した甲子園のマウンドに別れを告げた高尾投手だったが涙はなく、「終わったんですけど、自分の中では悔いなく終われたかなと思います」と話し、やりきった表情を見せたものの、「中井監督からは大事なところでいくぞと言われていて、その気持ちの準備は自分の中でできていたんですけれども、パフォーマンスのところでしっかり発揮することができなかった。そこは自分の中ではその悔しい気持ちはあります」と悔しさも述べたが、「4度も出場させてもらえた」と甲子園を感謝を述べた。
卒業後について聞かれると、「社会人かプロ」と答えた。目標としている投手は広陵OBで広島の野村祐輔投手で、「技でかわしてバッターを打ち取るお手本のようなピッチング。自分もそういう投手になりたい」と話す。この夏は不調だったものの、すでにソフトバンクの永井スカウト部長が「なんかもう、2軍の試合でも抑えられそうな気もしますね、今でも」と話すように、大学の4年間は長すぎるように感じる。
社会人を選ぶなら広陵高校から大阪ガスに進み、3年目の2022年にドラフト5位で広島に指名された河野佳投手のような進路になるかもしれないが、社会人で成長するかプロで成長するかという所だろう。個人的にはプロ志望届を提出すればドラフト2位前後で指名されて良い投手だと思うが、この夏の調子や体のサイズ感からすると、プロの球団は上位指名では行きにくいかもしれない。高校生は体のサイズを見て将来性をはかる事が多い。ただし社会人で実績を積めば、体のサイズに関係なく3年後にドラフト上位指名という事は考えられる。あとは高尾投手が3年間をどちらで成長するほうが良いかという判断となる。
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