9月に沖縄で開催されるU18ワールドカップに向けた侍ジャパンU18代表候補強化合宿は4日、紅白戦を実施し、プロのスカウト陣が熱い視線を送る中、各選手がアピール合戦を繰り広げた.
剛球で存在感を示す高蔵寺の左腕・芹沢大地
甲子園未出場の高蔵寺の左腕・芹澤大地投手はこの日、紅白戦に出場した投手で左腕では1位となる147キロを記録し、2回打者10人に3安打で1失点したものの、4つの三振を奪う好投をみせた。「一流の打者に直球で空振りを取れたりと自信になりました」と話した。
この日はプロのスカウトは編成担当者など40人ほどが集結したが、
中日・山田スカウト:「レベルが高い中でも光るものがあった。あらためていい素材だと感じた」
横浜DeNA・八馬アマスカウティンググループリーダー:「今日は高蔵寺高校!」
阪神・筒井スカウト:「見ていてワクワクする。高橋遥人を連想するような素材。非常にいい。体の使い方がうまい」
と評価した。
芹澤投手は中学時代は無名の選手で、愛知では好成績を残す公立の高蔵寺高校に入学して、フォームのバランス、力強さなどが急成長をした。成長した要因について、「自分でもよく分からない」と話すなど天然の素材で天才肌の選手と言える。将来的にプロ入りを目指しているものの、現在は自らに技術不足などを感じている様子で、大学に進学して高いレベルの技術を手に入れたあとでプロ入りを考えているという。
しかし、現時点で今年の高校生左腕投手では、全国でも5本の指に入る実力があり、プロ志望届を提出すれば、ドラフト会議で上位指名もあるかもしれない。
未来富山の左腕・江藤蓮も好投でアピール
未来富山の速球派左腕・江藤蓮投手も2イニングをパーフェクトに抑える好投を見せ、小倉全由監督は芹沢投手と同様に「初めて見させてもらった未来富山の子と芹沢くん、いいボール投げますよね。夏まで楽しみ」とコメントし、その将来に期待を寄せた。
江藤投手も180cmの左腕投手で、昨年秋までは143キロを記録している。本格派左腕としてすでに注目されており評価が高い。この日の投球で全国にその名が響き、これから夏にかけて注目されていく投手だろう。
最速148キロを計測した滝川の右腕・新井瑛太投手
投打で注目を集める滝川の新井瑛太投手は、紅白戦で最速148キロを計測した。2回を投げてバント安打などで2安打を許すも無失点に抑え、「高めの直球で空振りを取れたので自信を持ちたいです」と話した。
阪神のスカウトは「素材は非常にいい。体の使い方がうまい」と評価した。
新井選手は最速151キロの速球を投げる投手と共に、バッターとしても非常に良いスイングでパワーも十分ある。春先から複数のプロスカウトが視察に訪れるなど注目されている。
昨夏V腕・京都国際の西村一毅は2回パーフェクト
昨夏の甲子園優勝投手である京都国際の西村一毅投手は、紅白戦で2回をパーフェクトに抑える好投を披露、センバツ優勝の横浜の4番を打った奥村頼人選手から三振を奪うなど、高校生では打てないと言われる消えるスライダーを武器に3つの三振を奪った。
「少し力んだけど、変化球をうまくコントロールできました。手応えありました」と自信を深めた様子だった。
西村投手は進学を明言しており、大学で体を作ってストレートの球威も増した時に、このスライダーとのコンビネーションでドラフト1位級の投手になりそうだ。
大阪桐蔭の剛腕コンビも無失点
プロ志望を表明している大阪桐蔭の森陽樹投手は最速147キロを計測し2回無失点。初回は力みが見られたものの、2イニング目の最後には、センバツで活躍した智弁和歌山の藤田一波選手をキャッチャーゴロに打ち取った。
「ストレートで打者に向かっていく気持ちだった。2イニング目は直球でファウルや空振りを取れた。」と話すも、「まだまだです。ここから夏に向けて上げないと」と話し、「夏は絶対に甲子園に行くつもりでやっていく」と成長を誓った。
また、中野大虎投手も走者を出しながらもバックの好守もあり無失点に抑えた。
3安打と気を吐いたエナジックスポーツ・イーマン琉海
選抜大会で活躍したエナジックスポーツのイーマン琉海内野手は紅白戦で4打数3安打と存在感を示した。代表候補の投手陣から「なんとか食らいついて対応できた」と結果を出し、「出塁が大事。木製バットにある程度、対応できたのでよかった。ミート力には自信がある。守りも打撃もいい選手が多いので、いろいろな人の技術的な話を聞いて、すごいプラスになりました」と手応えを感じていた。
小倉全由監督も「うまいですよね。外角打ちもしつこくて足も速い」と、その打撃センスと俊足を評価した。
イーマン選手は164cmと小柄だがスピードのある二塁手で、センバツ大会では2試合で1番を打ち、10打数8安打と大活躍を見せてインパクトを残した。こちらも天才的な打撃を武器に、夏の大会へ、そして侍ジャパンU18代表入りをしてくると、更に注目度が上がってくる。
センバツV腕・横浜勢の打撃も光る
センバツ優勝校の横浜からは、為永皓内野手が右越え2ランホームランを放ち、奥村凌大内野手も右越え三塁打を放つなど、長打を放った。木製バットを使っての長打に、小倉全由監督は「よく振れている」と話し、優勝校の選手の打撃に満足そうな表情を見せた。
多くのプロスカウトが視察する中、高校球児たちがそれぞれの持ち味を発揮したU18代表候補強化合宿。夏の甲子園、そしてその先のワールドカップに向けて、彼らの成長から目が離せない。










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