春季高校野球群馬大会の準決勝で、今秋ドラフト1位候補に挙がる健大高崎高校の石垣元気投手(3年)が、左脇腹痛から復帰後初の公式戦マウンドに上がった。強豪・前橋育英高校を相手に7回を投げて3安打7奪三振で2失点にまとめ、関東大会出場を決めた。この試合にはNPB7球団、MLB1球団、計8球団のプロスカウトが視察した。
完全復活アピール、151キロ
今春センバツ高校野球で大会史上最速となる155キロをマークした石垣元気投手。しかし、センバツ直前に左脇腹を負傷しており、センバツ後の公式戦登板は見送られていた。
この日が、センバツ準決勝の横浜高校戦以来となる約2か月ぶりの公式戦登板となった。前橋育英高校との準決勝に今大会初登板、先発すると7回を投げて3安打2失点(自責1)、7奪三振と試合を作り、チームの10得点によるコールド勝ちを呼び込んだ。4回には直球を被弾したが、「スーパークイックで詰まらせようと思ったんですけど、少し甘く入ってしまった」と話した。
怪我については「もう大丈夫」と完全復活を強調。まだ「ずっと調子は悪かった。今日もあまり良くなかったんですけれど」と本調子ではないことを認めつつも、「自分なりに要所、要所をしっかりと抑えられた。70点ぐらいかなと思います。今日はストレートが一番良かったので、ストレート中心に攻めていこうっていう話はしていました」と語り、まずはストレートを中心に投げて勝利をした事に手応えを感じている様子だった。
日米計8球団スカウト熱視線、多彩な変化球も評価
ドラフト1位候補として注目される石垣投手の復帰登板には、NPB7球団、そしてMLB1球団のスカウトが集結。巨人、オリックス、東京ヤクルト、広島など、計8球団のプロスカウトが熱い視線を送った。
この日の最速はスカウトのスピードガンで151キロを計測。ストレートを軸に、カーブ、フォーク、スライダー、そして後半からはカットボールも使用するなど、多彩な変化球を効果的に織り交ぜたが、スカウトからは、その投球に対し高い評価が寄せられた。
- 巨人・大場スカウト:「力感なく強い球が投げられている。夏が非常に楽しみ」
- オリックス・岡崎スカウト:「いろいろ試しているように見える。1位でいくかいかないかの選手」
- 東京ヤクルト・橿渕聡スカウトグループデスク:「やっぱり球は速いし、球種も豊富。どうしても高校生投手としては見ることができない。その上でまだ眠っている潜在能力もある。チェンジアップやフォークをカウント球に使ってみたり、後半からカットボールを使用したり、チームを勝利に導く中でもレベルアップするために狙いのある投球ができる。再現性の部分はこれからですが、すばらしい投手です」
力感なく強い球を投げられている点や球種の豊富さ、そしてチームの勝利に貢献しつつもセンバツから更に進化を見せる投球ができている点を高く評価した。
横浜戦の悔しさバネに「打倒横浜」!夏に照準合わせるドラ1候補
健大高崎高校は、昨秋の新チーム始動以降、公式戦で横浜高校以外には負けがない。特に昨秋の関東大会決勝、今春のセンバツ準決勝と、神奈川の絶対王者である横浜高校に2度敗れている。石垣元気投手は、センバツ準決勝の横浜高校戦で救援登板し、自身の自慢の直球が捉えられた悔しさ(4回2/3、6安打3失点)を忘れていない。
その経験から、「左打者の内角直球」を課題に取り組んできた。前橋育英戦では、左打者の4番に対し「良い感じで投げられた」と手応えを得ている。選抜後初の公式戦では、初球から変化球を続けるといった新たなスタイルも披露し、レベルアップへの意識の高さを示した。「何の大会も絶対勝ちたいと思っているのでまずは明日。勝って群馬1位で関東大会に行けるように頑張りたい」と話し、目の前の試合に集中しつつ、その先に繋がる目標を見据えている。
怪我からの復活見せる158キロ右腕、最大のライバル・横浜高を倒すため、関東大会、そして夏の甲子園にチャレンジをしていく。
石垣元気投手 プロフィール
- 氏名: 石垣 元気(いしがき げんき)
- 所属: 健康福祉大学高崎高校 3年
- 出身: 北海道登別市
- 生年月日: 2007年(平19年)8月16日(17歳)
- 経歴: 市立西小学校(柏木ジュニアーズ)- 西陵中学校(洞爺湖シニア)- 健康福祉大学高崎高等学校(1年春からベンチ入り、今春センバツ4強、大会最速155キロ記録)
- 投打: 右投両打
- 身長・体重: 180cm・79kg
- 50メートル走: 6秒2
- 遠投: 110メートル
- 最速: 158キロ(自己最速)
- 特徴: 今秋ドラフト1位候補の本格派右腕。最速158キロのストレートと多彩な変化球が武器。今春センバツで大会最速を記録。怪我からの復活を果たし、夏の甲子園での全国制覇、打倒横浜を目指す。



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