春季中国地区高校野球大会が31日に開幕し、初出場の英数学館(広島)は岡山東商に5-6と惜しくも敗れ、初戦敗退となった。しかし、最速147キロを誇るプロ注目右腕・藤本勇太投手(3年)が6回2/3を投げ6安打2失点103球の力投を見せ、視察に訪れたNPB9球団のスカウトに強烈な印象を残した。特に阪神と広島のスカウトからは高い評価を受けた。
プロ注目右腕・藤本勇太投手、6回2/3を2失点10奪三振の力投も涙
中国大会初勝利はならなかったが、藤本勇太投手がその能力の高さを見た。0-2とリードされた3回1死一、三塁の場面から2番手として登板すると、スカウトのスピードガンで146キロを計測したストレートや切れのあるスライダーを軸に、6つの三振を奪うなど好投。しかし、同点で迎えた8回1死から3者連続二塁打を浴びて決勝点を献上しマウンドを降りた。試合後、藤本投手は責任感から号泣。「気持ちが先走り、制球力が乱れてしまいました。ギアの上げ方や制球力はまだまだだなと感じました」と悔しさを滲ませた。
3人態勢の阪神と地元広島が高評価
この日の藤本投手の投球には、NPB9球団のスカウトが熱い視線を送った。阪神タイガースは畑山俊二統括スカウトを含む3人態勢で視察、また地元球団である広島カープのも白武佳久統括部長が視察し、高く評価をした。
阪神・山本宣史スカウト:「球が強く、腕も強く振れる。夏までに150キロ近く出せるようになれば、さらに面白い。夏まで見続けます」
広島・白武佳久統括部長:「いい投げ方をしている。フィールディングを見てもセンスを感じる。夏まで追いかけていい投手だと思います」
投げ方などフォームの良さ、腕の振りの力強さなどが高く評価された。
無名の中学時代から急成長、恩師の言葉を胸に聖地目指す
藤本投手は中学時代は私立校からの勧誘が2校のみと、決して注目される選手ではなかった。「甲子園は遠い存在だった」と当時を振り返る。そんな中、英数学館の黒田元監督から「勇太と一緒に野球がしたい」と書かれた手紙を受け取り、心が動かされ同校への進学を決意。高校入学後に投手に転向すると、その才能が一気に開花した。
入学直後に128キロだった球速は、2年秋までに142キロまで上昇。体重を4キロ増やし77キロで臨んだ今春には最速147キロを計測するまでに成長した。春の広島県大会では全5試合を完投勝利し、チームを初優勝に導いた。この日は9球団が視察するなどプロ注目の存在となった右腕が、この日の悔しさをバネに、最後の夏へ向けてさらなる成長を誓う。
藤本勇太投手 プロフィール
- 氏名:藤本 勇太(ふじもと ゆうた)
- 生年月日:2007年8月28日
- 出身地:広島県庄原市
- 経歴:東城ファイターズ(小学4年) – 東城中学校(軟式野球部) – 英数学館高校(3年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:177cm・76kg(今春77kg)
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速147キロのストレートと切れのあるスライダーが武器のプロ注目右腕。2025年春季中国大会1回戦の岡山東商戦で救援登板し、6回2/3を投げ6安打2失点6奪三振。NPB9球団のスカウトが視察し、阪神・山本宣史スカウトから「夏まで見続ける」、広島・白武佳久統括部長から「夏まで追いかけていい投手」と高評価を受ける。今春の広島県大会では全5試合完投勝利で初優勝に貢献。英数学館高校では1年春から背番号6でベンチ入り。50メートル走6秒6、遠投90メートル。

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