第107回全国高校野球選手権愛知大会の組み合わせ抽選会が14日に行われ、日米のプロ球団から熱視線を送られる高蔵寺の最速150キロ左腕・芹澤大地投手(3年)が、卒業後は社会人野球へ進む事を明言した。今春の高校日本代表候補合宿に公立校から唯一選出された逸材は、プロ志望届を提出せず、まずは社会人の舞台で自身を磨く決断を下した。
社会人野球入りを決断「プロを目指すために一番いい環境」
公立高校から突然現れた最速150キロ左腕・芹澤大地選手は、今年の高校生左腕投手のナンバーワンの呼び声が高く、プロ志望届を提出すればドラフト上位指名が確実という高い評価をされていた。しかし、高校生としてのドラフト戦線への登場も、そしてそこからの退場も、一瞬の閃光のような形で通り過ぎて行く。
この日、夏の愛知大会の組み合わせ抽選が行なわれ、中京大中京や東邦、愛工大名電といった強豪私学よりも、高蔵寺の芹澤投手に各校の注目が集まった。芹澤投手は「注目されている中だからこそ出たいし、出ないといけない。100%の力を出して、エースとしてチームを勝利に導く」と話し、公立の星として夏の甲子園出場の覚悟と責任感が滲んでいた。
そして進路についても明言した。「将来はプロで活躍したいので、卒業後は社会人野球に行きたい。プロを目指すために一番いい環境だと思う」と話し、夏の大会を前に自らの口で進路を明らかにした。世代屈指の投手として日米のプロ球団からも注目されたが、プロ志望届は提出せず、まずは社会人野球で実力を高める道を選んだ。このタイミングで進路を公表することにとって、最後の夏は純粋にチームの勝利と甲子園出場に全力を注ぐ事になる。
創部初の甲子園へ、激戦区からの挑戦と2年前のリベンジ
全国最多173チームが参加する激戦区・愛知。高蔵寺は、今春8強のシード校・三好などが入る厳しいブロックとなった。初戦の相手は知立。2年前、芹澤投手が1年生でベンチ入りしていた際に、初戦で敗れた因縁の相手だ。「夏の初戦の難しさを知った試合だった。先輩の負けを見ていたので、リベンジしたい」と、まずは雪辱を果たし、チームに勢いをもたらす。
初戦を突破すれば、2回戦では昨秋の県大会3位・名古屋たちばなと対戦する可能性がある。5月の練習試合では勝利しているが、「公立校として強豪の私立を倒せるところを見せたい」と、強敵をなぎ倒して創部初の聖地を目指す。
バッテリーを組む主将の大坂幸平捕手(3年)は、侍ジャパンU18候補合宿でテレビに映る相棒の姿に「いつも見ていた部活の友達が、ああいうところで映ると、レベルが違うんだなっていうのは感じました」と刺激を受けたという。そして、「注目を受けているからこそ、それに応えたいい試合をしていきたい」と、エースと共に戦う決意を語った。
まずはドラフトの舞台から降りたことで、進路による加熱からは開放され、夏の甲子園への熱い戦いに全力を傾ける。ドラフト会議を見守る者にとっては残念だが、ひとまずは今夏の芹澤投手の活躍を記憶し、3年後に今度は社会人野球で注目されるであろう芹澤投手に熱を注ぐ事としよう。
芹澤大地投手 プロフィール
- 氏名:芹澤 大地(せりざわ だいち)
- 所属:高蔵寺高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:左投(打席は調査中)
- 主な特徴や実績:最速150キロを誇るプロ注目左腕。日米のプロ球団から注目を集める“公立の星”。2025年4月のU18高校日本代表候補合宿に公立校から唯一選出された。卒業後はプロ志望届を提出せず、社会人野球へ進むことを明言している。



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