第107回全国高校野球選手権南北海道大会室蘭地区予選では代表決定戦が行われ、駒大苫小牧が鵡川に11-0で5回コールド勝ちし、2年ぶり28度目となる南北海道大会進出を決めた。4月に左足首のじん帯を損傷し、春の大会を欠場したエース左腕・寺田七将投手(3年)が、168球を投げ抜いた復帰戦から中1日での先発にもかかわらず、5回を1安打8奪三振無失点に抑える快投を見せた。
復帰2戦目で圧巻の投球「勝利に導けるピッチングを」
「復帰戦でふがいないピッチングをした。今日は野手を引っ張る立場で、勝利に導けるピッチングをしようと思っていた」。寺田七将投手はその言葉通りの投球を見せた。27日の大谷室蘭戦では2回に4失点をするなど序盤に抑えることができず、試合後半に安定した投球ができるようになって完投したものの、168球を投げていた。チームが10点を奪って逆転勝利だった。
この日はその168球から中1日での登板となったが、「昨日はちょっとあったんですけど、今日はほぼない状態までもっていけた」と話し、強豪の鵡川を相手に5回を投げて1安打無失点、毎回の8奪三振と完璧な投球でチームを南北海道大会へと導いた。最後の打者を打ち取った後も、相手のバットを拾って渡す余裕を見せた。
それでも佐々木孝介監督の評価は「50点。点数取られたら代えようと思いました。最初と最後にフォアボール、詰めの甘さ」と厳しかった。それでも、「彼は背負わなきゃいけない子だと思ってるんで。エースなんで、引っ張っていってもらいたい。信頼を置いてます」と、信頼を口にした。
どん底からの復活、チーム一丸で掴んだ切符
4月初めに左足首のじん帯を損傷し、投げられない日々が続いた。「自分がけがしてから、練習試合も一時期本当に勝てなくて」。スタンドから見守るしかなかった春季大会は、地区予選で敗退。チーム内では、2年生が3年生へ私生活の乱れなどを指摘する声が上がるなど、どん底の状態だったという。それでも「本音でぶつけてくれた」と寺田投手が語るように、この衝突がチームを一つにした。佐々木監督も「春に負けたことが、彼らにとって薬になった。カンフル剤になった。」と話し、3年生については「変わりましたね。良くなりました」と、チームの成長を認める。
寺田投手もリハビリ期間中は、腕のインナーマッスルや体幹トレーニングに励んだ。「腕の疲労はあまりない」と、地道な努力が連投を可能にした。どん底から這い上がってきたエースと仲間たち。一体感を増したチームで、18年ぶりの夏の聖地を目指す。
寺田七将投手 プロフィール
- 氏名:寺田 七将(てらだ ななと)
- 所属:駒大苫小牧高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:左投(打席は調査中)
- 主な特徴や実績:駒大苫小牧のエース左腕。2025年夏の南北海道大会室蘭地区代表決定戦で、168球完投の2日後に5回1安打8奪三振無失点の好投。4月の左足首じん帯損傷から復帰し、チームを2年ぶりの南北海道大会進出に導いた。3年生の投手では唯一のベンチ入り。


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