全国高校野球選手権佐賀大会では、高校1年時に甲子園を沸かせた鳥栖工のエースで最速147キロ右腕の松延響投手(3年)が、投げては3回2安打無失点、打っても決勝打を放つなど、投打にわたる大活躍でチームを牽引した。
兄との仮面ライダー兄弟から2年、エースで4番で主将の夏
2年前の夏、3年だった兄・松延晶音(あぎと)選手とバッテリーを組み、「仮面ライダー兄弟」として甲子園を沸かせた。兄が高校で野球を引退した今、弟の松延響投手はエースで4番、そして主将という3つの重責を背負い、最後の夏に挑む。「絶対に甲子園に行くという気持ちが高まった」と、その思いは強い。
この日はまずマウンドでその投球を見せた。3回42球を投げ、変化球はスライダー1球のみ。ほぼ全てストレートで球速も130キロ台がほとんど、6、7割の力感で「ボールの回転だったりを意識した」という投球を見せた。しかし、2回に2死一、三塁のピンチを招くとギアを上げ、この日最速の142キロを計測し空振り三振。結局、3回を2安打無失点に抑えた。大坪慎一監督も「少し球数は多かったが、相手を見ながら投げることができた。合格点」と評価した。
バットでは、1-1の同点で迎えた5回2死一、二塁のチャンスで、勝ち越しのレフト前タイムリー。8回にはダメ押しの3点タイムリー三塁打を放つなど、2安打4打点と4番の役割もきっちりと果たした。
横浜DeNAスカウト「指先の感覚がよく、パフォーマンスもよかった」
最速147キロ右腕にはプロのスカウトも熱い視線を送る。この日視察した横浜DeNAのスカウトも、その素質を高く評価している。
横浜DeNA・篠原貴行アマスカウト:「立ち上がりはバランスを意識して投げていた。指先の感覚がよく、パフォーマンスもよかった。体ができれば球速はまだ上がる」
この日は抑え気味の投球だったが、本気の出力を見せそうな試合には、球団首脳と訪れる球団もありそうだ。
フォーム改造で進化「力感がない投球を目指している」
松延投手は春に爪先重心で横振り気味だったフォームを、かかと重心の縦振りを意識するように改造。「思ったより来ていて、空振りも取れている」と話し、力感なくとも質の高いボールを投げられるようになったという。「力感がない投球を目指しているので、今日は良かった」と、自身の成長に確かな手応えを感じている。
2度目の甲子園にむけて好スタートを切った松延投手、大会終盤には147キロのストレートが火を吹く投球も注目される。
松延響投手 プロフィール
- 氏名:松延 響(まつのぶ ひびき)
- 生年月日:2007年7月22日
- 出身地:佐賀県
- 経歴:儀徳町少年野球(小2) – 鳥栖リトルシニア(中学) – 鳥栖工業高校(3年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:178cm・81kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速147キロを誇るプロ注目の二刀流。エースで4番、主将を務める。2025年夏の佐賀大会初戦で3回無失点、打っても決勝打を含む2安打4打点と活躍。DeNAの篠原貴行スカウトから高い評価を受ける。一昨年の夏、兄・晶音さんとバッテリーを組み「仮面ライダー兄弟」として甲子園出場。憧れの投手は西武・今井達也。



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