全国高校野球選手権埼玉大会の決勝では、2年連続で決勝に進出した昌平が叡明に2-5で敗れ、悲願の甲子園初出場はならなかった。プロ注目の4番で主将の櫻井ユウヤ外野手(3年)が、5回に一時勝ち越しとなる高校通算49号のソロ本塁打を放ったが、チームは逆転負け。試合後、涙はなく、スタンドで見守った母への感謝を語るとともに、「プロ一本」で勝負する決意を明言した。
母の声援を力に、一時勝ち越しの特大49号
「どんな時でも、誰よりも大きい声で応援してくれた」。主将としての責任感から、思うような結果が出ずに苦しんだ時期もあった。そんな時、いつも背中を押してくれたのが母・リンダさん(40)の声援だった。この日も球場に響き渡ったその声は、「叡明の応援に負けないくらいの声だった」と櫻井ユウヤ選手は話す。その声援を力に変え、1-1で迎えた5回、129キロのスライダーを完璧に捉えた打球は、左中間スタンドへ吸い込まれる特大の勝ち越しソロ本塁打となった。高校通算49号のアーチに、雄叫びを上げながらダイヤモンドを一周した。
しかし、チームは6回に逆転を許し、9回はネクストバッターズサークルで敗戦の瞬間を迎えた。「自分たちの野球をやりきれなかった。ホームランを打って、流れを持って来たかった。夏は絶対に優勝を達成したかった」。試合後、気丈に振る舞った主将だったが、その言葉には悔しさが滲んでいた。
決勝戦で飛び出した大きなアーチに、母・リンダさんは「やってくれると信じていた」と、誇らしげに息子の活躍を称えた。
「プロ一本でいく」日本を代表する打者へ
試合後、桜井選手は今後の進路について、「プロ一本でいきます。ドラフト会議で自分の名前が呼ばれたらいい。将来は日本を代表するホームランバッターになりたいと思っています」と明確に明言した。
両親はタイ人で、小学6年時にはソフトボール投げで81メートルを記録し日本一になるなど、幼い頃からその身体能力は群を抜いていた。中学1年から祖母の再婚相手の名字である「櫻井」を名乗る。昌平では1年春からベンチ入りし、世代を代表するスラッガーへと成長した。「昌平に来てよかった」。母と息子は、そう口を揃えた。仲間への感謝を胸に、桜井ユウヤの挑戦は、プロの世界へと続く。
個人的な評価としては、今年の高校生のスラッガーでは左では横浜・阿部葉太選手、東海大相模の中村龍之介選手、小松大谷・田西称選手がいるが、右では櫻井ユウヤ選手が唯一の存在、右の大砲候補ナンバーワンだろう。阿部選手、田西選手、中村選手がプロ志望をしない中で、櫻井選手が貴重さとともに評価も高まりそうで、現時点でドラフト3位までに指名されるものと予想する。
甲子園でアーチを見ることは残念ながら叶わなかったが、1年1年着実に成長している姿を見せており、プロに入ってからも成長を見せてくれると思う。ドラフト会議の指名に注目したい。
櫻井ユウヤ選手 プロフィール
- 氏名:櫻井 ユウヤ(さくらい ゆうや)
- 所属:昌平高校(3年)
- ポジション:外野手
- 投打:右投
- 主な特徴や実績:高校通算49本塁打を誇るプロ注目スラッガー。2025年夏の埼玉大会決勝で一時勝ち越しとなるソロ本塁打を放つ。卒業後はプロ志望届を提出する意向。両親はタイ人。小学6年時にソフトボール投げで81メートルを記録し日本一。昌平では1年春からベンチ入り。














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