全国高校野球選手権東東京大会は決勝が神宮球場で行われ、昨夏甲子園準優勝の関東第一が岩倉に7-1で勝利し、2年連続10度目となる夏の甲子園出場を決めた。投打の主軸、背番号8の坂本慎太郎投手(3年)が、投げては9回1失点完投、打っては4回に貴重なソロ本塁打を放つ大車輪の活躍。小学4年で母を、昨年12月に父を亡くした二刀流エースが、天国の両親と、支えてくれた兄姉に最高の恩返しを果たした。
「今日は自分の日」126球完投&ダメ押しソロHR
坂本慎太郎投手は、「今日は自分の日だと思っていた。強気な気持ちがプレーにものすごく出ていた」と話した。この日は「3番・投手」で先発すると、マウンドでは多彩な変化球を駆使する投球で、岩倉打線を7安打8奪三振1失点に抑え込む。試合中盤には「100球を超えても代えないでください」と米沢貴光監督に続投を志願。126球の熱投で、最後までマウンドを守り抜いた。
そして打撃でも、2-1と1点リードで迎えた4回、内角の変化球を捉えた打球はライトスタンドへ飛び込むソロ本塁打を放つ。8回にも4点を奪う猛攻の口火を切る右翼フェンス直撃の二塁打を放つなど、2安打で勝利に貢献した。
ライバル京都国際・西村投手との「約束」
甲子園に忘れ物を取りに行く。昨夏の甲子園決勝、京都国際との一戦で、1点を追う延長10回2死満塁のチャンスで、坂本選手は相手エース・西村一毅投手の前に空振り三振に倒れて最後の打者となった。その西村投手とは、今春のU18日本代表候補合宿で意気投合し、互いのグラブを交換。「夏の大会はこれを使おう」と決め、「甲子園で返せたらいいな」と誓い合った。
そして西村投手は前日に、一足早く甲子園出場を決めたことで大きな刺激となっていた。「決勝で西村と戦いたいと思います」。約束のグラブを手に、昨夏の雪辱を果たしにいく。
天国の両親へ「お父さん、お母さんも一緒に見てくれている」
「みんなが応援してくれていた。みんなの思い出が詰まっていた。みんなが支えてくれた。思い出して泣いてしまった」。その涙には、様々な思いが込められていた。
坂本選手は小学4年の時に母・雪子さんを、そして昨年の12月には父・三男さんを脳出血で亡くした。昨夏、甲子園で応援してくれた父との突然の別れ。「今も全く信じられないです」と、そのショックは大きかったが、姉や兄の支えで前を向いた。「お父さんも、お母さんも僕の中で生きていると思っています。どっちも自分が野球をやっている姿が好きでした」と、天国で見守る両親への思いを力に変えた。
5回無死満塁のピンチでも、「両親のことを思い出して絶対に抑えるという気持ちになった」と、後続を断ち切った。
「やっとスタートラインに立てた。絶対に優勝する」。天国の両親へ最高の報告をするため、坂本慎太郎の夏は、まだ終わらない。
坂本慎太郎選手 プロフィール
- 氏名:坂本 慎太郎(さかもと しんたろう)
- 生年月日:2007年5月1日
- 出身地:千葉県野田市
- 経歴:松戸柏リトルリーグ(中央小) – 取手リトルシニア(野田一中) – 関東第一高校(3年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:170cm・65kg
- ポジション:投手、外野手
- 主な特徴や実績:プロ注目の二刀流。2025年夏の東東京大会決勝で1失点完投&ソロ本塁打と投打に活躍し、チームを2年連続の甲子園出場に導く。昨夏の甲子園準優勝メンバー。U15、U18日本代表候補。最速139キロ。高校通算4本塁打。憧れの選手はカブス・今永昇太、ソフトバンク・近藤健介。

























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