全国高校野球選手権大会は10日目の2回戦が行われ、初出場で初戦を突破した聖隷クリストファー(静岡)が西日本短大付(福岡)に1-2で惜敗し、3回戦進出はならなかった。来秋のドラフト候補、2年生エース左腕の高部陸投手が8回を11安打9奪三振2失点と力投したが、打線の援護に恵まれず。試合後、笑顔を貫いてきたエースの目に、悔し涙があふれた。
8回に勝ち越しを許し「自分の力がなかった」
高部陸投手は試合後に、「自分の中で思い切って投げた球でした。自分の力がなかった」と話した。この日も初回から伸びのあるストレートを武器に、強打の西日本短大打線にヒットを許しながらも9つの三振で抑える力のある投球を見せた。しかし、1-1の同点で迎えた8回無死一塁。4番でプロも注目するスラッガー・佐藤仁選手(3年)を2球で追い込みながら、3球目の高めに浮いた142キロのストレートを捉えられ、左翼手の頭上を越える決勝のタイムリー二塁打を浴びた。1回戦で1失点完投勝利を挙げ、一躍注目を浴びた2年生左腕。この日も粘りの投球を続けていたが、116球の熱投も最後に力尽き、聖地での2勝目には届かなかった。
リードをしてくれた3年の武智遥士捕手が8回に同点タイムリーを放ち、追いついてくれた直後だっただけに、「自分を助けたいという気持ちで打ってくれたと思うので、何とか踏ん張りたかった」と、先輩の一打に応えられなかったことを悔やんだ。「3年生と一緒にプレーできる夏が終わった」。試合後に肩を落とした。
全国レベルを痛感「想像以上でした」
強力打線に、長打3本を含む11安打を浴びた。「振りが強かった。自分の直球なら抑えられると思っていましたが、想像以上でした」。静岡県内では「異質」とまで言われた自慢のストレートが、全国の舞台で通用しなかったわけではない。しかし、世代屈指の左腕は、この敗戦で「自分の力のなさを実感しました」と、さらなる成長への課題を見つけた。
上村敏正監督も「あれだけ打たれても、あそこまでよく抑えた」とエースを労ったが、「まだ目標が甲子園出場だったと思う。全国で戦える本物のチームになっていかないといけない」と、チーム全体の次なるステップを見据えた。
甲子園の土は持ち帰らない「もう一度、この舞台に」
高部投手は聖地の土は持ち帰らなかった。「もう一度、この舞台に帰ってくる」。その固い決意を胸に、甲子園を後にした。武智捕手も「新チームで仲間を引っ張る立場になってほしい」と、後輩に思いを託した。この悔しさを糧に、来年の夏、さらに大きく成長した姿で、必ずこの場所へ戻ってくる。
この夏に2年生BIG4としての地位を確立した。来年はドラフト上位候補選手としても注目される舞台となる。
高部陸投手 プロフィール
- 氏名:高部 陸(たかべ りく)
- 生年月日:2009年1月5日
- 出身地:埼玉県深谷市
- 経歴:根住少年野球(根住小1年) – 武蔵嵐山ボーイズ(深谷南中) – 聖隷クリストファー高校(2年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:174cm・68kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速147キロを誇る2年生左腕。2025年夏の甲子園1回戦で1失点完投勝利を挙げ、チームに甲子園初白星をもたらす。2回戦では8回2失点9奪三振と力投。プロの平均を上回る毎分2500回転のストレートが武器。中学時代にジャイアンツカップ出場。










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