日米通算4367安打のレジェンド、イチロー氏(52=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が11月24、25日の2日間、今秋の明治神宮大会で初優勝を飾った九州国際大付(福岡)をサプライズ訪問した。高校生への指導は通算13校目。神宮大会でバックスクリーン弾を放った来秋ドラフト上位候補・牟禮翔外野手(2年)を指名して熱血指導を行い、「プロはゴールじゃない」という金言と共に、愛用のバットをプレゼントした。
「プロに入る前提で過ごせ」イチ流の心構えを伝授
「現段階で日本一強いチーム。俺、いらないでしょ?」。そんな冗談交じりの挨拶で始まった夢の時間。イチロー氏は初日のキャッチボール相手に、チームの主砲である牟礼翔選手を指名した。
ボールを交わしながら、レジェンドは未来のスター候補に語りかけた。「目標がプロとか駄目だから。プロに入ることは前提で過ごさないと。全然、ゴールじゃないから」。プロ野球選手になることは通過点であり、その先を見据えて高校生活を送るべきだという“イチ流”の心構えを説いた。
「この柔らかさはなかなかいない」打撃を絶賛しバット贈呈
打撃練習では、牟礼選手の特長を即座に見抜いた。「バットを持っている方が大きく見えるね。柔らかく見える。この柔らかさはなかなかいない」。身長180センチ超の恵まれた体格と、柔軟性を兼ね備えた打撃センスを「想像以上」と称賛した。
さらにイチロー氏は、自身の木製バット(アッシュ材)を牟礼選手にプレゼント。「これ、アッシュ。しなりが出るのよ。プロに行ったときにどっちがいいか、知っておいた方がいい」。竹バットで柵越えを連発するスラッガーに対し、プロの世界で主流となるバットの特性を教え、自身の“相棒”を託した。
「センバツV候補筆頭」王者に太鼓判
また、明治神宮大会で大型左腕としての能力を全国に轟かせた岩見輝晟投手もイチロー氏とキャッチボールを行い、イチロー氏が目をつぶってスローイングをしても、全部胸元近くに来る事に刺激を受け、全部胸の近くにきていたので、これがメジャーにいく人かと。最初は難しかったが、どんどん投げていくうちに感覚もつかめて。最後はちゃんといったのでよかった」と話した。
イチロー氏は合流前のトレーニング中に左太もも裏を肉離れしていたが、痛みを隠して指導にあたった。走る姿こそ見せられなかったものの、神宮王者のレベルの高さに「これが日本一かと納得のレベルだった。センバツは当然、優勝候補の筆頭」と太鼓判を押した。
イチロー氏の恩師である故・仰木彬監督が眠る福岡の地で行われた熱血指導。世界を知るレジェンドからの言葉とバットを受け取った牟礼選手と九州国際大付ナインが、春のセンバツで頂点を目指す。
牟礼翔 プロフィール
- 氏名: 牟禮 翔(むれ・しょう)
- 所属: 九州国際大付属高校(2年)
- 出身: 福岡県
- ポジション: 外野手
- 投打: 右投左打
- 主な特徴や実績: 走攻守三拍子揃った大型外野手。明治神宮大会準々決勝ではバックスクリーンへ特大の一発を放ち、チームの初優勝に貢献。イチロー氏から「柔らかさ」を絶賛された来秋ドラフトの注目株。















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