3月19日に開幕する第98回選抜高校野球大会の甲子園練習に、出場32校の先陣を切って近江(滋賀)が聖地のグラウンドに姿を現した。午前9時、一番乗りで飛び出したナインを牽引するのは、主将で強肩捕手の杉本将吾選手(3年)だ。打撃練習では左翼席へ鮮やかなサク越え弾を放ち、好調ぶりをアピール。昨年4月に就任した小森博之監督(42)にとっての甲子園初采配を勝利で飾るべく、同じくプロ注目のスラッガー・箕浦太士選手(3年)と共に甲子園での躍動を誓った。
聖地練習一番乗りの感謝、杉本将吾選手が描いた左翼席へのアーチ
誰も足を踏み入れていない、まっさらな甲子園のグラウンド。その光景を真っ先に目にした近江の杉本将吾主将は、深い感謝の念を抱いていた。「誰も使っていないきれいなグラウンドでやらせてもらうことができて、感謝とうれしい気持ちでした。夢の球場でバッティング練習ができた。放り込めたとかは関係なく、打席に立てたことがうれしかったです(スポーツ報知)。」と、練習後に白い歯を見せた。
30分間の限られた練習時間のなかで、杉本主将のバットは快音を響かせた。センター返しを意識したスイングから放たれた打球は、そのまま左翼席へと吸い込まれた。高校通算26本塁打を誇るパワーを本番前に聖地で見せた。2024年春以来の出場となる近江だが、現在のメンバーにとっては全員が初めての甲子園。杉本主将は「(手応えは)すごくよかった。チームが勝つことに貢献できる打撃をしたい(中日スポーツ)。」と語り、自らのバットでチームを牽引する覚悟を新たにした。
小森監督の英才教育、8月「40試合フル出場」の過酷な夏を越えて
杉本将吾捕手の急成長の裏には、小森博之監督による徹底した指導があった。小森監督は、2001年夏に近江の主将・捕手として準優勝を果たした輝かしい経歴を持つ。同じ捕手の後輩である杉本選手に対し、指揮官は「英才教育」を施した。象徴的なのは昨年8月の特訓だ。1ヶ月間ですべてダブルヘッダー、計40試合の練習試合に、杉本選手だけが唯一全試合フル出場を果たした。
炎天下のなかでの連戦に、杉本選手は「何もできなくて毎日、嫌になったこともある(スポーツ報知)。」と漏らすほど追い詰められたが、それが大きな自信へと変わった。小森監督は「(打撃は)元々、勝負強さはあったけど、下半身の強さに経験が加わり、一段と良くなった。心技体の充実でしょう(スポーツ報知)。」と、今大会の出場選手中2位の打率5割7分7厘(昨秋)を記録した教え子の成長を高く評価している。監督就任1年目、コーチ時代を含め19年間チームを支えてきた小森監督に、杉本主将は「僕たちの代で監督さんに、まず1勝をプレゼントしたい(スポーツ報知)。」と、恩返しを誓っている。
箕浦太士選手とのスラッガー競演、切磋琢磨が生んだ強力クリーンアップ
近江打線の看板は、杉本主将だけではない。1年春から4番を経験してきた箕浦太士選手が、怪我を乗り越えて完全復活を遂げている。箕浦選手は1年冬に右足かかとを疲労骨折し、昨年は「率(4割8分1厘)は残せたけど、長打が出なかった(スポーツ報知)。」と悔しい思いをした。この冬、個人練習で毎日1000スイングを自らに課し、徹底的にバットを振り込んだことで、本来の飛距離を取り戻した。
長打力に自信を持つ杉本主将に対し、箕浦選手は「(飛距離は)譲れない。杉本が打つとうれしいけど、悔しい気持ちもある。甲子園でホームランを打ちたい(スポーツ報知)。」とライバル心を燃やす。昨秋の近畿大会でも中軸として機能した二人の存在は、近江が誇る粘り強い守備に、「打ち勝つ野球」という新たな彩りを添えている。22日の大垣日大(岐阜)との初戦は、2023年夏に敗れた相手とのリベンジマッチ。二人の祝砲が鳴り響けば、勝利はぐっと近づくはずだ。
新生・近江の歴史を刻む春へ、「挑戦者」として挑む大垣日大戦
多賀章仁前監督が築き上げた近江の黄金時代。そのバトンを継いだ小森監督は、コーチとして長く歩んできた道から一歩踏み出し、今度は監督として聖地のベンチに座る。杉本主将が語る「小森先生に1勝を」という思いは、ナイン全員の総意でもある。堅守を伝統としながら、杉本選手、箕浦選手を中心とした強力な打線で相手を圧倒する。その新しい近江のスタイルが、甲子園練習の一番乗りという姿勢に現れていた。
杉本選手は主将として、捕手として、そしてスラッガーとして。背負う役割は多いが、そのプレッシャーを力に変えて戦いたい。二塁送球1.8秒の肩と長打力は、甲子園に大きな痕跡を残す事になるかもしれない。注目したい。
【杉本 将吾】 プロフィール
- 氏名: 杉本将吾(すぎもと・しょうご)
- 所属: 近江高校(3年)
- 出身: 滋賀県(甲賀市出身・近江ボーイズ出身)
- ポジション: 捕手(主将)
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 177cm、84kg
- 主な特徴や実績: 高校通算26本塁打を誇る強肩強打の捕手。小森監督の「英才教育」を受け、1年秋から正捕手を務める。昨秋の公式戦打率は5割7分7厘と抜群の勝負強さを見せる。遠投100mの地肩の強さと、主将としての統率力が魅力。
【箕浦 太士】 プロフィール
- 氏名: 箕浦太士(みのうら・たいし)
- 所属: 近江高校(3年)
- 出身: 滋賀県(栗東市出身・大津瀬田ボーイズ出身)
- ポジション: 内野手
- 投打: 右投左打
- 身長・体重: 181cm、93kg
- 主な特徴や実績: 1年春から近江の4番を任された逸材。ジャイアンツカップなど全国大会に6度出場の経験を持つ。疲労骨折を乗り越え、冬の1000スイング練習で長打力が復活。杉本将吾選手と共に超強力なクリーンアップを形成する。



















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