第98回選抜高校野球大会は第2日、昨秋の近畿大会準優勝校・智弁学園(奈良)が、東北王者・花巻東(岩手)を4-0で下し、5年ぶりの初戦突破を果たした。この試合で大会の主役になりそうな可能性を示したのが、智弁学園のエース左腕、杉本真滉投手(3年)だ。強力な花巻東打線をわずか3安打に封じ込める完封劇を披露し、最速149キロ左腕は「評価を全部ひっくり返す」と話した。
「逃げ腰ではダメ」花巻東の4番・古城大翔選手をねじ伏せた魂の直球
杉本真滉投手にとって、この日は自分の存在を全国に知らしめる絶好の舞台だった。大会初日から昨夏のV左腕・末吉良丞投手(沖縄尚学)が、そしてこの日、前の試合で大会No.1右腕・織田翔希投手(横浜)が相次いで敗退をしたが、BIG3と評価されている二人について、「悔しい気持ちもあったけれど、秋の結果なので。全部ひっくり返してやろうという気持ちでいました(スポーツ報知)」と語る杉本投手の心には、激しい闘志が宿っていた。
そして打者で評価されている花巻東の4番、古城大翔選手(3年)にも気持ちを向けた。1年夏から4季連続で甲子園の4番を務める強打者に対し、杉本投手は真っ向勝負、初球に143キロを計測すると、一度も逃げることなく内角を突き、三ゴロに仕留める。さらに4回の第2打席では、すべて直球で押し込み、最後は渾身のストレートで見逃し三振。この日奪った7つの三振のうち、実に6つが直球によるものだった。「杉本投手のまっすぐは分かっていても、打てなかった(スポーツ報知)」と完敗を認めた古城選手を封じたことで、その実力を証明してみせた。
精神面の進化、味方の失策を「カバーする」大人のマウンド捌き
昨秋までの杉本投手は、実力こそ折り紙付きながら、精神面に課題を抱えていた。味方のエラーに表情を曇らせ、自分を見失って力んでしまう。そんな姿を小坂将商監督(48)から厳しく指摘されてきた。「周りは必死にやってくれてるんやで。切り替えなあかんやろ(スポーツニッポン)」。この冬、杉本投手は自分と向き合い、投手陣と野手陣の溝を埋めるべく対話を重ね、「自分の態度が周りに影響する」という真理にたどり着いた。
この日のマウンドでは、その成長が随所に見られた。味方が2つの失策を犯し得点圏に走者を背負っても、杉本投手は「エラーしたらしゃあない」と、すぐに野手へ声をかけ、冷静にギアを上げた。129球を投げ抜くスタミナの裏には、「味方のミスをどれだけカバーできるか考えていた(スポーツニッポン)」という、エースとしての責任感と仲間への思いやりがあった。小坂監督も「落ち着いて大人のピッチングをしてくれました(日刊スポーツ)」と、技術以上にその精神的な成長を高く評価している。
2016年の村上頌樹投手を彷彿とさせる完封、スカウト陣も熱視線
智弁学園の投手がセンバツの初戦で完封勝利を挙げるのは、2017年の松本竜也投手(広島)以来9年ぶり。1回戦での完封勝利といえば、2016年にチームを初優勝へと導いた阪神のエース・村上頌樹投手の快投があった。杉本投手の129球の熱投はそれを予感させるものがあり、ネット裏に集結したスカウト陣からも、その質の高い直球とタフな精神力に対して絶賛の声が上がった。
阪神・筒井和也スカウト:「見てきたドラフト候補の中でも高いレベルにいる」
DeNA・八馬アマスカウティンググループリーダー:「真っすぐの質が良く、打者の手元で強いので空振りが取れる。タフさもあり今後が楽しみな投手」
次戦の相手は、前回王者の横浜を撃破した神村学園(鹿児島)。龍頭汰樹投手が横浜を完封したことで、2回戦は屈指の好左腕・杉本投手と、精密機械・龍頭投手の投げ合いが予想される。「僕は疲れとか分からないので、まだ投げられます(スポーツニッポン)」と、スタミナに自信を見せる杉本投手。新たな聖地の主役がBIG3の評価を覆しそうだ。
【杉本 真滉】 プロフィール
- 氏名: 杉本真滉(すぎもと・まひろ)
- 所属: 智弁学園高校(3年)
- 出身: 兵庫県(明石市立野々池中-神戸中央シニア出身)
- ポジション: 投手
- 投打: 左投左打
- 身長・体重: 177cm、86kg
- 主な特徴や実績: 最速149キロを誇るプロ注目左腕。1年夏から甲子園を経験。力強い直球と高低差を活かしたカーブのコンビネーションが武器。選抜1回戦の花巻東戦で3安打完封勝利。精神面の成長を遂げ、智弁のエースとして10年ぶりの優勝を狙う。






















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