第98回選抜高校野球大会第4日の第3試合。長崎日大(長崎)は、昨秋の関東王者・山梨学院(山梨)を相手に3-5で惜敗し、1993年以来33年ぶりとなる春の1勝には届かなかった。しかし長崎日大のエース右腕・古賀友樹投手(3年)は初回に今大会屈指の怪物、菰田陽生選手に衝撃的な先制弾を浴びるなど5点を失う波乱の立ち上がりとなったが、2回以降はスコアボードに「0」を並べ続け、一人で163球を投げ抜いた。
悪夢の初回、怪物・菰田陽生選手に浴びた初球と5失点の重圧
試合開始直後、古賀友樹投手を待っていたのは、甲子園の厳しい洗礼だった。初回1死、打席に迎えたのは山梨学院の主将でプロ注目二刀流の菰田陽生選手。慎重に投げようと選択した初球、106キロのカーブがわずかに甘く入った。快音とともに放たれた打球は、一瞬で左翼席へと消える先制ソロ。「オーラが結構ありましたし、高校生離れした体格なので慎重にいこうと思ったのですが。当たった瞬間、入ったと思った(スポーツ報知)。」と古賀投手は唇を噛んだ。
動揺を隠せないなか、味方の失策も重なり、初回だけで5失点。優勝候補を相手に絶望的な点差がついた。平山清一郎監督も「キーマンに挙げていた菰田選手に出鼻を挫かれてしまった(スポーツ報知)」と語る通り、長崎日大にとってはこれ以上ない苦しいスタートとなった。しかし、ここから185センチの大型右腕が、真のエースたる所以を見せつけることになる。
覚醒の2回以降。カーブから直球主体へ、163球の熱闘で見せた10K
「憧れの場所ということもあって緊張もあったんですけど、2回以降は自分のピッチングをしていこうと切り替えられました(日刊スポーツ)。」有言実行の快投だった。2回以降、古賀投手はそれまでのカーブ主体の配球から、130キロ台後半の伸びのある直球を軸に据えた強気の攻めへと転換。指にかかったストレートが低めに決まり始め、山梨学院打線の勢いを完全に止めた。
圧巻だったのは6回だ。3者連続の見逃し三振を奪うなど、回を追うごとにボールの威力が増していく。終わってみれば、初回を除いた8イニングを無失点、奪った三振は10個を数えた。100球を超えた終盤でも球速、質ともに衰えることなく、「後半は直球が刺さっていた。途中から甲子園が“自分の場所”と思って投げられたのは良かった(スポーツニッポン)」と手応えを口にした。163球という球数も、「まだまだ投げたかったです(日刊スポーツ)」と言い切るタフな肉体と精神力が、王者を最後まで追い詰める原動力となった。
「自分の力不足」を胸に刻んで。夏、33年ぶりの歓喜へ再出発
7回には味方打線が2点差にまで迫り、8回1死二、三塁の一打同点のチャンスを作るなど、チームは最後までネバーギブアップの姿勢を貫いた。古賀投手が2回から懸命に紡いできた0の連鎖が、ナインの心を一つにした。しかし、勝利の女神は微笑まなかった。
「立ち上がりの課題は夏に向けて修正していきたい(日刊スポーツ)。」古賀投手の視線は、すでに灼熱の夏の予選へと向けられている。球速こそ130キロ台だが素晴らしいフォーム、そしてアウトコースへのコントロールされたボールを見せた。185mの大型投手は、いつか大成するのではないかという予感を十分に感じさせた。
【古賀 友樹】 プロフィール
- 氏名: 古賀友樹(こが・ゆうき)
- 所属: 長崎日本大学高校(3年)
- 出身: 長崎県
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 185cm、82kg
- 主な特徴や実績: 長崎日大の絶対的エース。185cmの長身から投げ下ろす最速140キロ超の直球と、キレのあるカーブ、スライダーが武器。選抜1回戦の山梨学院戦では初回5失点の逆境から立ち直り、2回以降無失点の快投。163球を完投したスタミナと修正能力は全国トップレベル。













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