第98回選抜高校野球大会第5日の第1試合。42年ぶり2度目の春舞台に挑んだ高川学園(山口)は、昨秋の四国王者・英明(香川)に3-5で惜敗し、悲願の「センバツ初勝利」には届かなかった。チームの大黒柱として「4番・投手」でスタメン出場したプロ注目の最速146キロ右腕、木下瑛二投手(3年)は、8回を投げて自己最速タイの146キロを連発し8三振を奪う意地を見せたが、自らの失策が絡んだ4回の3失点に泣いた。香川県出身の木下投手にとって、相手はかつての仲間たちが揃っており、友との再会の一方で、敗戦の悔しさを一身に背負った。
146キロ連発の快調な立ち上がり、4回に訪れた「四球と悪送球」の暗転
昨夏の甲子園も経験している木下瑛二投手の立ち上がり、英明の1番打者から2者連続三振を奪う完璧なスタートを見せた。ストレートは何度も146キロを計測し、3回までに5つの三振を奪い、プロ注目投手の力を見せていた。
しかし、0-0で迎えた4回、突如としてリズムが狂う。先頭から連続四球を与え無死一、二塁。ここで英明が仕掛けたバントに対し、木下投手が処理を急ぎ一塁へ悪送球。これが致命的な先制点となり、その後も連続適時打を浴びて一挙3点を失った。「調子は良かったけど、相手投手がすごくいい流れで投げていたので(力みが生まれた)(スポーツ報知)。」と振り返る通り、3回に2つの四球を出したことで「四球をなくそう」と意識しすぎたことが、逆に硬さを生んでしまった。5回には降り始めた雨でぬかるんだグラウンドにも苦しみ、追加点を許した。8回5失点(自責2)。力強い投球を続けていただけに、自らのミスから崩れたイニングが悔やまれる結果となった。
地元・香川の友人軍団との激突
木下投手は香川県で生まれ育ち、中学時代までは地元のチームで腕を磨いてきた。「高卒でプロに行くため」に、親元を離れて山口の高川学園へと進学した経緯がある。対戦した英明の1番・池田隼人選手(3年)や2番・太田丈士選手(3年)は、かつてのチームメートであり、英明のエース・冨岡琥希投手(3年)も同じ場所で切磋琢磨した仲だった。
プレーボール直後、打席に立つ友人たちの姿を見て「すごく楽しかった。一生の思い出になりました(スポーツ報知)」と感慨に浸る場面もあった。しかし、知っている選手が多い上位打線に捕まり、地元のチームに敗れたことに「地元のチームに負けたというのは、すごく悔しい(サンケイスポーツ)」と唇を噛んだ。試合後の整列では、2回戦へ進む仲間たちに「頑張れ」と声をかけたものの、既に視線は夏でのリベンジに向いていた。
「4番失格です」
投球だけでなく、打線の中心としても期待された。この日、松本祐一郎監督はDHを使わず、木下投手を「4番・投手」として送り出した。4回には自ら二塁打を放ちチャンスを作ったが、安打はこの1本のみ。得点圏に走者を置いた場面で一本が出ず、チームを救うことができなかった。「4番失格です。チームを救えなかった。相手がいいピッチャーでした(スポーツニッポン)。」という言葉には、エースとして、そして主砲としての責任感の強さが滲む。
アルプス席には、今春の阪神ドラフト1位・立石正広選手や、オリックスの椋木蓮投手ら、高川学園が誇るOBたちが応援に駆けつけていた。憧れの先輩たちの前で勝利を届けたかったが、初戦敗退という現実。松本監督は「投げるだけじゃないところを、ちゃんと見つめないといけない。今はこれがチームの実力(スポーツニッポン)」と厳しくも愛のある言葉でナインを諭した。
高卒プロへの意志は揺るぎなし。146キロ右腕が誓う「夏へのレベルアップ」
木下瑛二投手はプロ入りの強い意志を持っている。この日の試合後も、進路について問われると「気持ちは変わりません(スポーツニッポン)」と力強く答え、プロ入りについて改めて宣言をした。最速146キロの重い直球、そして8つの三振を奪った奪三振能力は、敗戦投手となったとはいえ、今秋のドラフト候補として評価は落ちることはない。
【木下 瑛二】 プロフィール
- 氏名: 木下瑛二(きのした・えいじ)
- 所属: 高川学園高校(3年)
- 出身: 香川県
- ポジション: 投手、外野手
- 投打: 右投右打
- 主な特徴や実績: 自己最速146キロを誇るプロ注目右腕。角度のある直球とスライダーを投げ込む。高川学園では「4番・投手」として中心的な役割を担う。今春の選抜大会では英明を相手に8回5失点(自責2)、8奪三振の力投。高卒でのプロ入りを志望している。










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