第98回選抜高校野球大会は1回戦最後の一戦を迎え、2年ぶりに出場した絶対王者・大阪桐蔭(大阪)が伝統校の熊本工(熊本)を4-0で下した。この試合で先発したのは背番号10を背負った身長192センチの2年生左腕の川本晴大投手、甲子園初マウンドながら、6回2死まで無安打に抑える快投を見せ、終わってみれば被安打3、毎回の14奪三振で完封勝利。球場表示で147キロ、巨人スカウトのガンで151キロを計測した剛腕が、同校の2年生として史上初、大会全体でも54年ぶり3人目となる「2年生での14K以上完封」という歴史的記録を打ち立て、来年のドラフト候補として大きく名乗りを挙げた。
150球完封は驚異の直球率82%
マウンドに仁王立ちする192センチ、95キロの左腕から放たれるストレートで、名門・熊本工打線を力でねじ伏せた。川本晴大投手は150球を投げたが、実に123球がストレート。先発投手としては異例の直球率82%を記録し、奪った14三振のうち11個を真っすぐで仕留めた。「今日は球が走っていました(スポーツニッポン)」と語るその直球は、低めでも球威が衰えず、打者の手元で「ギュッと伸びてくる(熊本工・中村凌選手)」ほどの破壊力を秘めていた。
快投の裏には、担任教師でもある西谷浩一監督(56)の巧みな心理操作があった。試合当日の朝に先発を告げられた川本投手は、初回こそ緊張でボールが浮く場面があった。しかし、指揮官から「ボールが荒れるのはしょうがない。それを生かして腕を振れ」と笑顔で声をかけられたことで開き直った。150球を投げ抜いたのは人生で初めての経験だったが、冬の猛練習でグラウンド10周を毎日こなしたスタミナが最後まで持続。「練習試合でも7回がマックスだった。14三振はびっくりです(デイリースポーツ)」とはにかむ姿には、底知れない伸びしろが漂っていた。
尾崎行雄、藤浪晋太郎に並ぶ
歴史的な投球にもなった、センバツにおける2年生投手による14奪三振以上の完封勝利は、1961年の「怪童」尾崎行雄(浪商)、1972年の畠山司(専大北上)以来、実に54年ぶり3人目の快挙。大阪桐蔭の歴代投手と比較しても、12年夏の藤浪晋太郎(現DeNA)がマークした14K完封を「2年生春」の段階で成し遂げ、23年春に前田悠伍(現ソフトバンク)が記録した14K(2回戦)にも並ぶ同校センバツ最多タイ記録だ。
憧れのOBである前田悠伍投手と同じ背番号10をつけながら、その圧倒的なパフォーマンスは衝撃的だった。ここまで膝や腰の成長痛に悩まされる時期を乗り越え、ひと冬かけて下半身を徹底的にいじめ抜いた土台が、この衝撃的なデビューを支えていた。
ネット裏のスカウト陣も驚愕「来年のドラフト1位」へ早くも当確
この快投を見届けたNPB各球団のスカウト陣からは、感嘆の声が相次いだ。3年生のドラフト候補も凌駕するポテンシャルに、評価は天井知らずだ。
巨人・榑松伸介スカウトディレクター:「直球は角度があって強い。投球のバランスもいいし、楽しみでしかない。今年の高校生(3年生)の中に入っても上位候補。順調にいけば、物凄い投手になる」
DeNA・八馬幹典アマスカウティンググループリーダー:「身体の使い方はこれからだが、山梨学院の菰田が1年間で伸びたように、これから物凄いことになると思う」
福岡ソフトバンク・永井智浩スカウト部部長:「よかったですね。直球も制球もいいし、これからが楽しみ。バーンと決まった球はプロの球みたいでした」
ある球団の編成幹部:「来年注目だね。150キロ出るでしょ? スケールが高校生の中でもずば抜けている」
球場計測を上回る151キロをスカウトのスピードガンで叩き出し、あとは来年のドラフト会議に向けてどのくらい成長するかよりも、このまま行ってくれ、という気持ちを持つほどのこの日の投球だった。
埼玉からえんじ色の夢を追って。「天真爛漫」な怪物が狙う頂点
埼玉県飯能市出身の川本投手。小学3年生の時、2018年の根尾昂(中日)や藤原恭大(ロッテ)による春夏連覇に心を奪われた。中学では侍ジャパンU15代表のエースとして世界一に輝くと、迷うことなく大阪桐蔭に進学をした。しかし、全国から超素材の集まる大阪桐蔭では苦しい時期もあった。それでも、自分を隠さずに出すことで「下級生らしく、先輩の日本一に貢献できるように頑張りたい(日刊スポーツ)。」と謙虚な姿勢でチームに溶け込んだ。
昨年は健大高崎の石垣元気投手がおり、今年は横浜の織田翔希投手、沖縄尚学の末吉良丞投手などがいて、昨年以上の豊作と評価される中で、来年は更に豊作の予感もさせる。本当に、このまま来年の秋を迎えて欲しいと思う逸材だ。
【川本 晴大】 プロフィール
- 氏名: 川本晴大(かわもと・はると)
- 所属: 大阪桐蔭高校(2年)
- 出身: 埼玉県飯能市(飯能第一中-東京城南ボーイズ出身)
- ポジション: 投手
- 投打: 左投左打
- 身長・体重: 192cm、95kg
- 主な特徴や実績: 2026年選抜大会で14奪三振完封デビュー。同校2年生として史上初の甲子園完封。最速147キロ(スカウト計測151キロ)を誇る超高校級左腕。中学時代にU-15日本代表のエースとして世界一に貢献。憧れの選手はOBの前田悠伍。












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