第98回選抜高校野球大会第7日の第1試合。智弁学園(奈良)が神村学園(鹿児島)を延長10回タイブレークの末に2-1で破り、2021年以来5年ぶりとなる準々決勝進出を決めた。緊迫した投手戦を制したのは、最速149キロを投げるドラフト候補左腕の杉本真滉投手(3年)。1回戦の完封劇で見せた直球勝負から一転、この日は「打たせて取る」冷静なピッチングで再び完投し、この春の主役になっている。
直球で押した初戦から、変化球で翻弄する「柔」の投球へ
「初戦で直球を多く投げた分、高めの直球は見切られる。今日は打たせて取る投球を心がけました(スポーツニッポン)。」杉本真滉投手は、花巻東との1回戦でで見せたストレート中心の投球から一転、神村学園打線の直球狙いを逆手に取り、最速146キロの直球を見せ球に、昨冬習得したカーブと大会直前に完成したカットボールを効果的に投げた。奪った6三振のうち、直球によるものはわずか1つだった。
初回に先制点を許したものの、なおも1死二、三塁の絶体絶命のピンチを切り抜けると、2回から6回までは安打を一本も許さない完璧なマウンド。1-1で突入した延長10回裏、タイブレークの重圧がかかる1死二、三塁の場面でも、「上位打線とか関係なく自分が抑えるだけ。思い切っていきました(日刊スポーツ)。」と最後はスライダーで左飛に打ち取り、マウンド上で全身を使って喜びを爆発させた。2試合計19イニングでわずか1失点だった。
中日スカウトも「野球脳」を絶賛。ネット裏が注目する修正能力の高さ
敗退した沖縄尚学・末吉良丞投手や横浜・織田翔希投手、山梨学院・菰田陽生選手がBIG3として注目される中で、「この春に全部ひっくり返したい」と語っていた杉本投手。今大会の投球は、プロのスカウト陣の評価でトップランクに昇っている。この日も中日のチーフスカウトが評価をした。
中日・永野吉成アマスカウトチーフ:「試合の中で修正ができる。そういう野球脳が高い」
小坂将商監督(48)も「2回以降、修正しながら粘り強く投げてくれた。バックに声をかけるようになってきた(中日スポーツ)」と、その精神的な成長を勝利の最大の要因に挙げた。
中学時代の「女房役」との直球勝負、神戸中央シニアの絆が聖地で交錯
この試合には、杉本投手にとって忘れられない特別な対決があった。神村学園の8番・DHで出場した家木杏史選手(3年)は中学時代、「神戸中央シニア」でバッテリーを組んでいた。当時、家木選手から「逃げない投手を目指そう」と背中を押され、ひたすら直球を磨いてきた。甲子園という最高の舞台で再会した盟友に対し、杉本投手はあえて原点である直球で勝負を挑んだ。
「中学時代を思い出して楽しめました(スポーツニッポン)。」4回、投じた8球のうち6球がストレート。結果は2三振を含む4打数1安打。家木選手も「もっとムキになって投げていたのに。あんないいカーブ、中学では投げていなかった(スポーツニッポン)」と、エースとして一回り大きくなった親友の姿を誇らしげに見つめた。
村上頌樹に並ぶ「全試合完投」への決意。智弁の歴史に名を刻む春へ
智弁学園にとって、2016年のセンバツ初優勝は、現在もチームの大きな目標だ。当時のエース・村上頌樹投手(現阪神)は、初戦を完封、2回戦を1失点完投で飾り、最終的に全5試合を一人で投げ抜き、紫紺の優勝旗を手にした。杉本真滉投手も、ここまでは偉大な先輩と全く同じ歩みを見せている。「全試合自分が投げる気持ちで挑む(日刊スポーツ)。」左右の違いこそあれ、その粘り強いピッチングスタイルは、名門の伝統を正統に継承している。
準々決勝の相手は、日本文理を破った花咲徳栄(埼玉)となる。「(疲れは)大丈夫。日本一を取るだけです(スポーツ報知)。」とエース・杉本が力強く語った。
【杉本 真滉】 プロフィール
- 氏名: 杉本真滉(すぎもと・まひろ)
- 所属: 智弁学園高校(3年)
- 出身: 兵庫県(明石市立野々池中-神戸中央シニア出身)
- ポジション: 投手
- 投打: 左投左打
- 身長・体重: 177cm、86kg
- 主な特徴や実績: 最速149キロ。1年夏に甲子園デビュー。今大会、花巻東戦で完封、神村学園戦で10回1失点完投。昨冬習得したカーブを武器に投球の幅を広げた。中日の永野チーフスカウトが「野球脳が高い」と評価する2026年ドラフト上位候補。
























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