甲子園球場で行われた第98回選抜高校野球大会決勝戦、智弁学園(奈良)は大阪桐蔭(大阪)に3-7で敗れ、村上頌樹投手(現阪神)を擁して初優勝を飾った2016年以来、10年ぶり2度目の頂点には届かなかった。今大会の主役として君臨し続けたエース左腕の杉本真滉投手(3年)は、5試合で42イニング、計626球。この日も「1週間500球」の制限まで残り3球という128球まで投げ抜いたが、同点の7回に集中打を浴びて降板。試合後、溢れ出る涙を拭った左腕は「優勝できなかったのは、自分の実力のなさ」と全ての責任を背負い込んだが、その投球は大きな印象と高い評価を受けるものとなった。
魔の7回、球数制限残り3球「ここ一番で抑える力が足りなかった」
「球数制限は意識していなかった。角谷のリードに任せて、自分は自分の仕事をしようと。」と話す杉本真滉投手の覚悟の投球で、大阪桐蔭打線を苦しめた。3回までに3失点を喫したものの、4回以降は粘り強く「0」を並べ、6回には同じ2年生の4番・逢坂悠誠選手が同点ソロを放ち試合を振り出しに戻した。しかし、3-3で迎えた7回表、先頭から3連打を浴びて無死満塁。押し出し四球で勝ち越しを許すと、2死二、三塁から主将の黒川虎雅選手に左前2点打を浴び、一気に突き放された。
「スライダーを投げたあの一球。低めに投げきれなかった。桐蔭打線は全員、真っすぐでも変化球でも当ててくる。甘く入って仕留められた。」と話す。7回を投げ終えて球数は128球。決勝での上限131球まで残り3球というところで、杉本投手はマウンドを降りた。その後はベンチで戦況を見守ったが、逆転の願いは届かなかった。「球数のことはあったけど、他の投手がいてくれるんで。ここ一番でゼロに抑える力が足りなかった。」と話し、投手陣を率いるエースとしての姿も見せていた。
敵将・西谷監督が絶賛。「杉本君がナンバーワンのピッチャーだった」
敗れはしたものの、杉本投手が今大会で見せたパフォーマンスは間違いなく大会ナンバーワンだ。今大会4勝(3完投1完封)、防御率0.26という圧倒的な成績で決勝に臨んだ左腕に対し、10度目の日本一を達成した大阪桐蔭の西谷浩一監督(56)は「今大会、やはり杉本君がナンバーワンのピッチャーだったと思います。きょうは疲れもありましたのでお互い苦しい中でしたけど、なんとか杉本君のいいボールを打とうと。甲子園はいいピッチャーを打って成長するんだということで、杉本君のおかげでいい試合ができた。」と話す。
小坂将商監督(48)も「ここまでチームを引っ張ったのは杉本(スポーツ報知)」と、その精神的な支柱としての役割を高く評価した。昨秋の近畿大会決勝で敗れ、閉会式での態度を叱責された苦い経験から半年。杉本投手は「人間性から変わらないと」と自らを律し、エースとしての振る舞いを磨き上げてきた。その成長もあり決勝の舞台まで辿り着くことができた。
「夏に必ずやり返す」、甲子園の借りは甲子園で、そしてその先へ
「自分の実力が足りないってことは、こういう場ではっきり分からせていただいた。夏に向けてしっかり1からやっていきたい。」全5試合で626球を投げ抜いた強靭な左腕は、すでに「夏」の自分をイメージしている。課題に挙げたスタミナ、メンタルの更なる強化、そして「ここ一番で0点に抑える力」。夏までにこれらをクリアしていく事を誓う。
それでも今大会、149キロ左腕の評価は高い所で定まった。まずは今大会の疲れを取り除くことができるかどうか、そして夏には更に上の投球を見たい。150キロはもちろん、ストレートのキレ、変化球、全てにステップアップした投球を見せることができれば、プロ志望をした時にはドラフト2位までには指名がされるだろう。
【杉本 真滉】 プロフィール
- 氏名: 杉本真滉(すぎもと・まひろ)
- 所属: 智弁学園高校(3年)
- 出身: 兵庫県(明石市立野々池中-神戸中央シニア出身)
- ポジション: 投手
- 投打: 左投左打
- 身長・体重: 177cm、86kg
- 主な特徴や実績: 2026年選抜大会にて5試合中4試合に先発し3完投1完封。計42イニングを投げ、防御率0.86(自責4)、44奪三振を記録。1週間500球の制限ギリギリの626球を投じ、決勝戦では西谷監督から「大会ナンバーワン」と絶賛された。2026年ドラフト上位候補。













コメント