プロ野球が開幕し、共に開幕投手となった巨人のドラフト1位ルーキー・竹丸和幸投手と、千葉ロッテのドラフト2位ルーキー・毛利海大投手が共に勝利投手となった。ロッテの新人の開幕投手は球団では毎日オリオンズ時代の1950年、榎原好氏以来、実76年ぶり2人目の快挙。5回4安打無失点の力投でプロ初勝利を挙げ、抜擢したサブロー監督に指揮官としての初白星をプレゼントした。同一年に新人2人が開幕投手を務め、そろって白星を飾るのは1952年以来、74年ぶり3度目となった。
緊張を力に。「緊張しすぎて覚えていない」5回零封の気迫
「めちゃくちゃ緊張した。緊張しすぎて、覚えていない(スポーツニッポン)。」試合後、毛利海大投手は登板時の心境を明かした。登板前夜は落ち着かず、何度も目が覚めるほどのプレッシャーを感じていたが、マウンドに上がれば持ち前の強心臓ブリを見せた。得点圏に走者を背負う苦しい立ち上がりとなったが、バックの堅守にも助けられ無失点で切り抜けると、圧巻は1点リードの4回2死一、二塁の場面。西武の主将・源田壮亮選手をスライダーで空振り三振に仕留めると、聖地で咆哮を上げた。「自分の持ち味は気迫あふれるピッチング(サンケイスポーツ)」という言葉通り、最速148キロの直球を軸に、攻めの投球を貫いた。
5回を投げ終えた際、サブロー監督から「代わろうか」と声をかけられたが、毛利投手は「まだ行けます」と続投を志願。指揮官から「まだこれからシーズンは長いから」と説き伏せられてお役御免となったが、70球を投げて被安打4、2奪三振、無失点。昨秋のリーグ戦で最優秀防御率に輝いた明大のエースが、プロの舞台でもその実力が本物であることを証明してみせた。
空手で磨いた「精神力」とアロマの「静」。独創的なマウンドへの準備
毛利投手の物怖じしない性格の原点は、保育園の頃に始めた空手にある。自分より大きな相手に向かっていき、痛みに耐えながら心身を鍛えた日々。「痛かったからすぐに辞めたかった」と笑うが、その経験がピンチの場面での粘り強さに直結している。
開幕前日の26日には、4年間を過ごした明大の卒業式が行われたが、毛利投手は出席を辞退し、千葉での調整を優先した。「プロとして野球で生きる」という覚悟の表れだ。キャンプ中には同じ左腕でエースの小島和哉投手から「開幕戦にしても初登板にしても緊張はするだろうから、同時に一気にできていいんじゃない」と助言を受け、気持ちの整理をつけていたという。また、高校の先輩であるオリックス・山下舜平大投手からも先発の心得を教わり、着実にプロの階段を上ってきた。
サブロー監督に「サブさんの初勝利を自分が」と誓ったウイニングボール
試合後、お立ち台に上がった毛利投手は、感極まった表情で「最高です。たくさんの応援があって、今日のピッチングができた。本当にありがとうございます」とファンへ挨拶した。さらにインタビューでは、面と向かっては決して言えない「サブさん」という呼称で指揮官への感謝を口にした。「何とかサブさんの初勝利を自分が決められるように、という気持ちでした。」
試合後には、1つしかない記念のウイニングボールをめぐって、師弟の心温まるやり取りがあった。毛利投手は自身の初勝利だけでなく、サブロー監督にとっても監督初勝利であることを気遣い、ボールを譲ろうとした。しかし、サブロー監督は「いや、自分は大丈夫なんで。お前にやる」と拒否。指揮官は「僕らよりも彼がここからうちのエースとしてやっていってくれるためにプレゼントします」と、孝行息子の門出を祝福した。毛利投手はそのボールを「両親にプレゼントしようと思います」と語り、実家の福岡から駆けつけた両親への最高の恩返しを誓った。サブロー監督は「僕が一番ドキドキしていました。やっぱり強心臓の持ち主ですね」と目を細め、将来のエース候補に全幅の信頼を寄せた。
76年前の「リーグ優勝」の吉兆。マリーンズ逆襲の旗手へ
球団の歴史を紐解けば、76年前に新人開幕勝利を挙げた榎原好氏の年、チームはリーグ優勝を果たしている。昨季最下位に沈んだロッテにとって、この勝利は単なる1勝以上の価値を持つ吉兆だ。毛利投手は「若い選手が多い。その中で中心選手になれるように。新人だけど、ずっとローテーションを回れるようになりたい」と力強く宣言した。
毛利海大のプロ野球人生が今、最高の形で幕を開けた。
【毛利 海大】 プロフィール
- 氏名: 毛利海大(もうり・かいと)
- 所属: 千葉ロッテマリーンズ(ドラフト2位・1年目)
- 出身: 福岡県(福岡大大濠高-明治大卒)
- ポジション: 投手
- 投打: 左投左打
- 身長・体重: 177cm、77kg
- 主な特徴や実績: 球団では76年ぶりとなる新人開幕投手勝利を達成。明治大時代は東京六大学リーグで通算14勝、防御率1.46を記録。最速148キロの直球と、空手で鍛えた精神力が武器。登板前に香水をつけるルーティンを持つ。










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