第96回都市対抗野球大会近畿地区の2次予選が4日、わかさスタジアム京都で行われ、パナソニックは3年目の定本拓真投手(24)が8回途中からリリーフ登板し、2回2/3を1安打1失点に抑える好投、自己最速を1キロ更新する154キロをマークするなど、チームを逆転勝利へと導く圧巻のピッチングを見せた。
定本拓真投手が自己最速154キロ、窮地を救う圧巻リリーフ
まさに魂の投球だった。0-1と1点ビハインドの8回1死満塁という絶体絶命のピンチでマウンドに上がった定本拓真投手。「自分で出したランナーじゃないというぐらい割り切って投げました。自分の持ち味である真っすぐで押していきました」と話す通り、ストレートでグイグイと押す強気のピッチングをする。代打・拾尾選手に対し、1ボールからの低め148キロ直球で遊ゴロ併殺に打ち取り、この大ピンチを無失点で切り抜けた。
この好投がチームに流れを呼び込む。9回に山本ダンテ武蔵選手のタイムリー内野安打などで同点に追いつくと、その裏のマウンドに上がった定本投手はさらにギアを上げる。自己最速を1キロ更新する154キロを叩き出すなど、三菱重工West打線を3人で抑えて試合の流れを完全にパナソニックに引き寄せた。
チームは延長10回タイブレークで2点を勝ち越すと、その裏の相手の反撃を1点に抑え、見事な逆転勝利を飾った。定本投手はチームの初戦突破に大きく貢献した。「きょうは真っすぐの感覚も良かったので、これを忘れないようにしたい」と、納得の投球でチームを勝利に導いた。
中本監督も絶賛「復活してくれた」強化練習でフォーム修正成功
定本投手の快投に、パナソニックの中本浩監督も賛辞、「選手はよくやってくれました。最後は技術じゃない。人間的にも強くなっていて、土壇場で粘れるようになった。投手は早めの継投を心がけている中で、全員が応えてくれた。定本は昨年の日本選手権予選でも三菱打線を抑えていたので。春先は調子が悪かったですが、ここに来て復活してくれた」と、エース格の復活を喜んだ。
定本投手はJABA岡山のトヨタ自動車戦で登板するも3回を投げて5安打3失点で負け投手となった、また長野大会では伏木海陸運送戦で先発し9回8安打1失点で完投勝利を挙げたものの、3日後の東京ガス戦は中継ぎで登板すると2回4安打7失点と大乱調だった。それでも5月の強化練習期間では瞬発系のウエートトレーニングを重視。走者を背負った際に乱れがちだったフォームも、シャドーピッチングを繰り返すことで修正に成功していた。その努力が、この大一番での快投に繋がった。
第1代表の座まで残り2勝。定本投手は「去年、悔しい思いをしているので、全員で勝とうという気持ちで戦っています」と、チームの思いを代弁し、次戦へ向けて気を引き締めた。182cmの右腕で最速154キロを記録、リリーフが多いが先発もする定本投手は、三重高校、関西大でもプロが注目をしていた。社会人3年目の今年、プロ入りに向けて悔いのない形でアピールを続け、秋のドラフト会議を迎えたい。
定本拓真投手 プロフィール
- 氏名:定本 拓真(さだもと たくま)
- 所属:パナソニック(3年目)
- ポジション:投手
- 投打:右投左打
- 主な特徴や実績:最速154キロを誇る右腕。2025年都市対抗野球近畿2次予選の三菱重工West戦で8回途中からリリーフ登板し、2回2/3を1安打1失点(自責0)の好投で勝利投手となる。この試合で自己最速を更新。JABA岡山、長野大会を経てフォームを修正し、都市対抗予選で好投を見せている。


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