第96回都市対抗野球の2回戦では、王子(春日井市)が西部ガス(福岡市)を4-0で下し、ベスト8進出を決めた。ルーキー左腕の樋口新投手が9安打を浴びながらも要所を締め、142球を投げて10奪三振で今大会初となる完封勝利を飾った。快投の裏には、大学で同期だったヤクルトのドラフト1位・中村優斗投手との絆があった。
9安打浴びながら142球の熱投!要所を締め10奪三振
新人らしからぬ落ち着いた投球だった。樋口新投手は毎回のように走者を背負う苦しい展開ながら、「死球でもいいくらいの気持ちで、腹をくくって投げた」と、強気のピッチングで西部ガス打線にあと一本を許さなかった。
ストレートは最速151キロを投げるが、この日は140キロ台前半から中盤とまだ本調子ではなかった。9回をを投げて許したヒットは9本、それでも142球を投げて10個の三振を奪い、見事な完封勝利でチームを準々決勝へと導いた。
ヤクルトドラ1・中村は大学同期「追い付きたい」
樋口投手は愛知工業大出身、同期には昨秋に東京ヤクルトからドラフト1位指名を受けた中村優斗投手がいた。今大会の1回戦に中継ぎで登板した後、中村投手に電話し、体の使い方の助言をもらったという。
昨年は151キロ左腕として注目されたが、プロ志望届を出さずに社会人へと進んだ。「追い付きたいという気持ちは常に持ってやっている」と語るライバルがいる舞台へ、1年目の今年、確かな実績を大舞台で積むことができた。社会人野球の選手がプロ入りするのに、大学卒の選手は3年以内にドラフト会議で指名されなければ厳しくなってくる。そして、1年目に大きなアピールをして、ドラフト指名解禁となる2年目にはプロのスカウトに注目されるようになっていなければならない。
まずはそのチャンスを得た樋口投手、今大会ではまだまだアピールをし、日本選手権、そして来年に向かってゆきたい。
樋口 新(ひぐち あらた) プロフィール
- 所属:王子
- ポジション:投手
- 投打:左投
- 経歴:愛知工業大学
- 主な特徴や実績:23歳の新人左腕。都市対抗2回戦で9安打10奪三振の快投を見せ、大会初完封を達成した。愛知工大ではヤクルトのドラフト1位・中村優斗投手と同期。



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