今秋の社会人野球日本選手権で9年ぶり4度目の優勝を果たしたヤマハ(浜松市)が、2026年度の新体制を発表した。申原直樹監督ら首脳陣は留任し、新たに4名の新人が加入する。中でも注目は、今秋のドラフト上位候補と目されながらプロ志望届提出を見送った高蔵寺高校(愛知)の最速151キロ左腕・芹沢大地投手(17)だ。その他、地元・静岡高出身の明治大・高須大雅投手、近畿大・野間翔一郎外野手など実力派が揃い、連覇を目指す名門に新しい風を吹き込む。
ドラフト上位候補が選んだ「最短での成長」、3年後はメジャー?
公立校に現れた怪物左腕・芹沢大地投手が選んだ道は、大学進学でも高卒プロでもなく、社会人野球だった。「野球に集中するためには社会人野球が一番いい道。早い段階で声をかけていただき、集中できる環境だと知ることができました」と、ヤマハ入社の理由を語る。
最速151キロの直球は威力・キレ共に今年の高校生左腕投手No.1と評価され、プロのスカウトからも高く評価する声が聞かれており、「高卒プロへ気持ちが全く揺らがなかったわけではない」と話す。しかし、「直球は評価されても、変化球に言及してくださった方はほぼいない。マウンドさばきからフィールディングまで足りないところもたくさんある。そういう部分を固めてからプロに行きたいと思うようになりました」と冷静に分析。即戦力として活躍できる実力をつけてからプロへ行きたいという考えで、社会人野球という決断を後押しした。一方で、進学校で学力も高い芹沢選手だったが、学歴には一切の関心も示さず、野球の道を選択した。
直接メジャーへの道も
視線は世界にも向いている。今年、日米の多くのスカウトが注目をしたが、「とにかく上のレベルで野球がしたいです」と話す。メジャースカウトから「3年後、楽しみにしています」と伝えられており、ドラフト解禁となる3年後には、「NPBを経由せずに大リーグ挑戦」という可能性もある。
長く野球をやるために、そして、「今年も子どもたちに凄く応援してもらえた。いつか小さい子どもたちに目指してもらえるような投手になりたいです」と、まずは社会人の頂点に立つチームで腕を磨き、その左腕で未来を切り拓く。
静岡高出身・高須投手、大阪桐蔭出身・野間選手も加入
芹沢投手と共に投手陣に加わるのが、明治大学の明治大・高須大雅投手だ。静岡高校時代に甲子園を経験して大型右腕投手と注目されると、大学でも一時期、明治大のエースとして活躍し、侍ジャパン大学代表にも3年生で選ばれるなど、大学屈指の右腕と注目された。4年時は思うような投球ができず、プロ志望届を提出したものの指名漏れとなったが、地元・静岡の名門で再スタートを切る。
また野手では、大阪桐蔭高から近畿大学へ進んだ、野間翔一郎外野手が加入する。高校時から俊足強肩が注目され、大学でも1年で侍ジャパン大学代表候補強化合宿に呼ばれると、4年時には勝田成内野手(広島ドラフト3位)、阪上翔也外野手(東北楽天ドラフト7位)と共に活躍を見せた。こちらもプロ志望届を提出したものの指名漏れとなり、チームメイトのプロ入りを見送る形になったが、ヤマハから2年後のプロ入りを目指す。さらに、国士舘大学の勝間田礼琉捕手がアナライザーとしてチームを支えることになった。
一方で、アメリカの大学で身体能力の高さを見せた秋利雄佑内野手、大阪桐蔭でスラッガーとして注目され、立教大でも活躍を見せた笠松悠哉内野手、共栄大で150キロを越す球が注目された清水蓮投手の3選手が退部することも発表された。新戦力を加えた新生・ヤマハは、都市対抗野球制覇と日本選手権連覇を目指して始動する。
芹沢大地 プロフィール
- 氏名: 芹沢 大地(せりざわ・だいち)
- 所属: 高蔵寺高校(3年) → ヤマハ(内定)
- 出身: 愛知県春日井市
- ポジション: 投手
- 投打: 左投左打
- 身長・体重: 182cm、67kg
- 主な特徴や実績: しなりのあるフォームから最速151キロを投げ込む「世代No.1左腕」。無名の公立校から一躍ドラフト上位候補となるも、社会人野球での成長を選択。将来的なメジャー挑戦も視野に入れる。










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