社会人野球の第72回JABA静岡大会は8日、浜松球場で準決勝が行われ、東京ガス(東京都)が昨秋の日本選手権王者・ヤマハ(浜松市)を3-2で破り、決勝に進出した。逆転勝利のこの激戦の主役となったのは、今秋のドラフト候補として熱視線を浴びる東京ガスの藤澤涼介選手(23=横浜商科大)。1点を追う3回、2死一、二塁の好機で、ヤマハの絶対的エース・佐藤廉投手から右翼ポール際へ起死回生の逆転3ラン本塁打を放った。昨季10勝無敗を誇ったサウスポーの「不敗神話」を打ち砕く衝撃の一振りで、プロ注目スラッガーがその存在感を改めて全国に知らしめた。
エースを1球で沈めた「読み」と「集中力」
今年のドラフト上位候補として注目される社会人屈指のスラッガー・藤澤涼介選手はこの日、3番センターで出場をすると、1点リードを許した直後の3回裏、2死から連打でチャンスとなり、打席が回った。対するは、一昨年の京都大会以来、約2年間、社会人野球で負けを知らず、昨年の日本選手権でヤマハを日本一に導いたエース左腕、佐藤廉投手。それでもカウント1-2と追い込まれてからも藤澤選手は冷静だった。
佐藤投手が投じた4球目、内角を狙った直球がわずかに高めに浮くとその失投を見逃さず、最短距離で振り抜かれたバットから放たれた打球は、放物線を描いて逆方向の右翼ポール際へと突き刺さった。逆転の3ランホームラン、藤澤選手はパワーと技術でねじ伏せてみせた。
大型新人・高須大雅との「ドラフト候補対決」で見えた課題と収穫
試合終盤、藤澤選手の前にはさらなる試練が立ちはだかった。8回、ヤマハの3番手としてマウンドに上がったのは、193センチの長身から150キロ台を連発する超大型新人、高須大雅投手(22=明大)だ。1点を追うヤマハに勢いを引き戻そうと、先頭打者の藤澤投手を真っ向勝負で抑えにきた。
藤澤選手は、高須投手の150キロを超える剛速球に果敢に食らいついたが、最後は空振り三振。昨年のアジア大会でも非常に三振の少なかった天才だったが、高須投手の前にバットが空を切った。それでも東京ガスのベテラン投手陣がヤマハの反撃を1点に抑え、3−2で勝利し決勝戦へと進んだ。
「勝負強さ」と「スピード」が導くプロへの道
藤澤選手は、佐野日大から横浜国大に進み、50m5秒台の俊足と思い切りの良い打撃でその都度、ポテンシャルを注目されていたが、それが全国クラスとなったのは大学時代に侍ジャパン大学代表候補強化合宿に参加してからだろう。まず50m走で、松川 玲央選手(2025年ヤクルトドラフト2位)の5秒88に次ぐ、5秒97を記録して注目された。打撃でも思い切りのよさに長打力を見せていた。2024年にプロ志望届を提出せずに東京ガスに進むと、昨年の都市対抗東京2次予選で3試合連続ホームランを放つと、常に高い打率を記録し、アジアウインターリーグでも長打力と高打率、そして 13打点で打点王に輝くなど、プロ野球選手も含めた日本人の中でトップクラスの成績を残した。
この日、行われたHondaとの決勝戦では、4打数ノーヒットに抑えられチームも敗れた。今年は藤澤選手の打撃がチームの勝利へとつながる重い役割を中で戦っている。しかし、それの重圧をはねのけてのびのびと思い切りの良い打撃を続けて欲しい。今大会は21打数9安打、打率.429で首位打者賞を獲得、2本塁打を放っている。藤澤選手のプロ入りに向かう道は順調だ。
【藤澤 涼介】 プロフィール
- 氏名: 藤澤涼介(ふじさわ・りょうすけ)
- 所属: 東京ガス(入社3年目)
- 出身: 佐野日大高-横浜国大卒)
- ポジション: 外野手(中堅手)
- 投打: 右投右打
- 主な特徴や実績: 2026年JABA静岡大会準決勝でヤマハ・佐藤廉から逆転3ランを放った東京ガスの主軸。高い身体能力と広角に打ち分ける技術に加え、長打力も備える。今秋のドラフト指名が有力視される社会人屈指の外野手。









コメント