早大・高梨雄平投手が完全試合達成

大学野球ドラフトニュース 2014年ドラフトニュース

 早大、高梨雄平投手が、4月21日の東大戦との2回戦で完全試合を達成した。

 最後のバッターは2ストライクと追い込み、「2ストライクなので狙っていた」と三振を奪って決めた。奪った三振は6つ、この日の最速は139km/hだったが、強気のインコース攻めと、カーブ、スライダー、チェンジアップのコンビネーションで東大打線を手玉に取った。

 斎藤佑樹、大石達也、福井優也のドラフト1位トリオの活躍で、神宮球場に早慶戦以外でも1万人以上の観客が詰め掛けた2010年秋、その3人がチームを抜け太2011年春に入学し、再び静かになってしまった神宮のマウンドに登っていたのが高梨雄平投手だった。

 川越東高校で阿井監督(現北海道日本ハムヘッドコーチ)の元で秋季大会で県ベスト4まで勝ち上がったものの、甲子園に出場することはできなかった。早大でも有原航平投手など甲子園で活躍した選手が揃う中、無名に近い存在だったが、1年生春からマウンドに登ると、秋には5勝を記録し、ドラフト1位3投手が抜けて危ぶまれた早大を救った。

 2年春には4勝し1年生の吉永健太朗投手などと共にリーグ制覇した。しかし秋に左ヒジと左足首を痛め、12月に左足首の手術を受ける。しかしそこからがすごい。2月には少し遅れて全体練習に参加すると、オープン戦で吉永健太朗投手よりも安定したピッチングを見せて先発2番手の座を勝ち取った。

 来年のドラフト候補としてみると、球速など物足りない面はあり、昨年の慶大・竹内大助投手や立大・小室正人投手のように社会人で磨かれてから、という評価になっていると思う。

 しかし、完全試合を達成するということはダルビッシュ投手でもできなかったように、プレッシャーにも強い精神力が必要となる。無名校出身という雑草魂は、プロでも成功するのではないかと思う。そう考えるスカウトや球団が出てくるかもしれない。

 底冷えの春の神宮球場を異様な熱気が包んでいた。9回2死、1ボール2ストライク。高梨のワンバウンドしたスライダーに相手のバットが空を切る。完全試合だ。雄たけびを上げて一塁側ベンチを飛び出たナインに囲まれると背番号13は戸惑ったように、偉業を遂げたその左拳をグッと握った。

 「うれしいです。6回くらいから意識していたけど、いつかは打たれると思って投げていた。自分でも怖いくらいです」。「0」を並べたスコアボードをバックに記念撮影すると、雨上がりの神宮にぎこちない笑顔が咲いた。

 あと3人と迫った最終回。球場全体が期待していた。女房役の土屋遼太は「オレは期待してるぞ!」とハッパをかけた。アウトを1つ取るごとに、一塁側ベンチから「行けるぞ! 行けるぞ!」の声が飛ぶ。そして、ナインの期待を一身に、最後は「2ストライクなので狙っていた」という109球目で6三振目を奪い、27個目のアウトを奪った。雨上がりに集った2000人の観衆が、歴史の目撃者となった瞬間だった。

 故障を抱えた昨年は制球を乱し、自滅した。左足首痛に悩まされたが昨年12月、人生初のメスを入れると、持病の左肘痛の不安もなくなり、制球が安定。昨秋はわずか1勝に終わった143キロ左腕が、今季初登板でこれ以上にない変身を見せた。

 27人目のアウトは、狙い通りに奪った。9回2死、高梨が投じた109球目はワンバウンドする121キロのスライダーだった。代打・西木を空振り三振に斬り、左手でグラブを軽く叩いた。控えめなしぐさに、らしさが詰まっていた。

 「野球人生でノーヒットノーランもやったことがないのでうれしい。身の丈に合っていないし、えらいことやっちゃったな、という気持ち」

 130キロ台の直球に、カーブ、スライダー、チェンジアップをコーナーに投げ分けた。3回に2点の援護をもらうと、テンポよくストライクを先行させた。前日は同学年の有原が7回1死まで完全投球を演じたが、快挙には届かなかった。8回のマウンドに上がる前、その有原から「完全試合は(00年の)上重さん以来らしいぞ」と声をかけられた。9回に入る直前にも、同学年の捕手・土屋から「俺は期待しているよ」。大記録が懸かる投手には声を掛けにくいはずが、逆にチームメートからプレッシャーをかけられての達成だった。

 川越東では県4強が最高成績。早大では1年春から神宮のマウンドに上がったが、昨秋は左肘、左足首の故障に泣かされ1勝止まりだった。12月には左足首を手術。全体練習に合流したのは今年2月だった。当初は有原、甲子園優勝投手で1年生だった昨年7勝を挙げた吉永に次ぐ、3番手の位置付け。しかし、オープン戦で結果を残し、昨年6月4日の早慶戦以来、321日ぶりのリーグ戦の先発マウンドを勝ち取った。「有原と吉永が目立っていて自分もどこかで、と思っていた。甲子園に出ていなくてもやれるんだと」。闘志を内に秘め、野球を楽しんだ。

 試合前のロッカーでは大好きな女優・平愛梨の動画を見てリラックス。「野球のことを考えないようにと思って」と20歳の素顔をのぞかせた。オフには同じ左腕で、昨年サイ・ヤング賞を獲得したレイズの左腕プライスの投球を研究し「体重移動をゆったりとして、強い球を投げる」ことに取り組んできた。

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