東都大学野球春季1部リーグは27日、最終戦が行なわれ、日本大学が亜細亜大学に0-1で敗れた。この結果、日大は勝ち点なしの最下位が確定し、2021年秋の1部復帰後初めて2部優勝校との入れ替え戦に臨むことになった。亜大投手陣の前に継投によるノーヒットノーランを喫する屈辱的な内容となったが、エースの市川祐投手(4年・関東第一)は粘りの投球を見せ、入れ替え戦へ向けて「ゼロに抑えれば負けない」と決意を見せた。
エース市川祐投手、6回1失点の粘投も打線が援護できず
勝てば1部残留が決まる大一番だったが、日大は重苦しい展開を強いられた。亜細亜大は2位が確定していたものの、ドラフト上位候補のエース・齊藤汰直投手が先発し、その後も同じくドラフト上位候補の山城京平投手が2番手で登板すると、最後は今季リリーフで5勝を挙げている3年の井上悠投手が登板し、打線は3投手の前にノーヒットに抑え込まれた。
初回から4回まで三者凡退に抑え込まれるなど、わずか3四球と相手のフィルダースチョイスによる4人の走者を出すにとどまり、最後まで得点を奪うことができなかった。9回2死一塁で4番の谷端将伍選手(4年・星稜)が三ゴロに倒れ、継投でのノーヒットノーランを許した。
先発マウンドに上がったエース市川祐投手は、6回を投げ6安打を浴びながらも粘りのピッチング。しかし、4回に味方の遊撃手の失策が絡んで1点を失い、これが決勝点となり0-1で敗れた。これで今季は勝ち点0となり最下位が決定、1部2部入れ替え戦を戦うことが決まった。
片岡昭吾監督は「勝ち点を取り切るチーム力がなかった」と悔しさを滲ませ、「流れをつかみ切れなかった」と接戦をものにできない今季の課題を指摘。今季1点差で敗れた試合は5試合にのぼり、「ひっくり返っていれば優勝争いになっている」と唇を噛んだ。それでも、「入れ替え戦までに、違うチームになって帰ってくるしかない」と前を向いた。
市川投手「プレッシャーもかかるが、ゼロに抑えれば負けない」入れ替え戦へ覚悟
投手陣は市川投手に続き、リリーフした直江新投手(2年・九州学院)も3回1安打無失点と好投し、自責点ゼロに抑えたが、打線の援護がなかった。2021年春の入れ替え戦では、当時エースだった赤星優志投手(2021年巨人ドラフト3位)の活躍で1部昇格を果たした日大。前回とは立場が異なる入れ替え戦となるが、市川投手は「プレッシャーもかかるが、ゼロに抑えれば負けない。そこを目指してやっていく」と、エースとしての覚悟を示した。
思えば市川投手は2022年に1部に昇格した日大に入学すると、1年時こそリーグ戦の登板はなかったが、2年春に4勝、秋も4勝を挙げ、当時東都セブンと言われた亜細亜大・草加勝投手(中日ドラフト1位)、東洋大・細野晴希投手(北海道日本ハムドラフト1位)、国学院大・武内夏暉投手(埼玉西武ドラフト1位)、中央大・西舘勇陽投手(巨人ドラフト1位)、青学大・常広羽也斗投手(広島ドラフト1位)、下村海翔投手(阪神ドラフト1位)という投手と互角以上の投げ合いを演じた。3年生だった昨年も春4勝、秋3勝、そして今季もチームは勝ち点0に終わったが、市川投手は3勝を挙げた。1部リーグですでに18勝を挙げており、1部リーグの代名詞と言っても良いくらいの大エースだ。
その代償もあるのだろう、今季の球はやや疲れが見える感じのものだった。それでもやはり市川投手には1部リーグ、神宮のマウンドが似合う。片岡監督も「やってきたことをどれだけできるか。勢いづくような、自信をつけていけるような練習をして臨みたい」と、入れ替え戦へ向けてチームの立て直しを誓った。市川投手や、2024年春秋リーグで連続首位打者に輝いた谷端選手など、戦力は揃っている。1部で戦ってきたを胸に、目の前の戦いに全力を尽くす。
市川祐投手 プロフィール
- 氏名:市川 祐(いちかわ ゆう)
- 所属:日本大学(4年)
- 出身高校:関東第一高校
- ポジション:投手
- 投打:右投(打席は調査中)
- 主な特徴や実績:2025年東都大学野球春季リーグ最終戦の亜大戦で先発し、6回6安打1失点(自責点0)と粘投。チームは敗れ最下位が決定し、入れ替え戦へ。マダックス達成経験あり。入れ替え戦に向けて「ゼロに抑えれば負けない」と決意を語る。


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