大阪商業大学は28日、硬式野球部が6月9日に開幕する全日本大学野球選手権の出場を辞退すると大学公式ホームページで発表した。同野球部を巡っては、監督と部員が短期間に相次いで逮捕される不祥事が発生しており、大学側は「学生野球は教育活動の一環との認識のもと、この事態を厳粛に受け止め」辞退を申し出たとしている。
監督・プロ注目捕手の逮捕相次ぐ異例の事態
大阪商業大学硬式野球部では、関西六大学野球春季リーグ戦期間中の4月21日、当時監督だった冨山陽一氏(60)が車検切れの軽トラックを知人に運転させたとして道路運送車両法違反容疑で逮捕された。これを受け、大学は同24日付で冨山氏との委嘱契約を解除。チームは高瀬義和コーチ(60)が監督代行を務め、5月20日には7季連続となるリーグ優勝を果たしていた。
しかし、その翌21日、今度はプロ注目捕手であった蜷川大選手が15歳の少女にみだらな行為をしたとして、不同意性交の疑いで逮捕されるという事件が発生した。
大学側「厳粛に受け止め」出場辞退、再発防止へ研修実施予定
相次ぐ不祥事を受け、大阪商業大学は26日に関西六大学野球連盟に出場辞退を申し入れ、受理された。28日に大学公式ホームページで谷岡一郎学長の名前で発表された声明では、「この度の硬式野球部関係者の不祥事件につきまして、本学学生、保護者、卒業生ならびに関係者の皆様に多大なるご迷惑、ご心配をおかけしましたことを、心よりお詫び申しあげます。本学といたしましては、学生野球は教育活動の一環との認識のもと、この事態を厳粛に受け止め、関西六大学野球連盟を通じて標記大会への出場辞退を申し出いたしました。今後は、本学の建学の理念及びスポーツ憲章の趣旨に鑑み、適切な倫理観・公共精神を備えた人間形成を達成すべく、全学を挙げて取り組んでまいります。皆様に多大なるご迷惑、ご心配をおかけしましたことを重ねてお詫び申しあげます」と謝罪の言葉が述べられた。
大学の広報担当者は「短期間に野球部関係者2人が逮捕されたことを受け、学内での協議の結果辞退を決めた。大学側として活動自粛は考えていないが、通達や指示があれば従う」と説明。再発防止策として、硬式野球部の学生を対象とした研修を実施する予定だという。
選手権は城西国際大が不戦勝、京産大の代替出場はなし
大阪商業大学の出場辞退により、全日本大学野球選手権大会の組み合わせにも影響が出た。大会初日の6月9日に東京ドームで大阪商業大学と対戦予定だった城西国際大学(千葉県大学野球連盟)は不戦勝となる。関西六大学野球連盟で春季リーグ2位だった京都産業大学の代替出場はないことも決定している。
過去には、2018年に東海大学北海道キャンパスが未成年部員の飲酒により全日本大学野球選手権の出場を辞退した例がある。また、大阪商業大学は、6月20日から開催される関西オールスター5リーグ対抗戦についても、選手の選出辞退を検討している。
大阪商業大学硬式野球部は、全日本大学野球選手権で準優勝2度の実績を持ち、多数のプロ野球選手を輩出している名門で、この春は、昨年も選手権も活躍を見せた鈴木豪太投手が、この春も4勝と46奪三振でリーグトップ、防御率も0.98で2位と安定した成績を残し、右のスリークォーターから147キロの威力ある球を投げる投手としてプロから注目されている。野手でも3年の春山陽登選手、2年生の中山優月選手が活躍するほか、今季は故障で離脱をしているが、真鍋慧選手選手など注目選手が多いチームだった。



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