東京六大学野球春季リーグ戦は31日、伝統の早慶戦が今日から行なわれる。3季連続優勝がかかる早稲田大学は、慶應義塾大学に連勝すれば、明治大学との優勝決定戦(6月3日)に進むことができる。1敗もできない崖っぷちの状況で、今秋ドラフト候補のエース・伊藤樹投手(4年=仙台育英)が初戦の先発マウンドに上がり、チームを勝利へ導く覚悟を示した。小宮山悟監督も「怒濤の5連勝」を掲げ、エースのフル回転も辞さない構えだ。
エース伊藤樹投手「初戦を僕で取ることが大事」ノーヒッターの誇り胸に
明治大学との2回戦でリーグ史上25人目、サヨナラ勝利では史上初となるノーヒットノーランを達成し、チームに劇的な勝利をもたらした伊藤樹投手。その勝利で明治大から勝点を挙げ、3季連続優勝の可能性を残した。そしてそれをかけて臨む早慶戦へ向け、「早慶戦に連勝して優勝決定戦も勝つには、まず初戦を僕で取ることが大事」とエースとしての責任感を口にした。さらに、「ワセダの伝統を結集した日に勝たないといけない。個人的にはノーヒットノーランをした次の試合で醜態をさらす訳にはいきません」とプライドをのぞかせた。
3連勝(早慶戦2勝、優勝決定戦1勝)が優勝への絶対条件となる中、「1個も負けられない。日本一になるためにはあと7連勝しないといけないですし、その道半ばだと思う。1つずつ、一戦必勝で頑張りたい。去年、日本一まで行けなかったというところで、このチームはスタートしている。そこまでちゃんと見ながらやりたいなと思っています」と、大学選手権まで見据えた強い決意を語った。
小宮山監督「怒濤の5連勝」へエース伊藤樹投手のフル回転も示唆
早稲田大学を率いる小宮山悟監督は、この状況を「野球の神様のお陰で自力優勝が復活した。もちろん宿敵の慶応も意地をぶつけてくるだろうけど、我々もこの状況で張り切らない訳がない」と前向きに捉え、「明治2回戦から最後に早慶戦連勝、さらには優勝決定戦に勝って、”怒濤の5連勝”でシーズンを終えるという。そういうふうに”怒涛の5連勝”をキャッチフレーズにしてますので」とチームを鼓舞する。
そして、この負けられない戦いにおいて、エース伊藤樹投手に全幅の信頼を寄せる。「出来れば使いたくないけど」と前置きしつつも、逆転優勝への3連勝に向けて「使わなければいけない状況なら2戦目も使う。その試合に最善を尽くさなければ次はない」と、伊藤投手のフル回転も示唆した。
小宮山監督自身も早慶戦について、「早稲田は早稲田で、慶応は慶応で、いろいろな思いがあっての早慶戦ですから。野球以外の競技も早慶っていうことでやっていますからね。こと野球に関して言うと、神宮球場のあのグラウンドに早慶戦に立った人にしか、あの武者奮いする感じは分からない。あの大歓声、これは本当に何物にも代えがたい」と話し、自身もプロ野球やメジャーリーグの舞台にも立っているが、「その比ではない。ふざけたこと言ってんなよって経験したことない人には言われるかもしれないけど、本当に特別な舞台。4年間の8シーズンの、あの早慶戦の色々な歴史を踏まえたもの、身をもって経験すると、本当に何事にも代えがたいというのがありますね」と、その熱い思いを吐露した。
連盟創設100周年という節目の年に行われる伝統の一戦。「意地と意地のぶつかり合いですから。我々としたら、連勝で、プレーオフに進んで、何が何でも3連覇と。がぜんやる気になって当たり前でしょうって話ですよ。1つ目取らないことには、2つ目はない。まずは初戦ですね」と話す。しかし、この100周年の歴史をともに作ってきた慶応大も、この早慶戦には並々ならぬ思いで戦ってくる。これまで伊藤投手とともにリーグ戦で投げ合ってきた外丸東眞投手を中心に、甲子園優勝メンバーが成長したチームが、優勝を逃した思いで「何としても早慶戦だけは」という思いでぶつかってくる。
早慶戦は13時から始まる。
伊藤樹投手 プロフィール
- 氏名:伊藤 樹(いとう たつき)
- 生年月日:2003年8月24日
- 出身地:秋田県
- 経歴:仙台育英高校 – 早稲田大学(4年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:177cm・84kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速152キロのストレートと切れ味鋭いスプリットが武器の右腕。2025年5月19日の東京六大学野球春季リーグ・明治大学戦で史上25人目のノーヒットノーランを達成(サヨナラ勝利での達成は史上初)。仙台育英高校時代には1年夏、3年春に甲子園出場。早稲田大学では1年春からリーグ戦デビューし、3年夏には大学日本代表にも選出。リーグ通算53試合で18勝3敗、防御率1.88(2025年5月30日時点)。今秋ドラフト候補。




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