第74回全日本大学野球選手権大会が9日に開幕し、今秋ドラフトの目玉、創価大学の立石正広内野手(21)に全12球団のプロ球団のスカウトが熱視線を送った。阪神はスカウト10人中9人で視察し、巨人は編成部門のトップ2が視察、しかし、チームは延長10回タイブレークの末に0-11で大敗し、立石選手も4打数1安打2三振と悔しい結果に終わった。
ドラフトの目玉に衝撃、タイブレークでまさかの11失点
東京新大学リーグで春に5本塁打を放っていた、今秋ドラフト1位候補の立石正広選手は「3番・二塁」で出場し、当然の如くホームランが期待されたこの試合だった。しかし4回のボテボテの投前内野安打1本に抑えられ、5回2死二、三塁のチャンスでは空振り三振に倒れるなど、快音は聞かれなかった。試合は9回まで0-0と息詰まる投手戦となったが、延長10回タイブレークに創価大が守備の乱れなども絡んで一挙11失点し敗れた。
試合後、主将も務める立石選手は「リーグの代表として情けない結果。点を取られることはあっても、歯止めがきかなかったのは自分たちの弱さ」と肩を落とし、「お互いに点が入らず、守備のチーム同士ということもあり、先に崩れた方が負けると思っていた。先に崩れて、自分たちが負けた」と敗戦の責任を背負った。相手先発の東亜大学・藤井翔大投手の投球に対しては、「しっかりコースに投げ分けてきて、いいピッチャーだった。4打席の中で対応できなかった」と振り返り、「練習するしかない」と前を向いた。
阪神が9人態勢で立石詣、巨人の編成トップ2も評価
初戦で姿を消したものの、立石選手への注目度は高い。この日のバックネット裏には12球団のスカウト陣が集結し、中でも阪神は竹内孝行アマスカウト部長以下9人のスカウトで視察した。担当の吉野誠スカウトは、この日の結果にも評価は不変であることを強調した。
阪神・吉野誠スカウト:「しっかり振れているかなと思うし、安定して守れている。本当に一番飛ばせるバッターだと思うので、その辺はずっと追って、見ていこうかなと思う」
巨人も吉村禎章編成本部長、水野雄仁編成本部長代理スカウト担当の編成部門トップ2が視察し、今後も視察していくと話した。
巨人・水野雄仁編成本部長代理:「元気にやってくれればいい。じっくり秋のリーグ戦も見ていかなきゃいけない。セカンドの守備もうまくこなしている。いろんな面で見ていきたい」
また、侍ジャパントップチームの井端弘和監督も
侍ジャパン・井端弘和監督:「大学ジャパンには入ると思うんですけど、体は大きいし、長打は打てるし、右方向に打てるし、今年からセカンドだし、将来が楽しみかなと思います」
と、この日については評価は変わるということはないが、今後も継続して視察していくとした。立石選手については昨年秋までの時点でドラフト1位指名評価となっており、今年はいくら調子を落とそうが評価は変わることはない。そして春の結果を見て評価はますます上がっており、また、野手で立石選手に対抗しそうな選手も今のところでてきていない。
これから侍ジャパン大学代表選考合宿、そして昨年に続き大学代表の4番を打つことは間違いないと思うが、今年は日米大学野球でしかも日本で開催されるということで、大勢のスカウトがそのプレーを視察することになりそうだ。「ドラフトもどんどん近づいている。このままでは、プロに行っても、本当に勝負できる立場ではない。秋に圧倒した成績を残して、日本一を目指す」と話した立石選手、これからアピールする舞台はまだあるが、それぞれで持っている力を見せられれば、もう十分だろう。
虎の恋人・ポスト岡本
打球速度最速170キロを誇り、右方向へ伸びる長打が魅力の立石選手。二遊間を含む内野ならどこでも守れる点は、横浜DeNAの牧秀悟内野手のように強打の二塁手としての可能性がある。阪神にとっては、「甲子園の浜風を味方にできる右の大砲」であり、二塁ならば中野拓夢選手の後継者、三塁ならば佐藤輝明選手がコンバートしたあとのポジションに入り、左の佐藤輝、右の立石、森下、と中軸が更に強化されることになる。
また巨人は岡本選手がメジャー挑戦の可能性が高まっており、ポスト岡本として立石選手は十分期待できる選手だろう。打線の強化、そして若返りが必要でもあり、ドラフト1位筆頭候補となることは間違いない。
立石正広選手 プロフィール
- 氏名:立石 正広(たていし まさひろ)
- 生年月日:2003年11月1日
- 出身地:山口県
- 経歴:高川学園中学校(高川学園リトルシニア) – 高川学園高校 – 創価大学(4年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:180cm・86kg
- ポジション:内野手
- 主な特徴や実績:今秋ドラフト1位候補の右の長距離砲。打球速度は最速170キロ。東京新大学リーグではMVP2回、三冠王1回。大学日本代表候補。高川学園高校3年夏に甲子園出場(高校通算10本塁打)。母親の郁代さん(旧姓・苗村)はバレーボール選手としてバルセロナ五輪に出場。








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