第74回全日本大学野球選手権大会では中京大のエースでプロ注目の高木快大投手(4年=栄徳)がコンディション不良で登板を回避する中、今季初先発の最速155キロ右腕・大矢琉晟投手(4年=中京大中京)が7回3安打無失点8奪三振の快投で大学初勝利。プロ入りを目指す右腕が12球団のスカウトが見守る大舞台で、見事なアピールを果たした。
苦労人・大矢琉晟投手、全国の舞台で輝く!「ここで勝つためにやってきた」
「野球人生かかってるんじゃね」と試合前にチームメイトから言葉をかけられた。今大会注目のエース・高木快大投手がコンディション不良のために登板を回避する中で、この日の先発のチャンスが巡ってきた。
大矢琉晟投手は初回からトップギアで飛ばし、3球連続で151キロを計測、この日の最速は152キロをマークした力強いストレートと切れ味鋭いフォークを武器に、初戦で12安打を放った近畿大学の強力打線を7回3安打無失点に封じ込めた。
「ここで勝つために練習してきました。リーグ戦では勝てませんでしたが、この大きな舞台で、まず1勝を挙げられて良かったです」と話し、リーグ戦を含めてもこれが大学初勝利。記念のウイニングボールを握りしめ、ポーカーフェースをようやく緩めた。
中京大中京高校時代は、畔柳亨丞投手(現日本ハム)の控えで、大学では、同期に絶対的エースの高木投手がいた。さらに大学2年の夏には右肘の手術を受け、今も肘にはボルトが入っている。「畔柳が指名されたときから、本気でプロを目指してきた」という強い思いを胸に、大学でも長いリハビリを乗り越え、ついに全国の舞台で輝きを放った。「うれしいけど、ここは通過点。日本一を目指しているので、気持ちを切らさずにいきたい」と話した。
巨人・木佐貫スカウト「ボールも強い」と熱視線、2番手・磯部投手も153キロ
大矢投手の快投には、12球団のスカウトも注目した。視察した読売ジャイアンツの木佐貫スカウトもその投球を高く評価した。
巨人・木佐貫スカウト:「球も速いですし、ボールも強い。まっすぐが効いているので、フォークも生きている。いいところに落としている」
高校時代から抱いていたプロ入りに向けて、まさに多くのスカウトに大きなアピールをする「人生を変える」投球を見せた。
またこの日は、8回から2番手として登板した磯部祐吉投手(2年=享栄)も、自己最速を更新する153キロを計測し、1回1/3を無安打に抑える好リリーフ。磯部投手も、享栄高校時代は東松快征投手(現オリックス)の控えだった。「ここまで成長できたのは東松がいたから」と、ライバルの存在を力に変えてきた。また大型右腕の沢田涼太投手も9回に登板してランナーを一人出しながらも抑えて締めた。エース不在を感じさせない投手層の厚さを見せつけた。
大矢琉晟投手 プロフィール
- 氏名:大矢 琉晟(おおや りゅうせい)
- 生年月日:2003年6月28日
- 出身地:愛知県春日井市
- 経歴:篠木スターズ(小5) – 愛知守山ボーイズ(中学) – 中京大中京高校 – 中京大学(4年)
- 投打:右投左打
- 身長・体重:178cm・82kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速155キロのスリークォーター右腕。2025年全日本大学野球選手権2回戦の近大戦で今季初先発し、7回3安打無失点で大学初勝利。巨人・木佐貫スカウトから高評価を受ける。中京大中京高校時代は日本ハム・畔柳亨丞投手の控え。大学2年時に右肘を手術。「プロ一本」を公言している。50メートル走6秒0、遠投100メートル。




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