第74回全日本大学野球選手権大会は13日、準々決勝が行われ、東海大学が昨年準優勝の早稲田大学を12-3の8回コールドで破り、2019年以来6年ぶりのベスト4進出を決めた。この試合で、代打で登場した1年生の砂子田陽士外野手(八戸学院光星)が、大会史上2人目となる1年生での満塁本塁打を放ち、チームを圧勝に導いた。
代打1年生・砂子田選手、歴史的満塁弾「打てて最高の気分」
大仕事をやってのけたのは、入学してわずか2ヶ月のルーキーだった。8-3と5点リードで迎えた8回1死満塁のチャンス。代打で打席に送られた砂子田陽士選手は、1ストライクからの2球目、早大のプロ注目右腕・田和廉投手が投じた150キロの外角ストレートにバットを合わせた。逆方向へ飛んだ打球は、左翼ポール際のフェンスを越える満塁本塁打となり、高校、大学を通じて公式戦初となる一発は、試合を8回コールドで決める劇的な一打となった。
1年生による満塁本塁打は、1984年の東北福祉大学・大野秀夫選手以来、実に41年ぶり史上2人目の快挙。ダイヤモンドを一周した砂子田選手は何度も拳を突き上げ、「点差もあり、冷静に打席に入れた。フルスイングはせず、コンパクトに当てることとタイミングを意識していた。こんな感じなんだと思った。とにかくうれしい、最高でした」と、興奮気味に喜びを語った。
低反発バットで苦労した選手が木製バットで開花
砂子田選手は八戸学院光星時に2年夏と3年春に甲子園出場を果たし、鋭い打球を飛ばす選手としてプロも注目をしていたが、公式戦での本塁打はなかった。特に高3春から導入された低反発バットに対応するため、芯に当てる技術を徹底的に磨いてきた。大学で木製バットに持ち替えると、「芯に当たった時の打球のノビが、金属バットよりも木製バットの方が飛ぶ」と語るように、大学の木製バットへの対応に苦労はしなかった。練習試合ではすでに3本塁打を記録しており、そのパンチ力が全国の大舞台で証明された形となった。
元巨人スカウト部長で東海大学を率いる長谷川国利監督も、「砂子田はたまに当たると逆方向に行く」と、代打で起用した1年生の勝負強い一打に興奮を隠せない様子だった。
投打噛み合い早大に圧勝、11年ぶりVへあと2つ
早稲田大を撃破した。東海大学は、2007年の同大会決勝で斎藤佑樹投手(元日本ハム)を擁する早稲田大学に敗れて以来の対戦だったが、見事な雪辱を果たした。大会史上初の東京六大学代表相手のコールド勝ちという歴史的な勝利でもあった。
この日は4番の柳元珍捕手(4年=八王子学園八王子)が3安打3打点と主軸の役割を果たし、6回には西稜太外野手(2年=履正社)がフェンスに激突しながら大飛球を掴むビッグプレーを見せるなど、投打にわたって早稲田大学を圧倒した。
砂子田選手は「試合に出られない上級生がスタンドでガッツポーズして」とチームの一体感を喜び、「パンチ力がセールスポイント。はつらつとやりたい」と次戦へ意気込む。1年生のラッキーボーイを擁し、チーム一丸となって2014年以来11年ぶりの日本一を目指す。
砂子田陽士選手 プロフィール
- 氏名:砂子田 陽士(すなこだ ようじ)
- 生年月日:2006年8月11日
- 出身地:仙台市
- 経歴:岩切少年野球クラブ(小5) – 宮城北部リトルシニア(岩切中) – 八戸学院光星高校 – 東海大学(1年)
- 投打:右投左打
- 身長・体重:175cm・78kg
- ポジション:外野手
- 主な特徴や実績:2025年全日本大学野球選手権準々決勝の早大戦で、大会史上2人目となる1年生での代打満塁本塁打を放つ。高校、大学通じて公式戦初アーチ。八戸学院光星高校では主将を務め、甲子園に2度出場。憧れの選手は楽天・辰己涼介。





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