第74回全日本大学野球選手権大会は準々決勝が行われ、東北福祉大学(仙台六大学)が西南学院大学(九州六大学)を8-3で下し、優勝した2018年以来7年ぶりのベスト4進出を決めた。前日の2回戦が午後10時16分に終了するという過酷な日程の中、今春初先発の大森幹大投手(4年=東海大相模)が5回まで無安打無失点の快投。打線も3本塁打と爆発し、代打の小島慎也内野手(3年=帝京)がダメ押しの本塁打を放った。
大森幹大投手が全国の舞台で快投、「プロ志望届を出したい」
「眠かったんですが、しっかり体を動かして準備した」と話す大森幹大投手、睡眠時間はわずか4時間半だったが、それをものともせず全国の舞台で輝きを放った。リーグ戦では救援1試合のみの登板だったが、この日の朝に先発を告げられ、「3回まで全力で行こう」とマウンド登板した。
東海大相模時代からコントロールがよく落ち着いた投球で試合を作ることができる投手で、この日もストレートに伸びがあり、スライダーを使って5回までパーフェクトピッチング。6回に四球とヒットで無死一、二塁のピンチを招き降板したものの、5回0/3を1安打1失点と先発として素晴らしい働きを見せた。「全国大会で5回まで投げられたのは自信になります」と、快投を振り返った。
高校時、3年春のセンバツでチームは優勝したが、自身はボールボーイだった。練習試合で打たれた際には、当時の門馬敬治監督から「下まで落ちたら、あとは上がるだけ」という言葉をかけられ、その言葉を胸に這い上がってきた。進路については「プロ志望届を出したい」と明言。「真っすぐのキレと質をもっと上げていきたい」と、大舞台でのさらなるアピールを誓った。東北福祉大の山路哲生監督も「調子が上がってきていた。ノーヒットノーランしていたので、ヒットを打たれるまでと思った。よく頑張りました」とその粘りを称えた。
得意の神宮で・小島慎也選手が代打弾
代打弾でチームに勢いをつけたのは、代打の切り札・小島慎也選手だった。5-1で迎えた6回先頭、代打で登場すると、外角のストレートをフルスイング。打球はバックスクリーン左へ飛び込むソロ本塁打となった。「長打を打てる選手が多分、重宝されていくと思う。長打力と、いい場面での1本が一番大事だと思っています。気合入れて、打席に入っています」と話し、2回戦の東日本国際大学戦でも代打でタイムリー二塁打を放るなど、2試合連続での勝負強い活躍を見せた。
小島選手は帝京高出身で、3年夏には神宮球場で2試合連続の先頭打者本塁打を放っているが、「相性いいですね。自分にとってはホーム。見え方は結構好きかもしれないです」と話す。
冬場からベンチプレス130キロ、スクワット220キロを上げるウエートトレーニングに没頭し長打力に磨きを欠けている。「自分の長所をどんどん出していきたい」と、準決勝でもそのフルスイングに期待がかかる。
7年ぶり4強、次は王者・青学大
前日は10時16分に試合が終わり、宿舎に戻って選手たちが就寝したのは午前2時半頃だったという。わずかな睡眠時間にもかかわらず選手は「眠いと言っている場合じゃない」と朝から打ち込みをしていたという。この日は新保茉良内野手(4年=瀬戸内)の先制2ランなど3本塁打を含む11安打で8得点と打線が爆発。投手陣もエースの櫻井頼之介投手、160キロ右腕・堀越啓太投手を温存して勝利することができた。
準決勝の相手は3連覇を狙う王者・青山学院大学。山路監督は「選手も青学と対戦できてうれしいんじゃないかな。隙のないチームだから基本をしっかりできるかだね」と、大一番を見据え、今日は万全の体制で試合に臨む
大森幹大投手 プロフィール
- 氏名:大森 幹大(おおもり みきひろ)
- 所属:東北福祉大学(4年)
- 出身高校:東海大相模高校
- ポジション:投手
- 投打:右投左打
- 主な特徴や実績:149キロ右腕。2025年全日本大学野球選手権準々決勝の西南学院大戦で全国初先発し、5回まで無安打、5回0/3を1安打1失点と好投。リーグ戦では救援1試合の登板だったが、大舞台で結果を残した。東海大相模高校3年春にセンバツ優勝を経験(自身はボールボーイ)。プロ志望届の提出を明言している。
小島慎也選手 プロフィール
- 氏名:小島 慎也(こじま しんや)
- 所属:東北福祉大学(3年)
- 出身高校:帝京高校
- ポジション:内野手
- 投打:右投左打
- 主な特徴や実績:驚異的なパワーを誇る右の強打者。2025年全日本大学野球選手権では2試合連続で代打で結果を残し、準々決勝では本塁打を放つ。帝京高校時代に神宮球場で2試合連続先頭打者本塁打を記録。ベンチプレス130kg、スクワット220kgを上げる。






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