東都大学野球2部秋季リーグが9日に開幕し、9季ぶりに2部で戦う日本大が東京農業大に10-7で勝利した。この試合で、今秋ドラフト候補の谷端将伍選手が、リーグ史上30人目となるサイクル安打を達成。集まった11球団のスカウトの前で、4安打4打点の大暴れを見せ、東北楽天、東京ヤクルトのスカウトが評価している。
9回に気迫のヘッドスライディングで偉業達成
主砲のバットが、チームを白星発進に導いた。侍ジャパン大学代表でもプレーした谷端将伍選手はこの日、第2打席に右翼線への二塁打で今季初安打を記録すると、6回の第4打席では、内角のスライダーを捉え、レフトポール際に飛び込む7号ソロホームランを放った。続く第5打席ではセンター前ヒットを放ち、サイクル安打に王手をかけた。
そして迎えた9回2アウト1、2塁の場面。内角のストレートを振り抜くと、打球は左中間を深々と破る。谷端選手は迷わず三塁へ向かい、気迫のヘッドスライディングで偉業を達成した。「前のバッターがつないでくれた。自分は返すことが仕事だと思っているので、冷静にストライクだけを狙っていきました」と、4安打4打点の活躍を振り返った。
最終打席で最も難しい三塁打を記録し、大記録を達成した。そしてドラフト会議に向けた秋の初戦でのこの活躍にも、谷端選手の持っている輝きのようなものを感じさせる。
楽天・ヤクルトとスカウトも高評価「コンパクトに打っていた」
この日のスタンドには、阪神、巨人など11球団32人のスカウトが集結し、大学代表の実力者の活躍、高い評価の声が上がった。
東北楽天・井上スカウト:「うまく体を回転させ、コンパクトに打っていた」
東京ヤクルト・丸山スカウト:「開幕戦で打てることに価値がある。しかも広角」
谷端選手は、3年春のリーグ戦で、打率.327で首位打者となり4本塁打を放って注目選手となった。しかし、今春は打率.196に終わり、チームも2部に降格している。侍ジャパン大学代表では選考合宿で中距離ヒッターとしての打撃を見せて代表に選出されると、5試合中1試合のみの出場となり、レギュラーメンバーにはなれなかったものの、出場した第4戦ではレフト、センター、ライトに3安打を記録した。
強打の中距離打者として注目されるものの、立石正広選手や小田康一郎選手、秋山俊選手、平川蓮選手、小島大河選手などの代表の主力に比べるとややアピールが少ない状態だったが、この日の活躍は、それを巻き返すのに十分なものだっただろう。スカウトも、やっぱり力はあると再認識したはずだ。
「個人より1部に」チームを勝たせる主砲
サイクル安打の偉業にも、「サイクルヒットに関しては何も考えていませんでした」と語る谷端選手。あくまで最優先はチームの勝利と1部復帰だ。「個人より1部に上げて後輩につなげたい」。片岡昭吾監督も「チームが勝つためにと声を出して姿で引っ張ってくれている選手」と、そのキャプテンシーを絶賛する。
チームを勝利に導く一打を積み重ね、その先に自ずとプロへの道は拓けてくるはずだ。
谷端 将伍 プロフィール
- 所属:日本大学(4年)
- ポジション:内野手
- 投打:右投右打
- 身長・体重:178cm・80kg
- 経歴:星稜高
- 主な特徴や実績:2004年3月17日生まれ、21歳。石川県出身。大学日本代表。3年時に春秋連続で首位打者を獲得。東都2部秋季リーグ開幕戦でサイクル安打を達成した。










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