東都大学野球秋季リーグが開幕し、6季連続優勝を目指す青山学院大が国学院大に先勝した。今秋ドラフト1位候補のエース・中西聖輝投手(4年=智弁和歌山)が、121球を投げ抜き1失点完投。阪神、巨人など12球団20人以上のスカウトが集結する前で、圧巻の投球を見せつけた。
志願の続投で春の雪辱、同期対決を制す
まさにエースが投げる121球だった。春の開幕戦では初戦の中大戦で6回5失点でKOされ、チームを黒星発進させてしまったが、この日はその時の戒めを胸にマウンドに上がった中西聖輝投手。序盤は緊張から慎重になったが、中盤以降は「リミッターを外した」とギアを上げ、本来の投球を取り戻した。
圧巻だったのは2-1で迎えた9回だ。自身の野選も絡み1死二、三塁と一打逆転のピンチを招いたが、ここで迎えたのは智弁和歌山時代の同期で、夏の甲子園優勝を共にした宮坂厚希選手、「僕のことをよく分かっている選手を三振に取れたのは自信になる」と、内角の148キロの直球で追い込むと最後はカーブで空振り三振を奪った。後続も断ち切り、雄叫びと共にガッツポーズを見せた。
春に6勝を挙げる投球を見せ、そしてその後も侍ジャパン大学代表選考合宿から、日米大学野球、そして侍ジャパンU18代表壮行試合と戦いが続いた。毎年、代表入りした選手は疲労が残り、秋は調子が良くないことが多く、中西投手もやはり疲労が見えていた。
6回に疲れが見え始め、コーチからの交代の打診を受けた。しかし、「春は自分のせいで負けてしまったので最後まで行かせてください」と志願して投げ抜いたマウンドで、見事に春の雪辱を果たした。
12球団スカウト絶賛「即戦力。間違いなく1位」
ジャイアンツタウンスタジアムのネット裏には、国内12球団から20人を超えるスカウトが集結した。その前で見せたこの投球に、評価は高止まりしている。
東北楽天・部坂スカウト:「即戦力になる。間違いなく1位でしょう」
中日・松永スカウト部長:「全球種でストライクが取れ、コントロールがいい」
プロ志望届を提出済みの中西投手は、「野球を始めた頃の夢。いい結果を出して入れれば」と語るが、まずは目の前の勝利に集中する。「このメンバーで優勝を目指せるのは最後。必ず勝者になる」。リーグ6連覇、そして大学日本一という最高の置き土産を手に、運命の日を待つ。
すでにドラフト会議での指名順位は1位で決まっている。後はどのくらいが来るかが注目される。
中西 聖輝 プロフィール
- 氏名:中西 聖輝(なかにし まさき)
- 所属:青山学院大学 4年
- 出身:智弁和歌山高校
- ポジション:投手
- 投打:右投右打
- 身長・体重:182cm・90kg
- 主な特徴や実績:2025年ドラフト1位候補。最速152キロの本格派右腕。2021年夏の甲子園優勝投手。4年春に東都大学リーグでMVP、最優秀投手、ベストナインの3冠。多彩な変化球と安定した制球力が持ち味。






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