東都大学秋季リーグでは、6連覇を目指す青山学院大が開幕5連勝を飾った。エースの中西聖輝投手が肩の炎症で先発を回避する緊急事態の中、来秋のドラフト1位候補に挙がる最速154キロ右腕・鈴木泰成投手(3年=東海大菅生)が今季初先発。3安打8奪三振の快投でリーグ戦初完封を飾り、チームの危機を救った。
エース不在の危機救う107球の快投
まさにリリーフエースから真のエースへと飛躍を遂げる一投だった。今年のドラフト1位指名候補でエースの中西聖輝投手が先発回避することになり、急遽マウンドを任された鈴木泰成投手。「任されたところで、堂々と投げられた」と、その大役を完璧に果たした。
いつもはリリーフで150キロ超の球を投げているが、この日は先発でも最速150キロを計測したストレートを軸に、武器であるフォークボールも冴えわたり、駒澤大学打線をわずか3安打に封じ込めた。「ストレートを生かすための配球ができた。一番ストレートがよかった」と話し、フォークボールも「高さを間違えたのは1球だけ」と抜群の精度を見せた。
「ゾーンの中で勝負できた。自分の持ち味を発揮できた。今日は合格点」と、107球で投げきった自身初の完封劇に笑顔を見せた。
日米大学野球で得た自信「青学の最後のとりで」
圧巻の投球の裏には、この夏に大学日本代表として戦った日米大学野球での経験があった。強打の米国打線を相手に好投したことで、「全力でいけば絶対に抑えられる」という確かな自信を掴んだ。その経験が、「前は1イニングを必死に抑えていた。少し余裕を持てるようになった」という精神的な成長につながっている。
現在は中西投手がいるためにリリーフとして登板をすることが多いが、これまで2回戦の先発やロングリリーフなど、長いイニングでも素晴らしい投球を続けてきている。安藤寧則監督も「想像を超えるどえらい投手になってほしい」とその将来性に大きな期待を寄せる。
そして来年は、ドラフト1位指名は確実という評価が既にされており、中西投手が抜けたあとの先発の柱となることは間違いない。その前に初完封を挙げ、来年への期待はうなぎのぼりだ。鈴木投手は「自分の役割は前に投げた投手を助けること。青学の最後のとりでくらいの気持ちでいたい」と、王者・青学大を支える覚悟を示した。
来年は織田翔希投手や末吉良丞投手、菰田陽生選手といった高校生の怪物が勢揃いするが、大学生も仙台大の佐藤幻瑛投手とこの鈴木投手は10年に一人の逸材とも言える。来年のこに時期には各球団とも、嬉しい悲鳴を挙げながら迷いに迷うことになるだろう。
鈴木 泰成 プロフィール
- 氏名:鈴木 泰成(すずき たいせい)
- 所属:青山学院大学 3年
- 出身:東海大学菅生高校
- ポジション:投手
- 投打:右投
- 身長:187cm
- 主な特徴や実績:2026年ドラフト1位候補。最速154キロの長身右腕。日米大学野球日本代表。今季初先発でリーグ戦初完封を達成。



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