東海地区大学選手権は17日に2回戦が行われ、静岡産業大学が三重大に逆転勝利した。今秋ドラフト候補の4番・渡邉笑生(わらう)一塁手(4年)が4回の打席で頭部に死球を受け、救急搬送されるアクシデントが発生した。ドラフト前最後の公式戦で無念の離脱となったが、チームは主砲の思いを背負い、8回に劇的な逆転劇を演じた。
ドラフト前最終戦で悲劇、頭部死球で救急搬送
この秋に4本塁打を放ちホームラン王に輝き、プロ志望届を提出してドラフト会議での指名を待つ渡邉笑生選手、この日はドラフト前のアピールの場だったが悪夢が襲った。4回、渡邉選手の頭部を死球が直撃。その場に倒れ込み、救急車で病院に搬送された。診断は頭部打撲で、大事を取り今大会の残り試合の出場は見送られる見通しとなった。絶好調で今大会に臨んでいただけに、あまりにも無念な形での離脱となった。
主砲の思いを背に、8回無安打からの逆転劇
それでもチームは奮起した。主砲を欠いたチームは、8回1死まで相手投手の前に無安打無得点と完全に沈黙。しかし、代わって4番に入った遠藤裕斗選手(3年)が、チーム初安打となる起死回生の同点タイムリー二塁打を放つと、打線が繋がりこの回一挙4得点。劇的な逆転勝利を収めた。
殊勲打の遠藤選手は、練習で渡邉選手のキャッチボール相手を務めるなど、慕ってきた先輩の離脱に「ここで笑生さんの戦いを終わらせるわけにはいかない」と執念の一打を振り返った。チーム一丸で掴んだ勝利で、主砲の思いを次のステージへと繋いだ。
引退危機からドラフト候補へ、不屈の大砲
1年の秋に新人賞とベストナインに輝くデビューを飾ったものの、2年夏に左膝の前十字靱帯と半月板を損傷する大怪我を負い、一時は引退も考えた。しかし、スカウトが注目をしている事を知り、この秋はラストシーズンに懸けることを決意。リーグ戦ではキャリアハイの4本塁打を放ち、本塁打王に輝いた。
プロ志望届を提出して指名を待つが、あまりにも辛いこの日の死球となった。それでも不屈の魂でプロ注目選手となったスラッガーに、その将来の道が拓けることを願いたい。
渡邉 笑生 プロフィール
- 氏名:渡邉 笑生(わたなべ わらう)
- 所属:静岡産業大学 4年
- ポジション:一塁手
- 投打:右投
- 主な特徴や実績:2025年ドラフト候補。今秋リーグ本塁打王(4本)。2年夏に左膝の大怪我を乗り越えた右の大砲。ドラフト前最後の公式戦で頭部死球を受け離脱。


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